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廃神~ぼくのループものクトゥルフ高校生活も遂に100周目突入~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中


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28話 むりがある言い訳。


 28話 むりがある言い訳。


 ――紅院が、


「あなたには、その……何と言っていいか……」


 もごもごと、しかし、確かに、感謝を述べようと言葉を紡いでいる。


 そんな彼女を見て、砦は、


(仕方ない……)


 覚悟を決めると、


「ちっ。つい、あのクソ女にイラっとして、『休憩なんざ、してやるもんか』と、変に意固地になっちまった。俺もガキだな。……まあ、しかし、所詮はそれだけの話とはいえ、この俺様がお前らを助けたという事実は消えねぇ。という訳で、てめぇら全員、今日から俺様専用パンツ製造機な。毎朝、脱ぎたてを俺に献上する事。さらに――」


「……いや、もう、無理あるて。あたしらも、アホやないんやから」


 トコが、砦の言葉をさえぎり、今までとは違う、優しい口調で、


「なんで、そんなグッダグダの言い訳までして、あたしらに嫌われたがっとんのか知らんけど……とりあえず、流石に、あそこまで必死になって守ってくれたあんたの事を、最低のクズ野郎とかは思われへんよ」


 トコの言葉に続いて、他の女性陣も、少しだけ苦笑いを浮かべて、コクっと首を縦に振っていた。

 茶柱だけは、


「エグいにゃ! グレイス城がテリワンに搭載されているにゃ! みんな、見てみて。あ、でも、ダー〇ドレアムはいないにゃ。マップだけだと意味ないにゃ」


 などと呟きながら、ピコピコやっている。


 そんな彼女達(茶柱以外)の表情を見て、砦も理解した。

 もはや、言葉で取り繕えない所まで来てしまった。


(さ、最悪だ……くそったれ……)


 だが、折れない。

 この程度で諦めるくらいなら、とっくの昔に自殺している。


(考えろ……折れるな……ちゃんと頭を使え……まだ、終わってないはずだ……)


 くじけない。

 絶対に挫けてやらない。


「ここまでの流れを鑑みて、あんたが、必死に何かを隠しとるって事だけは理解できた。いったい、何を隠し……というか、そもそも、あんたは何者や? なぁ、教えてくれへんか? 守られてばっかりは性に合わん。あたしらも力になりたいんや」


「……」


 砦が黙って奥歯をかみしめているのを見て、紅院が、


「その反応……やはり、何かあるみたいね。ねえ、砦。話してくれない?」


「……パンツがほしかったんだよ。俺は超一流の変態なんだ。紅院が死んだら、例の報酬がなくなるし、他の連中も、ブスだが、一応は女だから、いくらでも使い道はある。それだけのことだ。ゴチャゴチャと訳のわからん事を口走ってケムに巻こうとしても無駄だぞ。さっさと脱ぎたてを――」


「ブラでもショーツでも、欲しいんやったら、ナンボでもくれたるから、ええ加減、話せや。何を隠しとんの? 何で、あんなに、必死であたしらを守ってくれたん? あと、何で、そこまでして、クズ野郎を熱演しとんの? あんた、どう考えても、そんなヤツちゃうやん。どこのクズ野郎が、あない必死になって、他人を守んねん。最初から、ちょっと変やなぁとは思っとったけど、冷静な目であんたを見たら、完全に無理してるやん」


(ダメだ……何を言っても通じねぇ……詰んだ……)


 一瞬、気が遠くなりかけた――が、


(まだ、だ……)


 鋼の精神力で自心を叱咤する。

 必死に積んできた200年は伊達じゃない!


(こんな事で……折れると思うなよ、ヨグ。最後の最後まで、抗い続けてやるからな。好感度なんざ、上げるよりも下げる方が圧倒的に簡単なんだ。だから、まだ、終わってねぇ。終わらせねぇ!)


 決意の総量が、許容量を遥かに超えて上昇していく。

 砦は、軋む体を起して、ベッドから這い出ると、


「薬宮なんとか。お前の相手すんの、すげぇしんどい。全体的に、ちょっと何言ってるか分かんねぇ。てめぇみたいな電波の相手をしていたら、こっちの頭までおかしくなりそうだ。……おい、そこのメガネ、どけ、ごらぁ……邪魔だ」


「だ、ダメです! まだ、回復し切れていません! 動いてはダメです!」


「うっせぇ、ボケ。俺に話しかけんな。回復魔法を使えるのが、てめぇの携帯ドラゴンだけだと、いつから錯覚していた? ウチのクソ龍を使った方が、よっぽど早く回復できんだよ。つーか、この部屋、メスブタ臭が酷すぎる! こんな所にいたら鼻が爆散する」


 止めようとする美少女たちをかき分けて、ドアに手をかけた所で、


「お前ら、ちぃと規格外にキモすぎる。二度と俺に話かけんじゃねぇ。近づくのも禁止だ。分かったか、このいかれクソ女ども。お前らの顔は、マジで二度と見たくねぇ」



 ★



 take50


 ――『砦と紅院くれないん


『トコが生き残る方法は……本当にないのかしら?』


『……ヨグを殺す以外、方法はない。まあ、アウターゴッドは死なないから、正確な表現は【殺す】ではなく【フルボッコにして封印し還す】だが』


『才悟。あなたって、なんていうか、ほんと……いつもそうね。どんな時でもクールで、超然としていて、本当にすごいと思うわ』


『クールで超然……はっ』


『なに?』


『今の俺は発狂しているだけだ。最初の10年ぐらいは、まだギリマトモだったが、いつしか、俺は……【トコを守るために何ができるか】以外、何も考えられないようになっていた。ようは、壊れちまったんだよ。それだけの話だ』


