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廃神~ぼくのループものクトゥルフ高校生活も遂に100周目突入~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中


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43話 真実。


 43話 真実。


「……て、てめぇ……」


「あのさぁ……鍵を100個用意したのは、『そのくらい強化する時間があれば、何とかなるかも』って君に思わせるのが目的で、別に、マジで100回もループさせる気とかなかったんだけど。もう、ほんと、空気読んで欲しかったわぁ」


 やれやれとでも言いた気に、


「流石にあれだけヒントをいっぱいあげたから、早々に気付くと思ってさぁ、こっちは、そのパターンでルートを考えていた訳よぉ。まあ、遅くともtake35くらいまでに、ボクが隠しておいた魔道書を全部回収し終わって、そこに記されている情報の矛盾だったり、不備だったり、違和感だったりから、最終的に、ボクが元凶だって気付いて、でも、take35くらいじゃあ、ボクと戦うには力が全く足りなくて、『どうしよう、どうしよう』って君が悶え苦しむ――みたいな展開を期待してワクワクしていたのに……魔道書を集め終わっても、なんら疑問を抱く事なく、ずぅぅっと、ちまちま、ちまちまとデバイスを鍛えるばかりで……で、最終的に、マジで、ボクに匹敵するくらいまで強くなるっていうね。もう逆に面白――」


「――ニャル」


「ん?」


「質問だ。今、お前が口にした事の確認だから、絶対に答えてもらうぞ」


「なにかな?」


「今の俺は……お前に匹敵するのか?」


「ん? んー……実は、オッサンとの戦闘だけは見せてもらったんだよね。で、あれを見る限り、匹敵……は、言いすぎた。今の君じゃボクには勝てない。ぁ、でも、確実にアウターゴッドクラスではあるよ。神もピンキリで、君はキリの方だけれど、だからって君がハンパない事に変わりはない」


「……」


「いやぁ、ほんと、凄い、凄い。人間の精神力で、よく200年も経験値稼ぎができたねぇ。君は間違いなく、世界一の廃人だ。その狂気を称え、今回ばかりは、素直に褒めてあげよう。あっぱれ! 痛みに耐えてよく頑張った! 感動した!」



「ニャル。質問だ。お前を殺せば……全部終わるか?」



「というより、ボクを倒さなければ、薬宮トコは死ぬ。ボクがこの手で殺すから。なぜ、薬宮トコを殺すかって? 決まっているだろう。そうじゃないと、この絶望が完成しないからさ」


 そこで、ニャルはニタァっとドス黒く微笑んで、


「ボクを殺さないと薬宮トコは死ぬ。けど、君じゃボクは倒せない。君は薬宮トコを守れない。君の全ては無駄だった。神の領域にまで至って、なお届かない……その絶望と破滅。儚いねぇ、切ないねぇ。だからこそ美しい。さあ、砦才悟。フィナーレだ。派手に飾ろうじゃないか。君の敗北によって、この絶望は完成する」



「……長かった」



「ん? 何だって?」


「take52から今日まで……長かった……長かったぞ……ぁあ、長かった……てめぇにとっては、ほんのわずかな時間かもしれない。ちょっと目を離した隙間、その程度の短い合間かもしれない……だが……」


