気まぐれな君
私は思い切って彼に聞いてみた。
「ねえ、好きな人っている?」
緊張で心臓がバクバクしている。
だが、それを彼に悟られる訳にはいかない。
私は表面は平静を装った。
彼はいつも通り、気だるそうに口を開いた。
「んー?さあ、どうだろうねー」
「ちょ、何それハッキリしてよ」
「だって、なんでお前にそんなこと言わなきゃいけないの?」
「え、だって気になるから」
「ふーん」
「ふーんって…」
私はため息を吐いた。
予想通りの反応だが、結構勇気を出して聞いたので、その是とも非とも取れる反応になんだかむしゃくしゃしていた。
「あーもういいよっ!君にこんなこと聞いた私が馬鹿でした!!」
私はそっぽを向いた。
すると、彼は私の頭をポンポンとなで、小さくつぶやいた。
「まぁ、そのうち、ね」
そして、私に笑いかける。
…なにがそのうちよ。
こっちはもうすでに君に恋してるっていうのに。
「…………ばか」
そうつぶやくと、君は楽しそうに笑った。