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不意に

「夕菜ちゃん、恋してる?」

突然の叔母さんの言葉に持っていたお盆を落としそうになった。(どうして?)

慌てて首を横に振る夕菜に、

「最近、夕菜ちゃん可愛くなったからてっきりそうだと思ったんだけどな・・」

納得していない顔の叔母さんに今日こそは眼鏡の人・・・橘聡さんのことを話そうとしていると、


「こんにちわ、夕菜ちゃん頼みたい事があるんだけど良いかな?」

家の店の常連さんの山田さんがお店に入ってきた。店の混みぐあいを確認すると、叔母さんに手を合わせて、

「今日腰の具合が悪くて、花ちゃんの散歩に行けそうもないの、お願い夕菜ちゃんにお願いできないかな?バイト代払うから」

山田さんは70を超えたお婆ちゃん。一人暮らしだから前にお婆ちゃんが体を壊して入院していた時期、犬の花ちゃんの散歩をしてあげたら喜ばれた。それからはたまにこうやって頼まれる。


今日はランチも終わって手が空いてるから、叔母さんにアイコンタクトを取り、良いか確認すると笑ってくれた。(良いよっていう返事)

「今から散歩、行ってきますね。バイト代は良いですからかわりにお店の売り上げに貢献して下さい」

夕菜が笑顔で話すと山田のお婆ちゃんも笑顔で、

「お安い御用です。このまま店でお茶して待っているから花ちゃんのことよろしくね」


夕菜はお店の外に出ると玄関で大人しく待っている花ちゃんに駆け寄った。

尻尾をぐるぐる回して喜ぶ花ちゃんはミックス犬で目がクリクリしていて可愛い、白い毛に覆われて尻尾もフサフサしていて夕菜はこの花ちゃんの尻尾がお気に入りだった。


リードを手に掛け、花ちゃんのペースに合わせて歩いてあげる。花ちゃんは小型犬だから引っ張られることは無いから細い夕菜でも大丈夫・・・・

時々寄り道をして匂いを嗅いでいる花ちゃんの尻尾を触ってやると又歩き出す。それを繰り返していると近所の公園に辿り着いた。

「花ちゃんはなにして遊びたい?」

夕菜が声を掛けると棒を一本拾ってきた花、夕菜がそれを投げてやると嬉しそうに棒を拾ってくる。何度も繰り返していると花ちゃんの顔が得意げに変化をしていく。

元々クリクリの目をもっと大きくして耳が後ろに立つている。(可愛い花ちゃん、)棒を投げてやり、走り出す花ちゃんの背を眺めていると、


「こんな所にいたんですか?捜したんですよ」

声の主は橘さん、なんで?(額に汗が・・・・)

「中々今日は、夕菜さん、図書館に現れないから、又体調を崩したんじゃないかと思ったんですけど、一応公園を確認してから夕菜さんの事を諦めようと思っていたんですけど、会えて良かったです」

笑顔の橘に夕菜は、

「今日は犬の散歩で、図書館は行けなかったんです」

夕菜の足元に棒を銜えた花が戻ってきた。尻尾を振って得意げに・・・なぜか橘の足元に行ってしまった。(花はメスだから橘さんみたいにかっこいい人の方が良いのかしら?)夕菜が考えていると、

「可愛いですね、夕菜さんの飼われている犬なのですか?」

橘は座り込み、花の頭を撫ぜている、終いには花は横になり、お腹まで見せる始末・・・(私でも三日は掛かったのに・・・)

「私の犬じゃなくて、お店のお客さんの犬なんです。今日は散歩を頼まれて・・・」

声が小さくて聞き取れなくても橘は気にする様子も見せず、


「お店は何のお店なんですか?夕菜さんさへ良かったら僕も伺いたいですので教えていただいても構いませんか?」

夕菜の顔を覗きこみ聞いてくる橘に顔を真っ赤にしながら夕菜は、



「叔母のやっている喫茶店なんです。この後良かったら一緒にどうですか?コーヒーが美味しいんですよ」

夕菜の言葉に橘は顔を明るくすると、

「俺コーヒー好きなんです。ぜひ連れて行って下さい」

砕けた感じの橘の様子に夕菜は思わず、笑顔が零れたが、すぐに花に視線を戻し、

「じゃ後少しだけ花に付き合ってもらっても良いですか?すいません花って犬の名前なんですけど・・」



更新遅くてすいません。

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