表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/79

人事を尽くして天命を待つ

ずずっー



今回でラーメン試作65号。エヴァも真っ青だね!



いつもの様に無表情で最後の一滴までスープを呑むキッツ師匠



「、、、いかがでしょうか?」



最近ではピッパちゃんとミルフィアさんも固唾を呑みながらキッツ師匠の反応を伺うようになっていた



「今までで一番美味しいです。これで行きましょう」



やっったぁぁぁぁぁ!!



拳を高々と突き上げる!我が(ラーメン)人生に一片の悔いなし!




女性陣の抱き合いながら喜んでくれていた。

ありがとう、ありがとう!



「ようやくこれでラーメン以外のものが食べられますっ!」

「本当にに良かったわ〜お腹のお肉も付いて来ちゃって大変だったのよ〜」



そっちっ!?いずれにせよ大変ご迷惑おかけしました。


ちょっと麺が余っていたので、醤油やみりん、にんにくを軽く使いあっさり和風パスタもどきを作って彼女らに振る舞う




「「私たちこっちの方が好き」」



えー、、、今までの苦労は?


それを聞いてキッツ師匠もパスタを平らげるが、フッと鼻で笑う。


うわっ感じ悪っ!この子大人になったら海原雄山みたいにならなきゃいいけど。令和であんなおっさんいたらネットで大炎上待ったナシ。リュウジ位がちょうど良い



「お久しぶりやでー、お、なんやいい匂いしてまんな?ひょっとしたらこれがラーメンでっしゃろか?」



マイネル商会の商会長ブリッジさんが、ものすごいいいタイミングで訪れた。商売人というのは商機を逃さないと聞くがいやはや恐ろしい。



「それはただの賄いです。女性には好評でしたが。ちなみにちょうどそのラーメンが完成した所です。良ければ召し上がってみませんか?」



「是非とも!ちょうどお腹空いてたところやねん!その賄いも貰っても良いでっか?」



「別に構いませんけどそっちのパスタは期待しないで下さいね?」


と言ってパスタとラーメンを小分けにしてブリッジさんに振る舞う


小太りでいかにも中年男性という見た目のブリッジさんだが、アルマリン王国第2位の商会のドン

食べ方はとても綺麗でパスタは啜らず、ラーメンは豪快に啜って完食する。なんでマナー知ってるんだろう。




完食した後目を閉じ沈黙するブリッジさん




「、、、いかがでしょうか?」




云うてもラーメンは庶民の食べ物。揚げるという食文化がなかったから鶏の唐揚げは痛く気に入って貰えたがラーメンはどうだろうか?そもそも麺というものも初めだろうから食べ辛いかったかもしれない





「、、、シュンはん」





「はい?」




「これはもう美味いなんてもんやあらへん!うちはこんなに美味しいもの食べたのは初めてや!キッツのボンボンも食べたんやろ?どやった!?」




そういえばキッツ君もそこそこの商会のせがれだった。




「言うまでもありません。ラーメンは絶対にこのアルマリン王国で頂点に君臨する食べ物になります」



し、師匠、そういうのは弟子に言って下さいよ



「せやんな!美味すぎて涙が出そうになって目ぇ瞑ってもうたわ!これ商売始める前に王様に献上せなあきまへんな」




「そ、そんなにですか?」




「そんなにやろ?またビールの時みたいに庶民が食べてるのにワシ食べたことないんだが?処すとか言われてもええんやったらかまへんけど、そん時はダルクの名義をうちにちょうだいな?」




「それは困る!そっかぁめんどくさいなぁ。行きたくないなぁ。てかそうだよ!ダルク!もう明後日レースだよ!」





「なんや忘れとったんかいな、あんな大金叩いて買ったんに」




「ブリッジさんはこの一ヶ月の過酷なラーメン修行知らないからそんな事言えるんだ!こうしちゃいられない!ラーメンの件はブリッジさんお願い!王様に持って行って!」





「え?嫌やけど」 





「お願い!お願い!レシピはそこにあるから後はマイネル商会が好きにしていいですよ。分からない事あったら使いでも寄越して。あーこうしちゃいられない!ピッパちゃん旅支度しよう!」



