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廃神~ぼくのループものクトゥルフ高校生活も遂に100周目突入~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中


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40話 違和感。


 40話 違和感。


 take100


 ――夕方になるまで、砦はトコと、これからどうするかを話し合った。

 トコとの会話の途中で、砦の頭に引っかかる事があって、


「――ちょっと待て。つまり、ウムルとの戦いでは、南雲の方から『自分も一緒に戦いたい』と言ったのか?」


「そうやけど? それが?」


「……ありえない……」


「何がやの?」


「あいつは、俺に匹敵する、とびっきりのビビリなんだ。『これで自衛しろ』と、紅院からベレッタを渡された時、武器なんて自分には使えないと言って泣くような俺以上のクソヘタレ女。まあ、だから、take0の時は随分と仲良くなったんだが――」


「随分と仲良くなったって、どのレベルで?」


 若干、怒気がこもっている声で尋ねられ、砦は少しだけうろたえながら、


「は? ぃや、まあ、基本、take0の時は、あいつと一緒にいたな。救出したあいつを護衛したり、さらわれないように監視したりするのが俺の主な仕事だった」


「……ほー、それは、それは。そう言えば、あんた、ミレーと結婚した事もあるとか言うてたっけ?」


「ぁ? ああ、ムリヤリ判を押すよう、あいつの親父にすごまれて、仕方なく……って、なんだ、その顔」


「別にぃ」


「……話を続けるぞ。とにかく、南雲が自分から闘おうとする訳がない」


「ほな……つまり?」


「寄生されたタイミングがいつか……ヨグは言っていなかった。もしかしたら、南雲は、最初からGOOに寄生されていたのかもしれない。そうだとすれば、今回だけ携帯ドラゴンを召喚できた事の説明がつく。おそらく、南雲の精神に寄生したGOOはイス人。やつらは、素体がそもそも超高性能で、かつ対携帯ドラゴンのスペシャリスト。性悪のヨグが選びそうな、俺に対する嫌がらせとしては、実に最悪の人選――」


 と、そこまで話した所で、



「――はい、正解、ぱちぱちぱちぃ!」



 ドアの方から声が聞こえて、反射的に二人は声をあげた。

 そこには、ドアに背中を預けて腕を組んでいる南雲奈桜がいて、


「ハロー。薬宮トコ、砦才悟。勝手に入っちゃってごめんねぇ」


「「……」」


 警戒している砦とトコの目の前を気軽に横切って、

 砦のベッドに腰を下ろすと、優雅に足を組んで、


「さて、じゃあ、そこから先の話をしていこうか」


「……これは、どういう状況だ? 狼が、トコを殺しにきた……という状況ではないはずだよな。なんせ、ここには俺がいる。いくらイス人でも、正面切って俺を殺す事は出来ないはず」


「うん、できないね。君は、『越えられないはずの壁』を越えてしまった逸脱者。イスの聖軍が束になっても勝てない神格の超人。……一つ言っておくけれど、私達が創った兵器を、私達以上に使いこなす君に、嫉妬心や劣等感なんかはないよ。格ゲーの製作者が、プロゲーマーに勝てないからと言って、己を卑下したりはしないよね? むしろ、より芸術的なプレイを魅せて欲しいと胸を熱くするものさ」


「……で? 何をしにきた? 敵対者と呑気にお喋り出来るほど、今の俺に余裕はない。さっさと――」


「最後に、背中を押しにきた」


「……?」


「君は200年を駆け抜けてきた。全力で走ってきたゆえ、見えなかったもの、見過ごしたものも多いはず。……どこかで感じなかったかい? 違和感、異物、引っかかり。これまでの200年の中で、『何か』がおかしいと思った事は、一度もなかったかい?」


「……」


「全ての『気付き』が繋がった時、君は見つけるはずさ。君が目指すべき、本当のトゥルーエンド。円環の理をも越えて、シュタ〇ンズゲート世界線に辿り着けるはず、とでも言えば、少しは理解ができるかな?」


「そんな、フワフワした説明で分かる訳ないだろ。もう少し詳しく――」


「さて、これで、全ミッション終了。……ふぅ、やっと終わる。200年……思ったよりは長かったかな」


 そこで、南雲の体がドロリと解けた。

 それを見て、トコが、一瞬、


 「ぅわっ」


 と小さな悲鳴を漏らす。


 南雲の肉と骨が、残らずジュワァっと解けたかと思うと、

 そこに、空中で回転する虹色の円錐体が現れた。


 その自転している円錐から、南雲の声が聞こえる。


「最初から、南雲奈桜という人間は存在しない。これは、私達イス人が、こんな時のために用意していた通信道具に、リン酸カルシウムのパッケージをつけて、固めたタンパク質を覆っただけの、低スペック有機ガイノイドでしかない。役目を終えれば消えてしまう」


「今回だけ寄生された訳じゃなく、200年間、俺を騙していたって事か」


「まあ、言い方は悪いけれど、実際、そういう事だね。ちなみに、それもヒントの一つだ。……解き明かしてみなよ、砦才悟。――狂気的な愛だけで『種の限界』に辿り着いた稀有な英雄よ」


 そこで、回転する円錐は、淡く発光し、


「さて、ナグモナオのエネルギーもピッタリ空になった事だし、君たちホモサピエンスという『後輩』に対して便宜を図るのはここまで。ここから先は君たちの戦いだ」


 最後にそう言うと、回転する円錐は粒子になって消えていった。



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