お互いの気持ち
いつも更新遅くてすいません。
花のお散歩を終え、店に戻ると花の飼い主の山田さんが店の入り口で待っていた。
山田さんを見つけた花は、尻尾をくるくる回して、山田さんに駆け寄って行く。
この瞬間が、ちょっぴり寂しい夕菜は、悲しそうな目をした。
「夕菜ちゃんありがとう」
山田さんの声で我に返ると、急いで駆け寄りながら隣に着いてくる橘の姿に足を止めた。
「すいません・・駆け出したりして・・自分から橘さんのことをお誘いしたのに・・・」
恥ずかしそうに俯くと、
「あの方が花の飼い主の山田さんです」
すぐに花の近くまで追いついた二人は、
「もしかして夕菜ちゃんの彼氏?」
にっこり微笑みかけてくる山田さんに、質問をされた夕菜は顔を真っ赤にして、
「違います。図書館でお友達になった橘さんです。コーヒーがお好きだとお聞きしてお店にお連れしたんです」
必死に話す夕菜の姿に彼女の違う一面を見た気がして、聡は嬉しかった。
外の賑やかさに釣られて、里奈もお店の外を覗きに出てきた。夕菜を見付けると、笑顔で、
「夕菜ちゃん、お疲れ、中で冷たいものでもどうぞ・・・・・」
その時里奈の視線が、橘で止まり、
「もしかして夕菜ちゃんのお付き合いしている人」
山田さんと同じことを言い出す叔母さんに、夕菜は、
「お友達です。コーヒーがお好きだと聞いてお店にお連れしたんだけど・・・」
顔を真っ赤にして応えた。
橘は楽しくて仕方がなかった。顔を真っ赤にする夕菜を抱きしめたいと思ったが、そんなことはできない友達という関係に寂しくなるが、まずは周りから落とすかと気持ちを入れ替えた。
「夕菜さんと図書館でお友達になった橘聡です」
丁寧に里奈と山田さんに向かい、頭を下げた。
二人とも何気に顔を真っ赤にしている。それだけ聡は、人を惹きつける綺麗な顔をしていた。
「外じゃなんだからお店の中にどうぞ」
里奈は声を掛けると、山田さんは散歩で疲れた花を抱っこして
「夕菜ちゃんお散歩ありがとう。又お願いね」
と言いながら帰っていった。
カウンターに腰掛けた聡の姿に不思議な気がしてくる。
いつもその姿は図書館の中のあの席にあるのに・・・今日は本じゃなくて手にはカップを持っている。
夕菜の苦手なブラックコーヒーを美味しそうに飲む聡の姿に夕菜はカウンターの中からじっと見とれてしまった。
「やっぱり二人付き合ってるの」
叔母さんが夕菜に耳打ちをしてくる。その言葉に顔を真っ赤にすると、首を横に振った。
それに気付いた聡は、満面の笑みを叔母さんに向けると、
「此処のコーヒー、とても美味しいです。今度から私も常連にしていただきます」
苦味の奥に深みがある味が聡は気に入った。
里奈はそんな橘の言葉に、微笑むと聡の心を見透かすように微笑んでくる。
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