と、話をピッパちゃんに振ると





「準備出来てないのはシュンさんだけですよ?まぁ私はシュンさんより1日早く出なくちゃいけないので」



と言われてしまう




マジかぁ。ダルクの購入の為にラーメン作っていたのに、馬主が応援に行けないんじゃ本末転倒だよ。




するとやれやれといった表情でミルフィアさんが





「そんな事だろうと思って用意しておきました〜。シュンさんは一つの事に夢中になると他のことは何も考えられなくなりますからね〜」




「ありがとうございます!あとそうだ!数日間空けるから事務仕事もやらないとっ!」



すると今度はキッツ君が



「そちらはもう既にやっておきました。」




と、大した事ないように神の救いの手の様な発言をする。パール街の事務メンは本当に優秀である。なのになんでいつもこんなに忙しいんだろう?


ひょっとして自分?自分が足を引っ張ってる?




「普段からやって構わないのですが、『あの人は甘やかすと全く仕事せずにサウナばかり入るからやらなくていいですよ〜』と言われているので」



ハイー自分でしたー。今後もっと仕事に打ち込みます




「さぁ〜駄目領主はほっといてキッツ君お仕事しましょ〜ピッパちゃん忘れ物無いですか〜?」




自分はアウトオブ眼中でミルフィアママが2人とお話している。きっと世の家庭もこんな感じなのだろう。お父さんは辛いぜ。。。





ポンッと肩に手を添えるブリッジさん。おっさんの同情が痛い。


「しょうがないさかい、ラーメンの件はうちがなんとかしときます。あと今晩はこちらにお邪魔してもよろしいでっしゃろか?明日の朝のピッパちゃんのお見送りしたいねん」



「ありがとうございます。是非とも。せっかくですし今晩はラーメンとビールに付き合って下さい」




と言ってグラスを飲み干す仕草をすると、ブリッジさんがひゃっほぅと小躍りしだす。




その晩は前世のサラリーマン時代を思い出す様なおっさんトークで盛り上がったのだった





ちゃららら、らっちゃっちゃー(宿屋BGM)




