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☆PM1:45 / ライン99 内 KONOHANA*

 ミケを出たあたしたちは、まっすぐ服飾街に向かった。ライン99は、最近西側がお気に入り。新しくできたアクセサリーショップが好み。今日もそっちに向かう。

 平日だけど見渡した感じ結構人がいた。あの制服、天神のやつだな。補導されちゃうんじゃないの。関係ないけど。

 ついでに色んなとこで春の新作を見る。シフォンのスカートがかわいいけど、これだと短すぎてあんまはけないかな。これからの時期は風が強いし、もっと長いやつにしないと。

 沙良の持ってるチュニック、形はかわいいけど変な柄。それなら向こうのやつがいいんじゃない、とか、でも形はいいよね、とかヒヤカシながら歩く。

 レースいっぱいのキャミもショートパンツもかわいかったけど、通販で頼んじゃった分もあるから今日は買わない。沙良も見るだけで買い物はしなかった。

 天気が良くて暑すぎないから、外を歩いててもきもちいい。小さな花壇にはパンジーが溢れてた。残念ながら、ミモザはないっぽい。

 もっと大きい、木に咲く花だから。って沙良が教えてくれた。

 新作入荷の貼り紙がされてる煉瓦造りの小さな建物は、少し前までは暗ーい本屋の跡地だったけど、今はすっかりかわいく改装されて、売り物が売り物だからキラキラしてる。

 いらっしゃいませぇという店長さんのハスキーな声。置いてあるものをちらちら見ながら、中の、髪につけるもののコーナーに行く。

 まず真っ白な、さらさらした布で出来たカチューシャを手に取る。

「どーゆーの欲しいの?」

「春っぽい、きれいな色のやつ」

 じゃあこれはちょっと違うか。

「ピンクとか?」

 大きな花みたいなレースがついた薄いピンクのは、沙良がつけたらすごくお嬢様っぽくなると思う。あたしじゃ似合わないな。あとは、ラインストーンのとか?

 ちょうど見てたやつを沙良が持ち上げる。黄緑と青っぽい緑の、飴玉みたいなやつ。

「んー。緑じゃないな」

 すぐに置いて、次はもっと大人しいフインキのを手に取る。

 春っぽいきれいな色。ピンクに黄色に緑を見つけては手に取って、自分の視界で沙良の頭に合わせてみる。これは違う、似合う、似合わない。色が目に痛い、派手すぎ。でもこれは地味。

 オレンジと黄色の間の、さっきのソーダみたいな色のはあたしが欲しいかな。でも似合わないか。

 色々言ってたら、店長さんが「こっちにもあるよー」と入荷したばかりの棚を教えてくれた。

 見に行くと、そこは春と夏が半々ってフインキだった。見て来た服屋もそうだけど、ほんと季節先取り早い。あたし春のほうが好きだから、もっと春でもいいんだけど。

 その中から、沙良が一つ持ち上げた。レース模様がプリントされてる、黄色の布でできてるカチューシャ。

「似合う似合う。今のかっこにも合ってる」

 沙良が頭に載せる。レモン色は爽やかな春から初夏って風で、沙良の髪の感じとも、今着てるカーディガンとも相性がいい。あたしは一目で気に入った。

「これにしよっかな。太いのと細いのならどっちがいい?」

 沙良も気に入ったみたいで、ディスプレイからもう一つ、同じ柄で形が違うのを持ち上げた。他にも色があったけど――青はあんまり、似合わないもんね。

 二種類をそれぞれ着けてもらって、一緒に悩む。店長さんも一緒に悩んで、五分ぐらい。

「こっち!」「うん」

 結論は、太い、幅が広いほう。こっちのほうがよく模様が見えていい。

「じゃあ、これください」

「はい。千五百円です」

「ラッピングしてください」

「いーよ、つけてくから」

「えー」

 あたしがサイフから五千円札を出したのは受け取ってくれたけど、ラッピングは拒否された。いいじゃん、って思ったけど、たしかにもったいないか。今度自分だけでなんかプレゼント、見にこよう。ここのプレゼント包装ステキなんだ。

 会計待ちでレジに近いところを見てると、ピアスが目に留まった。金色。小さいシトリンとゴールドのピアス。よく見るとハート形だ。

「あ、きれー、かわい」

「それ、似合うと思うな」

 一人で言った、と思ったのに、さっそくカチューシャをつけた沙良が横に居た。おつりを受け取って、ちょんとピアスを持ち上げる。

「そ?」

 耳元に持ってってみる。カガミどこだっけ。

「そんな色のやつ欲しかったんじゃないの? さっきからチラチラいろいろ見てたけど、大体そうだったじゃない、あれとか」

 沙良が指差したのはパーツが多くてちょっと重そうなネックレス。見てたんだ。熱心にカチューシャ選んでると思ってたのに。

 ついでにカガミの場所も教えてくれたから、前に立ってみてみる。金色、って感じでけっこう目立つ。きれいな黄色の石が透けてて、かわいいけどちょっと大人っぽい、かな?

「さっき沙良が飲んでたから」

「ああ。ミモザ」

「んんー、じゃあ今日の買い物は、二人ともミモザ色ってことで」

 一目惚れ。に、沙良の一押し。買うしかないじゃない。三千円ならいいよね。ちょうどおつりあるし。

 見たことない花の色。ミモザソーダのジュースの色。

 朝は春と言えばピンク、サクラ色って感じだったけど、今はもうミモザ色一色になってる。黄色って四月よりは三月っぽいけど、でもなんか幸せっぽくていいんじゃないかな。イメージだけど。

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