入学式 初めての事 多過ぎて
青木yuma
5月に咲いた淡い恋。
気付けば目で追っている。
そんなこと、初めての経験なんだけど。
窓から見える先輩の姿は、
まるで王子様のようだった。
でもそれを見てると、胸が
痛むのは、なぜなんだろう、、、。
栗山中学校 入学式
「1年生の皆さん、ご入学おめでとう
ございます。今年一年この1−2の担任を
します。前橋綾子です。
みんな、よろしくね。」
そんな感じで私の、中学校生活は
幕を上げた。
私、というのはこの春から中一女子の
「元川 澄晴」もとかわ すばる
なんだか男みたいな名前であるが
女である。 一応ね。
しかし、見た目は男だ。
身体は骨ばってるし、前髪は長く目を多い尽くしている。
えりあしはうなじまであり、横の髪は
耳にかけている。
髪質のせいで、全て下にいっているが
すごく短い髪。
スカートを履いているのが異様、、。
「んーー」
「どうした?澄晴」
チャイムがなり、今日は下校時刻となった。わたしに話しかけて来たのは
幼稚園からの親友、祠堂万子。しどうまこ
万子は私と正反対。
頭がよく、秀才でみんなからも
頼られる。
でも、意見を押し付けたりとか、強要せずに、いつも皆の立場で考える。
そんな優しい子。
万子の長いストレートの黒髪が
さらさら音を立ててゆれる。
「んーー?」
「大丈夫?澄晴。
最初で疲れちゃった?中学校、
でも明日もあるからね」
万子の心配症。
私が少しボーーっとしてたからって。
「いや?何でもないけど、
明日も楽しみだな」
嘘だ。
でもきっと万子は楽しみにしてると思うから。
「そうだね!明日も頑張るよ」
万子は小さい手を少し上げた。
あー、きっと今日だけで、万子を
好きになった男子は5人はいるな。
、、!長年一緒にいる私の感を
あなどるなよ。
小学校でもそうだった。
万子はずば抜けてかわいいし、
気も聞く。今日のクラスの自己紹介、
男子は大体万子を見てた。
万子の後ろの席のこなんて、顔が超ゆるんでたし。
先輩にもモテるだろうな、、、。
その瞬間、ふわり、とほのかな風が吹いた。
万子の髪がなびく。
[先輩]、、、。
それをキーワードにしたかのように
なびく万子の髪は空中で、ぴたりと止まった。
え、
私は目を疑った。
万子の髪は放物線のような、なめらかなカーブをえがき、私のすぐ横で微動だに
しなかった。
[なにこれ?!?!]
気付けば、万子の顔も止まっていた。
風が吹いて、びっくりした
表情のまま、固まっている。
「お、おい、、ま、こ?」
話しかけても揺さぶっても返事がない。
それ以前に触った万子の身体は
冷たく、石のように固かった。
「な、なんで
なんなんだよ、、?!」
私はパニックに陥った。
万子だけじゃなく、私以外の
全てのものが、止まっているのにも
気付かずに。
「そ、そうだ。先生に、、」
私は震える足で職員室に
向かおうとした。
そのとき
「無駄だよ」
私以外の声が響いた。
「え、、?」
振り向くと、教室の後ろには
知らない男の人が立っていた。
つづく
はじめまして、青木です。
初作品です。
気に入って頂けたら、幸いです。
恋旅人はファンタジーとも、
sfともいえますが、ファンタジーで
載せてあります。
次話もよろしくお願いします。
青木yuma