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瞬間をカメラに。その一瞬を未来に

ジャンヌの仔が生まれ名前をつける時に


「ジャンヌの仔だしダルクにしよう!」


と言ったら


「なんでダルクなんですか?」


と聞かれた。そう、ここは異世界。もちろんジャンヌ=ダルクなんて存在しない。


「自分の前にいた国の英雄がたまたまジャンヌ=ダルクって名前だったんだ」


「えっ!?そうなんですか!?アルマリン王国でも英雄ジャンヌの冒険は凄い有名ですよ!ダルクはつかなかったと思いますけど。。。けどダルクって響きが格好良くて良いと思います!」



と言われてびっくりする。どの世界でもジャンヌのいう名が英雄に仕立て上げるのかも知れない。



まぁ生まれてきた仔馬は男の子だし、前の世界だったらジャンヌダルクだと矛盾してしまうのでちょうどいいか。


いや、ジャンヌダルクが女性だと誰が決めた?


自分の中ではアーサー王は金髪碧眼の腹ペコレディである。異論は認めない




そんなこんなでノートはお産の記録からもちろんダルクの成長記録へと変わった。


とは言ってもダルクは本当に手のかからない馬だった。


産まれてから少しの間はもちろん親にべったりだったが、色々と覚えると好き勝手に放牧地を駆け回り親が鳴いて呼んでも気にも止めず遊び回っている。


そしてかけっこではどの仔馬達よりも速く先頭を走っていて今からレースに出ても勝てるのではないかと思うほどで(親バカ)、人懐っこい性格ではあるが他の仔馬と相撲を取れば相手が逃げ出すまで怯まずタフな精神力を見せつけライオンにも負けないのでないかと思うほどで(親バカ)、放牧地では常にガキ大将として君臨している。


そんな自分の中で歴代最強馬ディープインパクトに勝るとも劣らない才能の感じる(親バカ)ダルクはスクスクと成長していき誰もが見惚れる立派な馬へと成長していった


「なんかダルク、本当に良い馬になっていってますね」


「ピッパちゃんもそう思う?背中の筋肉も立派でさっ!お尻なんかはもうムキムキであのトモ足(後ろ足)から繰り出されるダッシュは目を見張るものがあるんだ!ピッパは見た?放牧地でかけっこしてるダルクの姿!もうぶっちぎり!今からレースに出ても勝てるんじゃないかな〜?」


「、、、まだあんなに小さいのにレースに出れる訳ないじゃないですか。いつもダルク、ダルク。たまには私も褒めて欲しいなぁ。。。」


「ん?なんか言った?」


「何でもありませんっ!」


とピッパちゃんはそっぽを向いてしまった。


女心と秋の空。難しいものですなぁ


あ!天高く馬肥ゆる秋なんて言葉もあるが、ダルクが産まれたのが冬で、今は夏が過ぎ風あざみ。絶賛秋である。風あざみってなに?よくわからん。


そんな秋について思いをはせつつ、今日も今日とてダルクの観察日記を記していく。



毎日毎日色々な発見や成長のあるダルクの日記は書いていて楽しくはあったがやっぱりずっと文字だけというのも味気ない。


「ピッパちゃん写真機ってあるのかな?」


「シャシンキ?聞いたことがありませんね?」


そっかー。写真機ないかー。異世界だもんなー。

けど、無いなら作ればいいだけの事。


前世では良く一眼レフカメラを持参して競馬場に行きパドックやゴール板を駆け抜ける馬の姿を写真に収めていた。

その流れで写真について色々と調べたものだが、写真機を作る上で特別なテクノロジーは必要ないはず


サクッと写真機を作り上げ被写体を探す


「ピッパちゃんこの写真機の前に立ってくれる?うん!今日も可愛いよー!そのまま動かないでねー!」


写真集の写真を撮るカメラマンの様に被写体を褒め、その気にさせる


「ちょっ!?確かに褒めて欲しいとは思ってましたけど脈略のなく言われても困りますっ!」


アワアワと顔を真っ赤にして動きだすピッパちゃん


「まってまって!動かないでー!そうそう!はい、チーズ!」


と言ってシャッターを切る


なんで突然チーズ?と首をかしげるピッパちゃん。うん僕も知らない。なんでチーズ?なんなら今風にマスカルポーネとかにしとくできだったか。


そんなくだらない事を考えているとフィルムには徐々にピッパちゃんが映し出される


「よしっ!出来たっ!どう?よく出来てるでしょ?」


と言ってピッパちゃんに自身が写っている写真を渡す


「えっ?!これ、私ですかっ?!」


写真の出来栄えに目を見開いて驚くピッパちゃん


「うん!可愛く撮れてるでしょー。ミルフィアさんも写って、、、」


と同じ部屋にいたミルフィアさんに声をかけようとした瞬間ものすごい剣幕でこちらに歩み寄ってきて壁にドンっ!と叩きつけられる。

挿絵(By みてみん)


