二章
快斗は楓を一瞥すると、「おー、二週間ぶり位かな?」
ハハハと笑い、快斗は二本の金属棒…鉄パイプを涎をたらたらと流し目は血走っているゾンビ達に向けた。
その瞬間、一体のゾンビが首を引っ掻こうと快斗の首辺りに腕を大きく振りかぶった。
だが快斗はそれを軽くバックステップで避け、素早く右の鉄パイプを逆手に持ち替え顎を叩く。
人間は顎に強い衝撃を受けると脳が揺れ、俗に言う脳震盪になり平衡感覚が一時的に麻痺する。
人間と基本構造は変わらないゾンビは脳が揺れ平衡感覚を無くし、ドサッとしりもちをつき座り込む。
勿論快斗はそんな隙を見逃す訳もなく左の鉄パイプを座り込んだゾンビのこめかみに一閃。
バキッ!
頭蓋が砕けた音共に、ゾンビは膝から崩れ落ち倒れ込んだ。
人間なら目の前で一瞬にして仲間が殺されたなら、少しは動揺をするはずだがゾンビ達の目には死んだ仲間は映っていなかった。
そんな腐敗し動かない物より若々しく動き回る肉…快斗にしか。
ゾンビ達は少し散ると、数体が唸り声を出しながら側面から襲いかかる。
「ぐるぁああ!!!!」
そいつらの射程に入る前に快斗は素早く狭い路地へ走る。
その後の残りのゾンビと快斗の戦いは一方的だった。