表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

ぼっちな俺と、一つの転機。

 教室を後にし跳木に連れてこられた場所は、一度しか入ったことのない旧校舎である部室棟の四階の隅に位置している「3-D」という表札が処分されていないまま放置されている部屋であった。そして意外にも部室棟が清潔だったのは野球部などが定期的に行っているという清掃の効果であろうか。

 跳木は扉の方から俺の方に振り向いて「じゃあ」と切り出す。

「ここが俺らの部室な。多分中に部長がいるから」

「……あ、跳木が部長じゃないのか。ペース握られるのは嫌いとか言ってなかったか?」

 俺がそう指摘すると跳木は一つ溜息を吐いた後苦笑いしながら

「……いくら俺でも、部長には敵わないんだよなぁ」

「どんな部長だよ。強すぎるだろ」

「まあ百聞は一見にしかずってな。とりあえず入れ」

 俺は多くの警戒心と、少しの好奇心を抱きつつ部屋に足を踏み入れた。

 瞬間、目に飛び込んできたのは長机に腰を掛けながら不敵な笑みを浮かべている特異な容姿をした一人の男であった。あのもじゃもじゃ頭は天パだろうか。そして制服の上からマントを羽織っている当たりこの人物の異常性が垣間見える。……あ、でも靴はちゃんと指定の靴だ!

「久持部長、連れてきましたよー」

 跳木が平然とした様子で久持という名の部長に呼び掛けると、それはゆらりと立ち上がり、これまたゆらりゆらりと下を向きながら不気味に歩み寄ってきた。俺の顔が引き攣り、足をやや後方へ移動させる。体の動きに合わせて揺れるマントがこの不気味さの正体だろうか、否、きっとそれの放つオーラが……。

 いよいよ俺との距離が一mになろうかという所でそれは静止した。

 そして制服の内ポケットから何かを取り出す仕草をしてむくりと顔を上げた。

「目を瞑れぇ!!」

 萎縮。初めて聞いたその声に違和感を覚えつつも俺はそれの指示に従い目を瞑った。

 なんだなんだ、恐怖感がすごいぞ! くそっ……何される……!?

 一秒……二秒……。その沈黙が俺の恐怖心を煽る煽る。

 

 そして不意に小規模の破裂音、爆発音のような音が鳴り響いた。


 焦げ臭い。

 しかし一年に一度は嗅ぐような臭いだ。

「目を開けていいぞ」

 それの指示に従い俺はおそるおそる目を開けた。

 するとそこには――

「やっほう! アニメ・漫画部へようこそ!!」

 満面の笑顔で歓迎の言葉を述べる、先程との不気味なオーラとはかけ離れた明るいオーラを放つそれ……久持部長がいた。

 隣の跳木がこの結末を知っていたことを表すからかう様な笑みを浮かべていたのは今、この時であった。

 ……とりあえず。

「(めんどくさそうなことになりそうだなぁ)」

 ……と、心底思った。


第一話終了です。如何でしたでしょうか?


話自体は書き終わっているので、今後はゆっくりと更新していきたいと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