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うまぴょい!うまぴょい!

僕のダルクがー♪

ずきゅんどきゅんはしりだしー!

ばきゅんどきゅんかけてーゆーくよー!

こんなーレースはーはーじめてー!(1、2、3はいっ!)



以前プロポーズをした時はダルクのお産直後、2人ともボロ塗れのばっちぃ状態だったのでピッパちゃんにはぐらかされてしまっていたが、昨日出発前にピッパちゃんから逆プロポーズをされてそれからというものニヤニヤが止まらない。鼻歌も止まらない。




お昼休みは〜ウキウキウォッチング♪



という感じでレースのあるアルマリン王国で浮き足立っていた



「浮かれてますけど〜ダルクが『勝ったら』ですからね〜」



と、同行してきた最近自分の扱いが酷いパール街事務メンで秘書のミルフィアさんが釘を刺してくる




「あれだけ一生懸命やってきたんだ!絶対勝てる、はす?、、、勝てるよね?」




と同じく同行してきた事務メンでパール街の超高性能食レポサイボーグキッツ君に聞いてみる




「競馬の事は、ずずっー。余り詳しくはありませんが、200メートルを11秒で走っていて、他の平均より1秒近く速いので恐らく大丈夫かと、ずずっー」




競馬は文系よりも理系と聞いたことがあるがまだこの世界で競馬が浅いというのに、1ハロン(ヒトハロン)を200メートルで換算しラップを計算するとは、、、



ただ、ラーメン片手に啜りながら話をされても、「はいはい、勝てる勝てる」みたいな適当感が半端ない。というか、君そこそこ良いとこの子ですよね?歩きラーメンなんて前世でも見たことがない。


ちょっとお行儀わるいですよー


と叱ろうとすると


すれ違った人もラーメン片手に歩いてるじゃないですかー!




お椀を見ると汁がこぼれない様に内側に返しがある様な作りになっているっ!?


そもそも、キッツ君そのラーメンどこで買ったのさ?


と聞こうとすると




「しゅ、シュンはーん、エライコッチャで〜、、、」




と自分を見つけると小走りで大きなお腹を揺らしながらブリッジさんが話しかけてきた




「ずいぶんお疲れの様ですが何かなったんですか?」




「何があったかって、そんなんラーメンにきまっとるやないか。レース当日に大々的にラーメンお披露目しようか思て屋台出したんやけど、評判良すぎて次から次へと人が押し寄せてこの有様や」



とブリッジさんが指差した方を見ると



何この行列!?こんなのプーさんのハニーハントでしか見たことない!



「ラーメンって唐揚げと違って作るのにそれなりに時間かかるやん?せやさかいこの有様や。食べ終わった人もまた並び始めてる始末。シュンはんと関わると銭は儲かるが、地獄を見る。どないしてくれるや?手伝ってぇな?」




と泣きながら縋ってきた。おっさんにそんな事されても嬉しくない。




「レース前なんで流石に、、、ピッパちゃんの様子を見に行かないとだし、もう少ししたら半分近くお金出してくれたサクシード伯爵とも会う予定なので」




あ、あぁ、、、と崩れ落ちるブリッジさん。宝塚の演技を観ているようだ。容姿はトドだけど




「でしたら僕がお手伝いしましょうか?」




と、ラーメンを食べ終わったキッツ君が手を上げる


ほんまに?と泣き崩れた顔を上げキッツ君を方を見るブリッジさん



「試作の段階からずっと見てきたので大丈夫かと。あと見るからに効率が悪すぎます。自分の指示通り動いて貰えたら提供する時間も半分以上短縮出来ると思います」


無表情のまま状況を見るキッツ君



「ほ、ほんまにか!?流石はビッグレッド商会のせがれや!競馬場に舞い降りた神の子やで!」


「でしたら〜私もお手伝いしましょうか〜?ラーメンは作れませんけど売り子位は出来ますよ〜」


ミルフィアさんも志願する


ほんまおおきにやでー!と大袈裟に頭を下げる


「でしたらミルフィアさんは列の真ん中辺りからお会計と食券を渡して下さい」



わかりました〜と返事をする




キッツ君はそのまま屋台の方に向かい指示を出している。


「ほなシュンはん2人借りてくでー」


と言い残し足早に去っていく。




ちょっと寂しいけど、自分の蒔いた種でもあるし、さっきからラーメンを口にした人達が

「なにこれ!美味しい!」

と絶賛してくれているので生みの親としては嬉しい限りである




そんな光景をみながら一人になりちょっと手持ち無沙汰にしていると




「これがシュンが製作したラーメンとやらか。大盛況ではないか!」



待ち合わせの時間になっていたらしくサクシード伯爵が声をかけてきた



「こちらから声をかけられず申し訳ありません。余りの盛況に少し呆けておりました。」



「堅苦し挨拶はいい。話は戻るが、城でブリッジが新しい食があると言って国王含め城内皆にラーメンを振る舞ってな。私も食べたのだが、何なのだあの美味は!?美味しすぎて舌が溶けてしまうかと思ったぞ!?今もこの行列に並ぼうか悩んでいた所だ」




「お口に合って良かったです、伯爵でしたら流石並ばずとも食べれるんじゃないですか?」




「私もちょっとブリッジにお願いしてみたのだが、あやつは庶民からここまで一気に登り詰めた商人でな、そういう忖度は頑なにしないのだ。だから見てみろあれを」



とサクシードさんが指をさす方をみると




王冠を被った豪華な出で立ちの中年が列に並んでいてた。




国王!?あんたなにやってんすかー!?





