3話 告白。
3話 告白。
「な、なんで……そんな事が出来たん? 200年も戦い続けるとか……そんなん……」
「お前が守ってくれたこの命を、お前のために使う。至極、当然の話。それに――」
そこで、砦は、薬宮の手を握り、
「俺はお前が好きだ」
――ようやく言えた。やっと言えた――
「好きな人のために命をかける。当たり前の話だ」
/yg/ ――薬宮トコ、無上の愛を捧げられし者よ。
今の貴様には、『その告白』に、どれだけの重みがあるか、想像もできないだろう。
分かるか、薬宮トコ。
その男は、この200年間、
貴様に対し、数え切れないほど、感謝の言葉を述べてきたが、
貴様への恋心を正式な言葉で伝えた事は一度もないんだ。
その意味が、分かるか、薬宮トコ /Sh/
「け、結局、告白やったんや。違うって言うてなかった?」
なんで、わざわざ体育館の裏に呼び出したかって?
決まっているだろう。
最後に、どうしても――
「……トコ。安心しろ。これまで、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も誓ってきたが、ここで、もう一度、誓おう。お前だけは死んでも守る。絶対に……死なせねぇ」
★
take0
――『2017年3月。A級GOO戦、終了後』
『こんな結末……認めない……絶対に君を取り戻す……』
『そのためなら……ぼくはなんでもする……』
『それしかないというのなら! 神様だって殺してやる!!』
★
take99
――『2015年。五月』
砦は、トコの額に右手を当て、
「オング、ダクタ、リンカ。ネブトッド、ヂン。フングルイ、ムグルウナフ、ヨグ=ソトース、ンガァ・グア、ナ・フルタグン。
イア・イア! ヨグ=ソトース、フタグン!!
イア・イア! ヨグ=ソトース、フタグン!!! 」
薬宮トコの呪いについて、もはや知らない事は何もない。
強制起動もお手の物。
砦が、禁忌の詠唱を口ずさんだ直後、トコの体から、黒い靄がたちこめる。
その靄は上空十メートル付近の、とある一点で固まっていく。
グルグルと大気を飲み込んで、大きな渦を巻く。
具現化されていく狂気。
いと深きコズミックホラーの顕現。
――黒い渦は、いつしか虹色に輝きだし、そして、
「……私を呼んだのは貴様か?」
人型の姿をとった化け物が、低い声でそう言った。
虹色に発光しているローブを纏いし、透明の肌をした、ゾっとするほど美しい青年。
彼――『ヨグ=ソトース』に対し、
砦は一歩前に出て言う。
「ああ、そうだ。最強の神ヨグ=ソトースよ、俺があんたを呼んだ」
「星の終わりを望む者よ。この万能なる時空の王、混沌の媒介『ヨグ=ソトース』がもたらす終焉を、さあ、称えるがいい。そして、高らかに詠いあげるがいい」
「あんたを呼んだのは、この手で終わらせるためだ。……神を殺し、この絶望を終わらせる! そのために、俺は200年を積んできた!」
「……人間風情が? この私を終わらせる? 何を愚かな――」
「ルナ! 起きろ!」
「っ、きゅいっ!」
飛び起きると、ルナは、砦を守るようにパタパタと飛びながら、ヨグを睨みつける。
「遊びはなしだ。最初からフルスロットルで行くぞ! ――トランスフォーム! モード・アウターゴッド/レベル10!」
宣言した瞬間、ルナが強く発光し、細かな粒子へと崩壊していく。
輝きは拡散し、収束して、気付いた時には、余す事なく、その全てが、砦の体を包みこんでいた。
ほんの一秒弱で、砦の体は、白銀のオーラを放つ龍化外骨格で包まれていた。
その外殻は、『悪魔と融合した龍を、生きたまま分解・マシン化し、そのパーツで組み立てたような全身鎧』と表現するのが最も適切な、魔動アクチュエータの集合体。
接続部は絶えず発光・脈動していて、たまにプシューっと煙を吐いている。
顔の部分だけが出ている兜の額には、ブレードアンテナのような下弦の月。
月光の淡い輝きをモチーフとした、神を狩るために鍛えてきた究極の一品。
――そんな神殺しの龍を纏う砦の姿を見て、
「ほう……素晴らしい。とてつもないエナジー。人間とは思えない力」
「俺の200年が、これで終わりだとでも?」
砦はニヤっと笑い、みぞおちに力を込めて、
「魔皇ドライブ起動!! 両腕リミッター、解除! カオスインフィニッター接続!!」
砦を包む魔力とオーラが膨れ上がる。
リミッターを解除した瞬間、両腕部分がガチャガチャっと変形していき、より混沌としたフォルムへと変身する。
そして、両腕に接続された、身の丈ほどもある巨大なガトリングガンブレイド。
無限のカオスシェルを撃ちだせる殺戮兵器『カオスインフィニッター』の二丁装備。
それは、すなわち、神を殺す覚悟の証。
――まだ終わらない!
「ホロウユニバース‐システム発動! ナイトメア・ユニット、オープン!! 我が身を守れ、マキシマイズ・ドリームオーラ/クラスSSS!!」
あらゆる攻撃の貫通値を数倍に跳ねあげるシステムを発動させ、
飛行制御性能を爆発的に上昇させるユニットを広げ、
ほとんど無敵になれる防御壁を展開させる。
際限なく膨れあがる魂魄。
世界を飲み込むような怒涛の威圧感。
「ヨグ=ソトース……お前を、あるべき場所へと還し、全ての絶望を終わらせる!」
二丁のカオスインフィニッター、その凶悪な銃口をヨグに向けて宣言する。