翌朝



ピッパちゃんが8時位に街を出ると言うので一時間ほど前に起床。横でゴーゴーイビキをかいているブリッジさん



「ブリッジさん、朝ですよー。ピッパちゃんの見送りするんじゃないんですかー?」



と体を揺すると




「フゴッ!おぉ、せやせや、準備せな」



と、着替え始める。



そして出発の三十分ほど前に街の正門前に向かうと、もう既に人だかりが出来ていた。



えっ?何これ?と困惑していると



「さすが領主様はゆっくりだねぇ!」



とエルラさんが声をかけてくる。



「これは、一体?」




「そそそそ、そんなのピッパとダルクのみみみ見送りに決まってるじゃねーかかか」



がっと肩を抱える様な感じで、ザキオさんが話かけてきた



「おはようございます我が主。我々は都合上レースに応援には行けませんが、ピッパさんの出陣の儀。これに参加せずにパール住民とは言えません」


と、今度は穏やかな笑みを浮かべながらカチューシャさんが話かけてくる。



「そうだ!そうだ!ピッパは街の英雄!戦乙女なんだぜ!」

「私だってまだダルクが小さい頃からずっと見てきたんだから!」

「レースが楽しみでしょうがないぜ!」

「ピッパもダルクもこの街の誇りだ!」

「あ、領主様、これで馬券買ってきて?」



その光景にちょっとうるっときてたのに最後の銀貨一枚渡された件でちょっと萎える。




領主軽視罪とかいう法律作ろうかしら?犯したものはサウナで説教。




サウナ友達が欲しいだけです。すいません。




そんなやり取りをしていると、ダルクに跨がったピッパちゃんが遠目に映る



朝日を背にこちらに向かってくるので



そんな出陣の儀とか大袈裟なーw

と騎士っ娘カチューシャさんを笑っていたけど、鎧兜着けて幟を立ててたら大河ドラマさながらの名シーンである。




ピッパちゃんもこっちに気づき余りの人の多さに困惑していると




「ピッパ!ダルク!頑張れよー!」

「ぶちかましてやれ!」

「見に行けないのは残念だけど応援してるから!」

「カミさん質に入れて馬券買うんだ!絶対勝ってくれ」



等と歓声が上がる。

奥さん質に入れちゃだめですよ

と、たははと照れ笑いしているピッパちゃん



「ピッパ、勝っても負けても悔いの無いレースしてきな!」

とエルラさん


「ばばばばば馬鹿やろう!やる前から負ける事考える馬鹿いるかよ!ピピピピピッパ!絶対勝ってこい!お前らなら出来る!」

とザキオがエルラさんに絡んで小ゲンカを始める。



てかザキオさん何時から猪木イズムを継承したんですか?それにピピピピピピって。猪木なのにピピピピピ。面白すぎる。



「ピッパさん、怪我無きよう」



と、騎士っ娘が持ってきたお守りをピッパちゃんの手に握らせる。ありがとうございます、とそのお守りを胸にしまう。



良い百合である。ゆるゆり懐かしい




「そそそそうだ!ピピピピピッパ最後に一言!」



とザキオさんが煽る。いや、いくら猪木イズムを継承したからってプロレスじゃないんだからマイクパフォーマンスみたいな事させなさんなって。ピピピピピピ。ぷぷっ



とくだらない事を考えていると



ピッパちゃんは、えぇ、と困った表情をした後、あ、そうだ!と思いついたと言わんばかりに顔をあげ



えっ?いくぞーーーー!いちー!

とか言い出さないよね?




「シュンさーん!」



と馬上から大きな声を上げるピッパちゃん




えっ!?俺?



「アルマリンカップ勝ったらー!」





「私と結婚してくれますかー!?」





うおおおおおぉぉ!





突然の戦乙女による逆プロポーズに街中が沸く!





その数秒後、みんなが自分の返事を待つ。




シーンと静まり返る



馬上のピッパちゃんを見ると満面の笑みでこちらの返事を待っている





出会った時は暗い表情をして常に俯いていた彼女。




けど、今はこんなにも可愛らしく明るい笑顔を見せる様になった。


僕はこの笑顔を見たくて、楽器で演奏したり、馬に乗れる様にしたり、蹄鉄の髪飾りを作ったり色々頑張ってきた。



今じゃこんな普通の人なら緊張しそうな場面でも、ひまわりの様に満面の笑みを浮かべたまま僕の返事を待っている




その笑顔が誰よりも一番近くで見れるなら、僕の答えは決まっている!




「もちろん!こちらこそ喜んで!」



と言うと街の皆が一斉に祝福ムードに変わる!



「ピピピピッパ!良く言った!」

「本来ならシュン、あんたから言うんだよ」

「お二人共おめでとうございます」

「シュンはん、結婚式はうちが執り行いまっせ!」



するとピッパちゃんはしてやったりと、ちょっと小悪魔っぽく笑って見せた後、背を向けてダルクと共にパール街を後にした



挿絵(By みてみん)



さて、自分も身支度済ませて王都に行くか



と動こうとすると、誰かがぼそっと言った




「これ、レース負けたら結婚なしって事だよね?」




シーン。。。。




だ、大丈夫!絶対勝つよ!

競馬に絶対はないけれど、きっと勝つよ!




ダルク!頼んだぞ!

さて、最終回も近くになってきたので色んな人を登場させてみました。懐かしい、懐かしい。


次回はおそらく最終回になります。多分、おそらく、そうなるといいな。。。


楽しく書けたら良いけど、レースなんて上手く書ける自信なんてこれっぽっちもないし、実際前回のレース回は競馬の魅力をこれっぽっちも伝える事が出来ませんでした。。。文章を書くって難しい。。。


結末はなんとなく決まっているんですが、どうやって書くかは全く決まっておりません!困った!


これは更新まで相当時間がかかりそうだな~。あわちんさん許してくれるかなぁ。優しいから許してくれるよね?いや、彼は無邪気に投稿を催促してくるのでグチヤマパイセンは逃げられないかも知れません。困った!


しかしそうやってこんな駄目作者の駄目作品でも楽しみに待ってくれている人がいるって事は相当幸せな事です。


この幸せを噛み締めながら最終回仕上げていきたいと思います!

てか最終回より最終回後の戯れ言回書いてー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