表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

前兆

「えっ、これって…」


天使の少年は引き金に指をかける時になって、始めて何かに気付き動揺する


背中合わせに立って応戦していた悪魔の少年は、苛立たしげに「引き金を引け!早くしないと死ぬのは俺たちだ!」と彼を急かした


程なくして二人が同時に武器の引き金を引く

筒状の砲身から5100℃のメギドの炎が轟音と共に迸り、銀行の行員たちを物理的に破壊した

そのまま二人は背中合わせに立ったまま、360°を水平に薙ぎ払う

最初に破壊による暴風が、そして次に熱による死が命を奪った


「お前の言う道徳が、これを与えてくれたか?」


「落ちぶれてまで正しさにしがみつく意味はねえ、楽しくやろうぜ」


悪魔が、それに相応しい嗤いで天使の子供を視る

銀行内には非常ベルが鳴り響いていたが、それに応えて集まるべき者達は総て粉々になっていた


「見ろよ、これだけあればお前と一生遊んで暮らせるかも知れねえ」


悪魔の子供が金庫の扉を開き、恍惚と札束を手にした

天使の少年は、それを浮かない顔で眺める


「どうした、またいつもの『予感』か?」


「なんかあったら知らせろよ」


「その『予感』を察知するために、お前なんかと組んでるんだからよ」


悪魔の少年は鞄に次々と札束を投げ込んでいく

その時、物陰から近付く気配があった


気配の源を探し、天使の少年は周囲を見渡す

「ねえ気を付けて」


「誰かいる…!」


悪魔の少年は札束に夢中で、小声での警告を意に介さない

天使の少年が大きい声を出すか迷っていたその時、銃声が響いた



本来神聖だった筈の血が、金庫を紅く染め上げる


銃声に気付いた悪魔の少年が振り向くと、そこには自分を庇うように両手を広げて立つ、一人の天使の背中が視えた


「君の言う欲望が、いま君を守っていると思う?」


「こんなにも落ちぶれているのに、過ぎた欲望にしがみつく必要は僕は無いと思う」


「僕は君さえいれば、本当はそれだけで良かったよ」



一つの生命が喪われた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