『確か、ループを開始してから、すでに100年ぐらい経過しているんだっけ? 随分と長い間、私の家族のために、頑張ってくれたわね。本当に、感謝しているわ』


『ここから先の方が、よほど大変なんだがな。残り50本……おかわりの100年を使って、ひたすらルナを鍛える。そうすれば、ヨグを倒せるかもしれないから。まあ、あくまでも可能性の話でしかないが、しかし、わずかでも可能性があるのなら……俺はやる』


『あと100年……頑張れる?』


『トコを守るためなら、俺は、なんでもする』


『この前、教えてくれたわね。100年後の本番で……あなたは、ひっそりとヨグと戦い、ひっそりと人生を終わらせるつもりだって』


『それがベストだ。最悪、何かしらの問題が起きて、俺の存在が、トコに露見したとしても、その時は、徹底的にクズを演じて、全力で嫌われてやるつもりでいる。俺ごときの死なんかでトコが少しでも傷つくのは耐えられねぇ。それを回避するためなら、殺人鬼や性犯罪者になるのも厭わねぇ』


『ありがとう……そこまで、あの子を愛してくれて』


『俺が勝手に惚れているだけだ。誰かに感謝されるような事じゃない。やっていることはストーカーとかわらねぇ。そこらのハンパなストーカーと比べて、狂気の度合がレベチってだけの話』


『ふふ……あなたほどの男に、そこまで愛されているあの子に、正直、ちょっと嫉妬しちゃうわね』


『苦しくて、しんどくて、だから、うずくまって泣いていた……そんな時、この世で、たった一人、命がけで守ってくれた女だぞ。惚れない方がおかしいだろう。もともと、外見に一目ぼれしていたが、そんな安い感情なんざ霞むくらい、俺は、あいつの、底なしのイカれ方に落とされた。恋ってのは、ただまっさかさまに落ちるもの。その真理を、俺は、きっと、この世の誰よりも理解している』


『トコだけではなく、あなたも……二人ともが幸せになる道って……ないのかしら?』


『俺の事なんか、どうでもいい。もう、バカみたいに生きた。トコのために、この命の全てを使う。それだけでいい』


『……才悟』


『なんだ?』


『辛くない?』


『……』


『あと50回……100年後、もし、あなたの計画が、何もかも全て完璧に成功したとしても……いえ、成功したとしたら、トコは、あなたが、自分の為に、どれだけ頑張ったかを知らないまま生きていく事になるわ。その先ずっと、あなたに対する感情も記憶もない人生を送るの。その人生のどこかで、どこかの、しょうもない男と結ばれるかもしれない。そんな時でも、トコは、あなたの事を、塵芥ほども考える事はない』


『だろうな。当然だ』


『そんな、あなたにとっては絶望しかないと確定している未来のために、あと100年も戦えるの? その孤独、苦痛に耐えられるの?』


『耐え難いな。死ぬほど辛いし、死にたくなるほど苦しい。だが――』


『だけれど、なに?』


『――トコを助けられるのなら、俺の痛みなんざ、どうでもいい』


『……』


『薬宮トコを生かそうと思えば、俺は確実に死ぬ。どうせ死ぬなら……俺は、トコが、塵芥ほども苦しまない道を選ぶ。それだけだ』


『……』



『なぜ、泣く?』



『……こんなに頑張っているのに……こんなに健気なのに……その努力も愛情も……全部、なかったことになってしまうだなんて、誰の心にも残らずに消えちゃうだなんて……そんなの……あんまりだわ……』


『同情はいらない。感謝もいらない。深い愛情どころか、薄っぺらな好意でさえ、今の俺は、事実、わずかも必要としていない。何もいらないと心底から思えるほど……俺は、あいつに惚れている。きっと、人生には、それ以上の何かなんて必要ないんだ』


『……才悟』


『考えてもみろよ、美麗。俺は、100年愛せる女と出会えたんだぜ? はっ。改めて考えると、マジでヤベぇ。なぁ、知ってるか? 俺、あいつのためなら、神様だって殺せるんだぜ。それほど愛せる女と出会える確率ってどのくらいだと思う? そんな俺に同情するなんざ、お門違いも甚だしい。俺は間違いなく、世界一、幸せな男だ』



 ★



 take100


 砦が出ていった後、

 保健室では、美少女たちが話し合っていた。


「あいつ、ほんま、何者なんやろうなぁ。あいつが抱えとる秘密、多分、只事やないで」


「ですね。シュブから私達を守ろうとしていた時の気迫、尋常じゃなかったですから」


「砦は……なぜ、ああも、必死になって私達を守ろうとしているのかしら? 私達、砦とは何の関わりもないわよね?」


「す、少なくとも、私は、あの人とは何の関係もないよ」


「たぶん、罪華さんに惚れちゃったんだにゃぁ。愛する罪華さんを守るために、彼は、必死になっているんだにゃぁ。ぽっ。罪華さんってば、罪な女だにゃぁ」


「アホの戯言はともかく、ホンマにどういう事なんやろうなぁ」


「あっさり妄言と切り捨てるのはどうかと思うにゃぁ。罪華さんほどのオメガ究極美少女はそうそういないにゃぁ。この美貌に狂ってしまう男がいてもおかしくないにゃぁ」


「まさかとは思うけど、それ、本気で言うとんのやないやろうなぁ。どこのアホが、女一人のために、あないボロボロになりながら、必死になって神様と戦うねん」



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