「ブリッジの奴、国王陛下に対しても列にお並び下さいの一点張りだ。仕方なく列にお並びなられた陛下に皆が跪いたのだが、『良い、表を上げよ。この列に並んでいるものは等しく平等、ラーメンをこよなく愛するラー友だ』とか言い初めて今の有様だ。そう言われた者たちも感動しむせび泣くものもおった。ブリッジがここまで考えていたかは分からんが、逆に陛下への民忠も上がったのは確かだな」




なるほどー。とそんな貴重な光景をみながら魔の抜けた感想を口にすると




「そんな話は今は良い、そろそろダルクがパドックに出てくる時間だぞ!」



「そうだ!ラー友はほっといて早くパドックに行きましょう!」




と、逸る気持ちを抑えきれず早足でパドックに向かう




パドックとは出走前の馬のコンディションをファンが確認したり、長時間馬を歩かせる事によってある程度テンションを落ち着かせ事故しないようする場所である。



「これより〜アルマリンカップ出走馬の入場です〜」



とアナウンスが流れるとポッコラポッコラと足音を鳴らしながら馬達が出てくる



今回は16頭立てのレースでゼッケン1番から順々に入場してきているのだが、8番の馬が出てきた時に観衆の1人が低い声で


「来たぞサークルオブザイヤーだ」


と言うとパドックざわつき始める


「相変わらず惚れ惚れするほど綺麗な馬だな」

「お前馬券買った?」

「もちろん、てか買わなきゃ金ドブに捨てるのと一緒だろ」

「けど1.2倍だろ?銀貨一枚買っても銅貨2枚増えるだけだぞ?負けたら0だぜ?」

「馬鹿、前走見てねーのか?超大差勝ちだぞ、あんなもん100回やったって負けないよ」




と、ものすごい人気の高さが伺える。多分ここにいる人間の大半はサークルオブザイヤー目当てだろう




けど競馬には絶対はないのだ。


ミホノブルボンの菊花賞

ディープインパクト、メジロマックイーンの有馬記念

マックスビューティのエリザベス女王杯



誰もが負けないだろうと考え、競馬の神様はことごとくそれを裏切る。


何故そんな事が起こるのか。理由は簡単である。




全馬本気に勝ちに来ているから。




諦めたらそこで試合終了なんて漫画で読んだ事があるが、馬はもちろん、馬に関わっている全ての人間がそんな短い時間で諦める訳もなく



だから番狂わせが起こる。奇跡が起こる。


そして観衆はその奇跡に酔いしれるのだ。




自分達の奇跡はもうすぐ登場だ!




「おい、シュン。ダルクが出てきたぞ!」




サクシードさんが子供のように肩を叩き声をあげる






「、、、え?なんで?」





ダルクは良い。落ち着きの中にもいい具合に気合が入って、馬体もピカピカの毛ヅヤで明らかに調子も良さそうだ




問題はそこじゃない





「どうしたの?ピッパちゃん」



聞こえる訳もないがぼそっと口にする


パール街を意気揚々と出ていった時とは打って変わって、顔は顔面蒼白で心なしか指が震えているようにも見える。目線も定まらず落ち着きがない。




この顔はブラック企業に勤めていた時に何度も見たことがある。


大事なプレゼン前の新人

毎朝朝礼で怒られてる子

ミスで契約を打ち切られてしまった人



それぞれちょっとずつ表情が違うが、こうなってしまった人は必ずと言っていいほど良いパフォーマンスを発揮する事が出来ない




そしてピッパちゃんの今の表情は完全に1番最初に述べた


大事なプレゼン前の新人


である



「ピッパちゃん、一旦落ち着こう?」


パドックから声をかけるが、歓声のせいか、それとも緊張のせいかピッパちゃんの耳には全く届いていない様子だ



これはマズイ!



気合入ってるダルク✕緊張して固いピッパちゃん



事故する未来しか見えない!


「ダルクはずいぶん気合入ってるが、ピッパはどうした?少し固く見えるが?」


横に居るサクシードさんがそんな事を言う


「少しじゃないですよ!あぁ、怪我しなきゃいいけど、、、」


「少し過保護過ぎはしないか?こんな大観衆の中なら誰でも緊張位するだろう。例えそれが原因で負けたとしてもピッパはまだ若い。いい勉強になるだろう」





ワッハッハと笑うサクシードさん




これが貴族の懐の深さか?自分には持ち合わせておりません。



いかん、自分も緊張してきた!



頼む無事であってくれー!

前回

後1話で完結です!

なんてほざいてましたが、申し訳ありません!後1話お付き合い下さい!


あと取ってつけたようにうまひょいとか言ってすいません。けどウマ娘もちゃんと好きですよ?二期は人生で一番泣いたかも知れません。自分悲しい話よりも苦難を乗り越え覚醒する瞬間に涙がでてしまうんですよねー。


例えば

村上のWBCとかイチローのWBCとか

もうね、馬が女の子になってようがトウカイテイオーとオグリキャップは競馬史に残る名ドラマだと思います


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