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セリ開始

独りよがりで始めたダルクの育成。


領主の仕事をこなしながらの世話は本当に大変だった。辛い思いや苦しい思いも一杯した。




けど僕らが育てたダルクを街のみんなが『夢』だと言ってくれた。こんなに嬉しい事はない。




前世でも、競馬場で走るまでにたくさんの人の手が掛かってきたのだろう。その人達の思いを乗せてデビューを迎える。




そして競馬ファンはその走りに魅了され応援しに競馬場に足を運んだり、テレビをみたり、馬券を買ったりする。




そんなそれぞれの思いを乗せた馬達が年間8000頭近くいて、その頂点を決める東京優駿(日本ダービー)には競馬場に10万人近くの人が集まり、馬券は300億円売り上げ、ものすごい盛り上がりを見せる




携わる側になってみて改めて競馬って凄いなと思う。






そしてここまで来たら是が非でもダルクを競り落としてパール街のみんなと最高の瞬間を味わいたい!






そんな熱い思いをもったまま、ダルクのセリ登録と自分の購買者登録を済ませる。




「おっ!シュンかっ!久しぶりだな」




以前パール街の領主をしていたが王都に栄転の際パール街を寿退社したサクシード子爵が話しかけてきた。




「お久しぶりです。サクシードさんも馬買われるんですか?」




「おお、そのつもりだ。サークルオブザイヤーいるだろ?あれがセリに出ていたときにサークル宰相とやりあったのだが競り負けてしまってな。代わりに他の馬を買うつもりだ」




「そうなんですか。あの3番の馬なんてどうですか?」




敢えてダルクの話は伏せ他の馬を勧める




「3番か、確かに良く見える。しかも確か第1回アルマリンカップ3着のカサブランカゴールドの子か。ただな、あの親もそうだったが、どこかソワソワして臆病そうに見えるのだ」




ちっ、良く見てやがる。




「そんな事より隠すでない。お前の所のダルク。あれはどうなのだ?あの堂々とした佇まい。あれジャンヌの子だろう?ノーザン帝国を追い払った時のあの馬の活躍はすさまじいものがあったからな!黒い毛と筋肉の付き方がそっくりだ!」




有能は人はこれだから




「おっしゃる通りなんですが、凄い気難しい馬で、、、見てください!この額の傷!ダルクに振り落とされた時に出来た傷なんです!レースになったら騎手も振り落としちゃうかもなぁー。」




「そうなのか?まぁ私は自分の目を信じてセリに参加するとしよう。時間を取らせて悪かったな、またセリの時に会おう」




ニヤリと笑いながら片手を上げつつその場を後にするサクシードさん。




あーもう!絶対競りかけてくるよー。本当に有能な人嫌い!しかもサークルオブザイヤーの時のお金丸々残ってるんでしょ?金貨30000枚近くあるじゃん。




自分の手持ちを確認する。




25000枚+街のみんなのカンパ5000枚




ワンチャンある?ない?どっちなんだいっ!?




あーどうしよ!どうしよ!助けてピッパちゃん!


けど彼女はダルク付き添い出展側として参加しているので近くにいない。




ただ自分も領主で貴族。どっしり構えていないと周りから舐められてしまう。




毅然とした態度で臨まなくては!と背筋を伸ばし競りが始まるのを待っていると司会者が壇上の上に立った






「今回も大変多くの方々にお集り頂き誠にありがとうございます。前回の競りではサークルオブザイヤーが最高金額30000枚を記録しましたが、その金額に負けない活躍を見せています!今回の競りではサークルオブザイヤーの匹敵、いや、それ以上の馬が出るのか!?皆様奮ってご参加頂きますよう宜しくお願い致します!では一番の馬から参りましょう!」




セリ開幕です!

さぁセリが始まりました!


セリなんてどうでもいいよ、はよレース書けと思っているそこのあなた!


いやいや!セリは競走馬を生産する上で重要な過程の一つだと自分は思っています。


一回の種付けで数千万円、受胎する母親だってアメリカから輸入したとあれば数千万円。


そんな高額投資をした馬を是が非でもセリで回収しなくちゃいけない訳です。じゃないと牧場は潰れてしまいますし、僕もご飯が食べられないのです。


のでより高額で売れる様に数カ月前からトレーニングし、セールスし、食べさして、磨いて、健康に気を使ってセリ当日を迎える訳です。


セリ当日は、馬はもちろん自分達の着こなしも整え迎えるわけです。


日本で一番有名なセリでは、一斉展示なんて事が行われ、未来のG1馬が200頭近くが軒を連ね、多くの著名人が良い馬を探しに訪れます。大魔神は本当に大きかったw


自分も馬を持っている時に名伯楽と言われている故岡田繁幸様から「リザーブは?」と聞かれて「さ、3000万です」と緊張して答えたのが懐かしいです。

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― 新着の感想 ―
クライマックスが近づいている。。。 どきわくわくどき、、、、
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