ちょっ!これが壁ドンかっ!胸がドキドキする!これが恋?違いますね。恐怖です。


「シュンさん〜これは〜なんですか〜」


笑顔なのに怖いミルフィアさん


「これは写真機と言って、、、現在ある描写を映し出す機械といいますか、、、」


恐怖の余りしどろもどろ説明する。そもそも写真なんて生まれた時からあったから説明しろと言われても難しい


「それは〜わかってます〜。なんでこんな物突然作り出したのか聞いてるんです〜」


青筋をたてながら尋問してくるミルフィアさん


「えーと、それは可愛いピッパちゃんを記録に残そうと思って。。。」


というとボンッと真っ赤な顔になりその場に座り込むピッパちゃん


「はぁ~。この人たらしが〜。まぁもういいです〜。とりあえず確認ですが〜これが初お披露目ですか〜?」


色々と諦めたのかため息をつきながら聞いてきた。

するとそのタイミングで来客が訪れる


「シュンはーん!お久しぶりやでー。ビールの品種改良について話があるんやけどー。ん?なんやこれ?ピッパちゃんの自画像かいな。よー描けてまんなー。。。え?えっ?描けすぎちゅーか写し絵でも鏡でもないし。なんなんっ!これ!?」


ブリッジさんがいつもの様に気さくに訪れ、テーブルに置いた写真を見ると驚愕する。


するとミルフィアさんは次の標準を見定めたかのようにブリッジさんの方に振り返りズンズンズンと迫っていき壁にドンと叩きつける


「な、なんですのん?」


「奥の部屋でお話があります〜。シュンさんもこちらに来てください〜。キッツ君もこの馬鹿のせいで申し訳ないんだけど一緒に来てもらえますか〜?」


「「は、はい」」


「はい。わかりました。ただこんな素晴らしい物を瞬時に作り上げたシュンさんを馬鹿というのは。。。」


「そうですね〜天才と馬鹿は紙一重ですからね〜。ほら、早く来てください天才バカさん」


一応自分領主で貴族なんだけどなー。一家の腹巻き巻いたお父さんみたいな扱いされてしまった。まぁアットホームな職場ってことで良しとしますか。


アットホームな職場。。。うっ頭が!アットホームな職場って謳っている会社にまともな所はない。


だって家に新しい異分子が入ってきたら、取られる行動は一つ。排除や攻撃だ。それは火垂るの墓を見れば分かる。清太、、、節子、、、


そんな悲惨な物語に思いを馳せつつブリッジさんやキッツ君と共に応接室(説教部屋)に向かった


とりあえずこってりとお説教された後、国王への報告や販売などの話し合いが行われ、マイネル商会に独占販売を委託した。


超ホクホク顔で


「まいどおおきに~」


と帰って行ったブリッジさん。キッツ君からは写真機の基本構造などを事細かに聞かれ、せっかくダルクを撮る為に作ったのにそんな時間はなくなり大忙しとなった。むしろダルクとの時間すらもまともに取れない状況だ。


今度は思いついたらキッツ君に教えて作ってもらおうと心に決めたのだった

初めてボーナスを頂いたとき

普通の人では味わえない特殊(競走馬の牧場)な環境で働いているのだから、多少下手だろうと良い写真が撮れるだろう。

と大枚叩いて買った一眼レフ。速攻ほこりをかぶりパチンコで負けた時売りましたw

そもそも素人が自由気ままに動く馬の写真なんぞまともに撮れる訳がなかったのです。

それから20年以上が経ちその時のカメラ以上の性能を持っているスマートフォンを手にし、ちょくちょく馬の写真を撮ったりしています。大概は馬の傷や故障を上司に報告するためのものではありますが、意外とくっきりと写り便利なものです。


ちなみに友人がまたイラストを描いてくれました!神!

思い浮かんだのでちょと描いてみました。自分の思い描いた通りのイラストです!神!

載せていいですかー?って聞いたらカラーで来ました!神!

本当に毎回ありがとうございます!

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