出会い
ここは私が毎日通っているとっても静かな中央図書館
大きな窓から日差しが眩しいくらいに降り注ぐ席が私のお気に入りの場所
なのにその席には、今日は先客がいた。
なんかとても背が高くて真っ黒の髪、黒ぶち眼鏡・・・
私は小林夕菜・19才・高校卒業後すぐに上京した。
義母とあまりうまくいってなかったから・・・
今は叔母さんの経営している喫茶店で働かせてもらっている。
叔母さんは父の妹でいつも大人しい私を心配してお店の暇な時間この図書館に
通うことを進めてくれた。それでないと外になかなか足が向かないから・・
「夕菜ちゃん、ランチタイムも終わったしそろそろ行ってもいいよ」
叔母さんは大体ランチタイムが終わる頃私に声を掛けてくる。
叔母さんは34才だけどとても若々しい。私から見ても三十台にはとても見えない
客商売だからかな?小さいお店だけど結構常連さんもついてて、これからの時間
のティータイムは叔母さんとおしゃべりしたい常連さんが集まって来る。
外の植木にみずやりしてから図書館に出かけた。
また今日も私のお気に入りの席にあの黒ぶち眼鏡の人が座っている。なぜ?
ここに通いだして半年以上経つけどあの場所はこの時間帯、日光がよくあたるから
人気が無かったはず・・残念だけどまた違う場所に座ろう・・・
私はお気に入りの作家さんの恋愛小説を片手に持ってキョロキョロした。
でも、本当はあの場所がいいなーと黒ぶち眼鏡の人の方を見ると手招きしてる。
なんで?私の後ろに誰かいるとか?振り返り確認するが誰もいない・・・私・・
まだ手招きしてる。行った方が良いのかな・・でも知らない人だし・・
黒ぶち眼鏡の人の方から私に向かい歩いてきた・・・なぜ?
もしかして見ていた事がばれていた・・・隣まで来た眼鏡の人は
「良かったら隣に来て本を読みませんか?」
と小声で囁いてきた。思ったより若い人みたい・・私は隣の隣の席に腰掛け本を
読む事にした。私が本に夢中になってる間・・眼鏡の人は私の隣に移動していた。なぜ?
私はいつも夕方の5時には、店に戻る。隣の人に一声掛けるべき?小声で
「お先に失礼します」
と声を掛けると
「またね」
と言われた。なぜ?また明日もいるの?
今まで図書館で眼鏡の人を一度も見かけた事は無かったのに・・
「ただいま、帰りました」
私が裏口からお店に戻ると
「夕菜ちゃん、今日お客さんに高菜の漬物貰ったんだ。夕飯高菜チャーハン食べたいなー」
と叔母さんが笑顔で擦り寄ってきた。可愛い・・・
「じゃ夕飯は高菜チャーハン作りますね」
私はすぐに支度に取り掛かる。でも高菜チャーハンはとても簡単・・・
高菜の漬物を細かく切って置いといて・・
フライパンを温め油を入れて溶いた卵を入れスクランブルにして一回取り出し
フライパンでご飯と高菜の漬物を炒め塩・胡椒して最後に取り出した卵を戻し炒める。
いたってシンプルなチャーハン。叔母さんは最後にチョッピリ醤油をたらして炒めた方が
好きみたい。それにスープとサラダをつけて完成
お店が空いてる時、交代で食事をとる。私がお店の様子を窺うとオーダーは全部出てるみたいだし
今の内なら叔母さんも食事できる。
「叔母さんチャーハンできたよ。私、店番してるね」
「ありがとう夕菜ちゃん、でもお店では叔母さんじゃなくて里奈さんて呼んで欲しいなー
なんか叔母さんじゃ本当におばさんみたいでやだなー」
里奈さんはわざと拗ねたふりをしてチャーハン食べに行った。
一人店番しながら今日の図書館での事を考える。
彼は前から私の事を知ってた?そんな事はないか、だって私は彼の事を知らない。
でも今まで回りに目がいってなかったかも・・・・・・
「すいません。お会計おねがいします」
いけない、今はバイト中だった。バイトに集中しなきゃ・・・
お会計を済まし、
「ありがとうございました」
次の日・・今日は図書館行くのやめようと思う
だって知らない人と関わるのは恐い・・・・
今日は公園で一人、ベンチで本を読むことにした。太陽が眩しい、ここは外だから日光が直接だ。
日陰のベンチに移動しょうかな?立ち上がったら眩暈がした・・・
倒れると思ったら隣から手が出てきて受け止めてくれた。
隣を見ると眼鏡の人、なんでここに・・・
「今日図書館に来なかったから捜していたんだ。こんな所にいたら日射病になっちゃんよ。ちょっと待って、ここに腰掛けていて・・」
彼は走って行ったかと思ったらハンカチを濡らして戻ってきた。
「これをオデコにあてといて、解かった?じゃまた待ってて」
と言いながら駆けて行った。戻ってきた彼の手にはペットボトル、それを
「はい」
って渡された。飲めという事かな?ペットボトルのお茶を飲むととても冷たくておいしい・・
「いろいろありがとうございます。どうしてここが?」
「僕の感かな?」
よく解からないが助けてもらったのは変わらない。どうして私を捜すの?
「今日は時間が無いからまた明日図書館で会いましょう」
と言って彼は去って行った。なんだったんだろう。
のんびりの更新になります。