 砦は、厳かに右手を胸にあてた。

 静かに息を整える。


 スゥっと空気が冷えた。

 凍てつくよりもしなやかに、怜悧な粒子が背筋を伸ばす。



「悪鬼羅刹は表裏一体」


 一瞬、世界から音が消えた気がした。


「俺は独り、無間地獄に立ち尽くす」


 蒼く帯電する気血。

 充血するほどに碧く、冷徹なほど鋭く澄んでいく。


「きっと、ここは幾億の夜を越えて辿り着いた場所」


 青冷めた流血で狂気を拭う。

 周囲で、幾何が耀きだす。

 溢れ出る、超位のエナジー。

 その螺旋。


「さぁ、詠おう、詠おうじゃないか」


 超次元のジオメトリが、書き殴られた神字の鎖で繋がって、


「歪な軌跡を残す廃人の詩を、たゆたう血に穢れた杯を献じながら」


 風雅に嗤う、非局所性のワルツ。


「……これが、最後の出撃だ……だから……ありったけを!」


 言葉の一つ一つが形となって、砦の全てを包み込む。

 覚悟は爪牙に、想いは剣翼に。

 ゆえこそに、アマラ(究極の精神作用)を注いだ光輝となりて、顕現――




「淡く輝く愛の結晶! いと美しき、月光の携帯ドラゴン、起動!! 来いぃ!! ルナァアアア!!」




「きゅい!!」




 イタズラな神をも凌ぐオーラ。

 やる気満々で飛び出してきたルナを見て、

 ニャルは、


「ははっ、シンギュラリティコール(限界突破起動)か。アリア・ギアス(神羅の誓約)を組み込み、アニマワードまで指定して……くくっ、随分と凝っているじゃないか。さてさて、どれどれ……ふむふむ……存在値上昇率1790%か。はは、やる、やるぅ。その起動ができるようになるだけでウン十年をかけたってところかな? あははっ。オッサンとの最終決戦用に隠しておいた、とっておきの切り札ってところだろうけれど……残念、まだ足りない」


「……」


「計算外かい? はっはぁ! でも、そりゃそうだろ? ボクは神の中の神。ヨグをのぞく全ての頂点に立つ神。神格序列第二位の超神。それがボク、ニャルラトホテプ。人間風情が勝てる相手じゃないんだよ」


「それほどの神を殺せるとは……光栄だ」


「あはははは! なかなかスマートな切り返しじゃないか! くくっ、その目、いいよぉ。本気でボクを殺そうとしている目……うん、少しだけ楽しくなってきた。こうなったら、結末を、みんなに見てもらおうか」


 言いながら、指をパチンと鳴らした。

 すると、その場にいた全員が、一瞬で認知の地平面へと転移した。

 精神と時のアレを彷彿とさせる、遠くに地平線だけが見える、何もない真っ白な空間。



 ――そして、その白い空間に、紅院と黒木と茶柱も転移してきた。



 紅院と黒木は、転移そのものに驚愕しているが、茶柱だけは、いつも通り、そんな事はどうでもいいようで、


 ――しかし、ニャルの顔を見て、とびっきりの驚愕を露わにし、



二夜にや先生……これは……なんなのかにゃぁ?」


「やぁ、茶柱罪華。いきなりでなんだけど、ボク、医者なんかじゃなくて、偉大なるアウターゴッドの一柱なんだよね。で、君の弟を殺したのは、実はボクなんだよね。あははっ」


「……は?」


「まあ、殺したっていうか、病気で死にかけていたから、楽にしてあげたって感じかなぁ。薬宮の会社が創った薬を使うと、長い事苦しむハメになるからさぁ、可哀そうだと思って、逆に毒を盛ってあげたんだよぉ。感謝してよねぇ。例の酵素阻害剤は、アホみたいに効果抜群でさぁ。あのまま投与し続けていたら、茶柱祐樹は、プラス2年3カ月と25日ほど苦しむ事になっていたんだけど、砦を使った画期的な実験に使えそうだったから、ほんの少し苦しむだけで終わらせてあげたんだよぉ。死に届いた時の、彼の顔と、それを見つめる君達家族の顔は傑作だったよねぇ。なかなか味のある絶望だったよ。あっはっは!」


 ぎりぃっと、奥歯をかみしめてニャルを睨みつけている茶柱。

 滅多に見られないレアな表情。



「く、くそがぁああああ!! 殲滅の携帯ドラゴン、起動――」



「《黙れ》《動くな》」



 ニャルがパチンと指を鳴らして、そう言った瞬間、

 茶柱は口を真一文字に閉じて、その体はピクリとも動かなくなった。


 高位の呪縛。

 即座に理解。

 素では解除できない。




「携帯ドラゴンの起動すら最低限レベルでしか出来ない君風情じゃ、大した魔力も込めていない呪詛にも抵抗できない。ちなみに、携帯ドラゴンのシステムの中には『特殊スペル起動』ってのがあってね。やり方さえ知っていれば、携帯ドラゴンを強化した状態で呼ぶ事も出来るんだ。――今の砦は、君なんかでは想像もできないほど高位の特殊スペル起動で携帯ドラゴンを召喚している。けれど、そんな今の彼でも、ボクには届かない」



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