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廃神~ぼくのループものクトゥルフ高校生活も遂に100周目突入~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中


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50話 いいかげん、終わらせよう。


 50話 いいかげん、終わらせよう。


 血を吐く砦に、ニャルは、


「砦才悟、君は確かに強くなった。最初に見つけた時は、虫けら以下と言ってもいいゴミクズだったのに、たった200年……たかが200年ぽっちという、ボクにしてみれば虚空清浄に等しいわずかな時間で、君は、神に抗えるほど強くなった。全然想定通りではないし、ヨグの邪魔も入って、しっちゃかめっちゃかにはなったが、今の君という現象がボクの実験結果である事に変わりはない。――結論。人間は、アウターゴッドになれる。うん、振り返ってみれば、総合的には、それなりに楽しい実験だったと言えなくもない。少なくとも、暇つぶしとしては充分だったさ。それじゃあ、そろそろ……」



 そう言って、ニャルは、右手を砦に向けて、



「終わらせよう。何もかも。片づけが終わるまでが実験……ってね♪」


「……俺は、結局、届かなかったか……」


「まさか、本当に、その小さな手が神話の頂きに届くとでも思っていたの? 人間風情が、ボクに勝てるワケないじゃん。本物の神様をナメんなって話だよ」


「なぁ、神様。一つだけ、俺のお願いごとを聞いてくれないか?」


「んー? んー、そうだねぇ。不快な願いでなければ、考えてあげてもいい。で、何?」


「トコを殺さないでくれ。あんたが望む全てを差し出すから」


「そう? じゃあ、薬宮トコを殺せる?」






「できない」






「即答か。想定してたのかな? 少しくらいは困ってくれると楽しかったんだけど……くく、まあいいや」


「頼む。俺に出来る事なら何でもする。今の俺なら、神を殺す以外なら、大抵の事はできる。そんな俺の全てを差し出すから……頼むから……トコだけは……」


「いいよ。OK。その心意気に心打たれた。感動した。長い事、君の事を観察してきて、君に対して親みたいな感情が、無くも無くは、無い事も無い。というわけで、ご褒美だ。最後に、200年をかけて積んできた君の全てをボクに見せてくれれば、君が望む通りのハッピーエンドをプレゼントしてあげちゃおう。ぶっちゃけ、今のボクは、子供のお遊戯会を見に来た親の気分だからね。一生懸命頑張っている所が見られれば満足さ。さあ、頑張れ、サイゴちゃん」


「その言葉が真実だという証拠は?」


「ないよ。けど、このボクがウソをつくと思うかい? 大丈夫、大丈夫。心配はいらないよ。ボクは、生まれてから一度もウソをついた事がない、人に優しい神様だからさ♪」


「……」


 砦は、何か言いたげな表情を浮かべたが、

 グっと飲み込んで、両目をギュっと閉じた。


 黙ったまま、二丁の朧月華を合体させた。

 ガチャガチャっと音をたてて、一丁の、強大で凶悪なキャノン砲に変形する。


「リミットブレイク・コズミックコール」


 かみしめるように宣言すると、


『LC‐承認。DF/GODインストール。3、2、1……マニューバー解放。コールを』


 合体した巨大なライフルは、砦の両手の中で禍々しいオーラを発している。

 銃口をニャルに向ける。

 銃身の関節部分が怪しく輝く。


「ははははは! 高まっていくねぇ。いいねぇ。すごいねぇ。君が積み重ねてきた絶望が見えるよ。とてつもない……そう、本当に途方もない地獄を乗り越えてきたんだねぇ。くく……あー、たーのしーなー」


 ニャルは笑いながら、右手に魔力をためた。


「君が積み重ねてきた絶望の結晶。その尊い『君だけの最強』を……ボクは遥かなる高みからあざ笑う。そうして、ここに、玉響たまゆらを飾る、雅な悪の華が咲き誇るのさ。人の子よ。種の頂きに辿り着いた廃神よ。瞠目するがいい、これが神の絶望だよ。


 ――強大化・這い寄る混沌の咆哮―― 」




 凶悪で巨大な魔力によって形成された怪光線。

 ――迎え撃つ砦の咆哮は、






「――アポロギス・ノヴァ――」






 それは、今の砦に放てる、正真正銘、最強の一撃。

 全身全霊、全ての魔力を注いで放つ光の咆哮。


 空中で、二つの巨大なエネルギーがぶつかり合い、バチバチと押し引き合う。


「ほらほら、もっと魔力をこめないと。押し込まれちゃうよ」


「ぐぅぬぅ……ぬぅぁああああああ!!」



 魔力がゴリゴリ擦り減っている。

 頭が痛い。


 ガンガンする。

 心が死んでいくようだ。



 ――それだけの魔力を込めても、



「あれ? もう尽きちゃった?」


 あっさりと砦の照射が掻き消えてしまったのを確認してすぐ、

 ニャルは、パチンと指を鳴らし、

 自身が放った怪光線を(砦に直撃する前に)消失させた。


 砦に視線を向けてみると、膝から崩れ落ちており、虫の息で、ぐったりとしていた。

 トランスフォームも解除されている。もはや、ただ死を待つだけの燃えない生ゴミ。



「おやおや、どうしたのかな? お疲れなのかな?」


「……」



 うなだれて、ピクリとも動かない砦に、ニャルは、


「なんだ、つまらない。せっかく、200億年かけてコツコツと溜めてきたコズミックホラーエッセンスを出血大サービスしてあげたっていうのに、もう終わり?」


「……」


「砦才悟。これ以上、ボクをシカトし続けるなら、薬宮トコを殺す」



 そのセリフを耳にした瞬間、砦はピクッと肩を揺らし、ゆっくりと顔をあげた。

 虚ろな、しかし、芯だけは残っている目でニャルを睨む。



「あはははははっ! 本当に、君の薬宮トコに対する執着はすごいねぇ」


「……俺は、あんたに……全力を……ぶつけた……」


「そうだねぇ。さっきの一撃は、今の君に出せる全力だったねぇ。間違いなく、人間という種の極限、輝くような美しい一手だった。で? それが?」


「やく……そく……」


「ん? 約束? 何のこと? もしかして、君、誰かと何か約束でもしていたの? え、誰と? どんな?」



 心底から何の事か分からないというキョトン顔をしてみせるニャル。

 その顔を見てから、砦は、ゆっくりと目を閉じる。



 別に、約束を信じていた訳じゃない。

 ちょっと言ってみただけ。


 もっと言えば――少しだけ時間を稼いだだけ。


「さぁて……それで? 外気から魔力を捻出するための時間稼ぎは終わったみたいだけれど? ここから、どう動くつもり? ひねりだした魔力を使って逃げる? それとも、自分で自分を殺して、何もかもを終わらせちゃう?」



「……当然……抗うさ……」


 砦はゆっくりと立ち上がり、ニャルを睨みつけ、


「まだ……目は見えている。この手は、まだ、剣を握れる。足だって……まだ動く」



 右手にイマジンナイフを召喚する。

 外界から僅かに魔力を吸収・捻出しただけの現状で召喚した為、刀身が恐ろしく小さい。


 ――砦は、眉間にグイっと気合いをこめて、



「まだ、俺は……お前の前に立っている!」




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― 新着の感想 ―
ここでナイフかあ、ここでのナイフに込められた想いは、質量は小さくとも、しかし確かに抗いを見せる。 うーん、センエースの前身だなあ。
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