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廃神~ぼくのループものクトゥルフ高校生活も遂に100周目突入~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中


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29話 推察。


 29話 推察。


「愛ゆえに、という可能性は低いでしょうね。なぜなら、あの態度の説明がつかないからです。間違いなく、あの人は私たちから嫌われたがっています」


「そう。砦は、確実に、あたしらから嫌われたがっとる。あの徹底した態度を取っとる理由は、偽悪的な性格とか、ひねくれとるとか、そういう性質云々によるものではないやろ」


「私もそう思います。先ほどの砦さんとの会話の中でトコさんが言っていたように、砦さんは完全に無理をしています。注意深く聞いてみれば、一言一句から、なにがなんでも、『私達から好かれる訳にはいかない』という強い気概を感じました」


「こんな可能性はないかしら? 砦は、異常なほど嫉妬深い女と付き合っていて、他の女と少しでも仲良くするとボコボコにされてしまう、とか」


 ――砦が誰かと付き合っている。

 その可能性を耳にした瞬間、トコの心が、なぜか、チクっとした。

 理由はさっぱり分からないが、妙に頭の裏がズーンと重くなる。


「彼ほどの超人をボコボコに出来る存在って、神様くらいなのですが?」


「あれほど超越的な強さを持った存在なのだから、女神様と付き合っていると言われても、私は信じられるわ」


 そこで、トコは、砦が寝ていたベッドに腰かけ、


「しょうもない冗談をほざいとる場合ちゃうやろ。真剣に考えぇ」


 ため息交じりに、そう呟きながら、


「しかし、うーん……砦才悟……砦……才悟なぁ……なんやろうなぁ……砦才悟……」


 名前を反芻する。

 彼の名前を口にするたび、妙な感覚に包まれる。


「トコさん、どうしたのですか? 変に難しい顔をしていますが」


「いや、実はなぁ……黙っとったけど……あいつの事、なんとなく、随分前から知っとったような気がせんでもなくてなぁ……よう思い出せんのやけど……なんか……砦才悟って名前には、妙な既視感が――」


「トコてぃん。『どこかで会ったことない?』戦法とか、そんな旧い手法で逆ナンしようだなんて、あさはか過ぎて内臓が飛び出るほどのゲボが出そうだにゃぁ」


「遠慮なく、直腸ぐらいまで吐き散らかして死にさらせ」


 トコは、茶柱の発言をサラっと受け流し、


「というか、根本の話、あいつ、なんで『委員会』に入ってないん? 契約適正持ちは、『アリア・ギアスの収束』がどうたらで、自然と委員会に所属するって話やなかったの? 魔道書、完全に、ウソついてるやん」


「そうね。……というか、そもそも、彼は、どこで、契約書を入手したのかしら?」


「考えれば考えるほど、砦さんの謎は深まるばかりですね。分かっているのは、行動から鑑みる限り、個人で委員会的な仕事(神話生物狩り)をしているのは間違いないという事くらいですか……」


「うにゅう。ワン〇ンマンのサイタマみたいに、実は、委員会が与り知らない所で、日夜、世界を滅ぼさんとするアウターゴッド級を叩きつぶしてくれていたって可能性もあるにゃぁ。そんなスーパーヒーローに惚れられちゃっている罪華さんのヒロイン力の前では、どんな女神様も裸足で逃げ出しちゃうこと待った無しだにゃぁ。今回、シュブに勝てたのも、砦てぃんが強かったという以上に、シュブが罪華さんのアリア・ギアス(美しすぎる耀き)に圧倒されていたからという点が大きかったように思えるにゃぁ。いやぁ、流石、傾城傾国にして絶世独立にして天姿国色のファイナルオメガ究極美少女、茶柱罪華さんだにゃぁ。サインが欲しい人は一列に並んで欲しいにゃぁ。ほらほら、慌てない、慌てない。ちゃんと、みんなに書いてあげるにゃぁ。まったく、みんな、罪華さん中毒にゃんだからぁ」


「ほざき終わったか? ほな、しばらく黙っとれ。できれば、二度と口を開くな」


「あ、あの……」


 そこで、おずおずと声をあげた南雲に視線が集まる。


「わ、私、思ったんだけど、砦くんって……単純に……トコちゃんを守ろうとしているんじゃないかな?」


「は? なんであたしピンポイント?」


「ほ、ほら、今回の戦いって、結局の所、一言でいっちゃうと、トコちゃんが死ぬか、死なないかっていうゲームだったわけじゃない?」


「まあ、あたしがボーナスに選ばれてしもうたからなぁ」


「ルール説明を受けている時、砦くん、最初の方は、『最悪、~~という手段もある』みたいな計算しているっぽい顔をしていたのに、トコちゃんがボーナスに選ばれた瞬間、サァって一気に青ざめて……なんていうか……すごく苦しそうだったの……」


「そうなんか? あの時は、シュブの話に集中しとったから、砦の顔とか、全然気にしてなかってん」


「私も、あの時に砦が浮かべていた顔など覚えていないわね」


「ま、間違いないよ。それに、あの……なんていうか、あの人……トコちゃんに対する態度だけ、いつも、なんだか妙に、その、なんていうか『強い』気がするんだよね。なんだか『トコちゃんにだけは、絶対に好かれちゃいけない』みたいな、強固な意志を感じたの。わ、私、恥ずかしい話だけれど、今まで、ずっと、人の顔色ばっかり窺って生きてきたから、そういうの、なんとなく分かるんだ」


 南雲の話を聞いて、紅院は、


「そう……ね。確かに、言われてみれば、砦はトコに対して、最初から、妙に当たりが強かったような気がするわね」


「そういえば、自分はロリコンじゃないとか言って、トコさんを極端に拒絶していましたよね。……トコさんは確かに、二極化したカテゴライズ上では幼児体型寄りですが、一般的な価値観でいえば、理想的な小柄体型と言える真っ当な美少女で、かつ同い年のクラスメイトでもある訳ですから、仮に彼がトコさんに好意を抱いたとしてもロリコンとはならないはずですのに、トコさんを、やけにロリ扱いする妙な人だなぁと、実はひそかに思っていました。あの発言が、もし、『薬宮トコは趣味の範囲外だから、まったく興味はない』という強引な逆アピールだったのだとすれば、むしろ胸にストンと落ちます」


「あんたら、矛盾した事言うてんで。逆アピールするほどの相手を必死になって守るって訳わからへんやろ」



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