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常連・5

 その日は気持ちとは裏腹に空は快晴だった。

俺の気持ちは、彼女の過去を聞ける喜びと、それを彼女以外の人から聞きだすことに対しての罪悪感の気持ちが入り組んでいた。


 約束の場所の喫茶店に行くと里奈さんはすでに来ていた。

本当に俺が聞いていいのかこの時はまだ悩んでいたんが、

「今から話す内容を聞いても夕菜ちゃんのこと好きでいる自信がある?」

真剣な顔で里奈さんに問い掛けられ、

「聞かせて下さい。夕菜ちゃんの過去も含めて全部好きになりたいんです」

心は決った。


 コーヒーを一口飲むと、溜息を一つ吐いて語りだす里奈さん

「夕菜の本当のお母さん、夕菜が小学校の高学年の時亡くなったの。

 暫くは夕菜のお父さん、私の兄なんだけど、一人で頑張って夕菜のこと育てていたんだけど・・・

 夕菜が中学に上がった頃再婚したの。

 再婚相手は同じ職場の人だったんだけど、後から夕菜のお母さんが生きていた頃・・・

 二人が不倫していたことが夕菜にばれちゃったの・・・

 それも義母の口から・・・

 兄が知らないところであの女夕菜ちゃんに暴力を振るっていたみたいで、その時口走ったみたいなの、

 

 私の所に夕菜が家出してきたことがあってそのことが解ったんだけど、それから夕菜、

 人間不信になったというか・・・自分の父親も信じられなくなっちゃって・・・

 男の人は浮気をするものだと思い込んだみたいなの、

 だから男の人を信用できなくて一時は凄い悩んでいたみたいで・・・

 不眠症になって眠れなかったみたいなの、

 夕菜はあの女に体も心も傷付けられて私の目から見ても可哀想で見ていられなくって、夕菜が、

 高校を卒業した後、家でひき取ったの。

 兄はあの女に騙されているから、どうすることもできなくて・・・」


 一気に話し終えた里奈さんは悲しそうな顔をした。

自分が考えていたよりもっと辛い過去を持っていた夕菜ちゃん・・・

こんな俺が夕菜ちゃんを救ってあげられるのか自信がなくなりそうになった。

でもあの笑顔を自分だけのものにしたいと想う気持ちにかわりは全くない。

愛しい気持ちは前よりも深くなった。


「俺が絶対に夕菜ちゃんを守ります。だからゆっくり見守ってもらえますか?」

里奈さんに向かい頭を下げていた。


 頭を上げると里奈さんは穏やかな笑みを浮かべ俺を見ていた。

一瞬不安が過ぎったが、

「夕菜のこと、よろしくお願いします」

そう言うと俺に向かい頭を下げた里奈さんの態度に俺の気持ちは固まった。

俺は絶対に今度こそ夕菜ちゃんに告白すると・・・

今年の更新はこれが最後です。

読んでくれてありがとうございました。

来年もぜひ読んで下さい。お願いします。

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