表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/79

セリ開始!

司会進行を終え、セリの司会者で競売人、通称オークショニアの方にバトンを譲り一段落。出展される15頭の馬に目をやる



極端に大きい馬や小さい馬、脚が短い馬や太い脚の馬など多種多様の馬がセリの始まりを待っていた。



前世では基本競馬に出走出来るのはサラブレッドと言われる品種に限られていた。



サラブレッドとはなんぞや?というと、三大始祖ダーレアラビアン、ゴドルフィンアラビアン、バイアリータークのいずれか血を有する馬の事を意味する。



そこから代を重ねて行き現代競馬を支えているため、多少の誤差はあるものの、基本的な馬の姿は変わらない。


しかしまだ始まってもいないこの世界の競馬は野生馬の延長線のようなものなので色んな馬が登録されていた。


分かりやすく言うならば、犬のポメラニアンからゴールデンレトリバーやブルドッグがいる状態だ。

そう言われるとポメラニアンとブルドッグどっちが速い?と言われてもさほど犬に詳しく無い自分にはどちらが速いかはっきりとは分からない。


ただ大好きだった馬の事となればある程度は想像出来る。



まずジャンヌ。サラブレッドよりは若干背が低いもののかなり肉付きがよくそれでいて脚はスラッとしていて胴も長くサラブレッドと遜色ない。



そしてセリ番号3番と7番の馬。こちらもジャンヌに負けず劣らず中々にいい馬である。


特に3番は尾花栗毛と呼ばれる明るい黄土色にたてがみや尻尾が白みがかって金色に見えとても華やかな見た目をしている。


7番は牝馬(女)だが黒い毛で覆われ、かなり肉付きも良く迫力のある少しジャンヌに似たところがある馬である。


「3番と7番がとても良い馬ですね」


ピッパちゃんが自分の心を読んだかの様に話しかけてきた。


「ピッパちゃんもそう思う?」


「はい。けど3番の馬はちょっと臆病さんなのか知らない場所に連れてこられて怖がってます。あと9番の男の子はさっきから7番の女の子のお尻ばっかり気にしてエッチさんです」



流石馬と会話出来る子ピッパちゃん。

彼女は今この会場がどの様に見えるのだろうか?きっと馬達も色々と思うことを口にしているのだろう。


あと9番はスケベ太郎と名付けよう。




「では一番の馬入場お願いします。」


とオークショニアが言うとポカポカと馬が入場する。



「ちなみに開始金額は金貨10枚とさせて頂きましてお声がけ頂けなかった場合は主取りとさせていただきます」



主取りとは売れなかった事を意味し出展者が持って帰らないと行けない。

はぅーお持ち帰りぃー。。。という悲しい結末である。



「私がこの木槌の叩いたらセリ終了とさせて頂きます。皆様お声がけの方宜しくお願い致します。では始めます。金貨10枚〜金貨10〜」



とオークショニアがセリを始める。



シーンとし、オークショニアの声のみが会場にこだまする。


「金貨10枚〜金貨10〜。。。御座いませんか〜?」


貴族も出方を伺っているようだ。

ただ1番の馬それほど悪くは思わない。これが最初から主取りとなるとこのセリはどうなってしまうか分からない!


慌てて自分もオークショニアの方に向かい


「皆様ご覧ください!この肩とトモ(お尻)の筋肉!これはものすごいパワーがある証拠です!」


と貴族達を煽る。

すると

「金貨10枚」


と左手の貴族が手を上げた。


「金貨10枚上がりました!ありがとうございます!では金貨20御座いませんか?金貨20枚〜金貨20枚〜」


すぐに右手側の貴族が

「金貨20枚」


「右手のお客様ありがとうございます!では」


とオークショニアが進行始める前に先ほど上げた右手側の貴族が


「金貨50」

と手を上げる


若干会場がざわつき始める。出展者を馬を持ちながらソワソワしだす。

無理もない10枚で売れるか売れないか分からなかった馬がものの数秒で5倍になったのだ。


「金貨50枚ありがとうございます!それでは」


と言うと、またもオークショニアの進行を妨げるかのように中央にいた貴族が


「金貨100」


と手をあげた。


左右の貴族が「なっ!」と驚く様に中央の貴族を睨む



「途中から入ってくるな!150!」

「煩い!黙れ!200!」

「シェリレーヌの土地は我が領土と接しているのだ!是が非でも欲しい!300!」



もうここまでくるとオークショニアの入る隙間などなくどんどんと値が上がっていく。



セリとは絶対に欲しいマンが二人以上いる場合はほぼ青天井。お金が尽きるまでどこまでも上がっていく。



セリ前にはビールを飲みながら

「庶民如きに儲けさせるのも癪ですし金貨50で収めましょう」

なんて言っていたのが嘘のようだ



今値上げている3人は庶民のことなど完全に忘れ


他の奴に買われ、その馬に勝たれたら?それしか頭にない。そんな事をなったら貴族の尊厳に関わる。


しかもアルマリン王国は貴族同士の軋轢が耐えないのでライバルなんぞに負けたくない。


正に金の殴り合い。どちらが最後まで立ってられるかのデスマッチ。


「ハァハァ。。。金貨2800」

と右手の貴族が言うと中央の貴族が頭を横に降る。降参したのだろう


「いい加減にしろ。金貨2900」

左手の貴族が息絶え絶えにコールする。



「旦那様これ以上は!これは王国主催故、踏み倒しは聞きませぬぞ!」


右手側の貴族の執事が流石に止めに入る。しかしそこは貴族。使用人如きに止められる訳もない



「うるさい!黙れ!金貨3000!」



「金貨3000枚入りました!左手のお客様如何でしょうか!?無ければハンマーが落ちます!金貨3000枚御座いませんか!?」



左手の貴族が首を振りオークショニアがカンッとハンマーを鳴らす。



するとその日1番の歓声が会場にこだまする!



セリとは不思議なものだ。買った側は3000枚もの大金払うにも関わらず両手を天に突き上げ喜び、買えなかった者は1枚も払っていないのに頭を下げ項垂れる。



ちなみに出展者は金貨3000と聞くと同時に泡を吹いて倒れた。救護班が向かい馬を舞台袖に連れて行く。



すると購入した貴族が待っていた


「どうだ!私の馬!美しいだろう!」

「そうざますね!これは優勝確実ざます!」


購入した馬を自慢げに皆に披露する。貴族夫妻


「ご購入ありがとうございます。一週間後のレースが楽しみですね」

セールスマンの様に接待をする。


「ありがとう!シュン男爵!いやぁレースが楽しみだ!この様な催し物を企画してくれて感謝する」


と上機嫌にその場を後にする。

なんだかんだで競馬は馬主あってのもの。どんな貴族であれ楽しんで貰えるのは本当に嬉しい



続いて出てきた馬もさっきほどでは無いものの金貨2500枚で購入された。


順調な滑り出しを見せるアルマリンセール。


次は自分の推しの3番の馬だ

自分も気を引き締めて司会席に向かった。

セリは1日で200頭近く参加することもあるので司会のオークショニアは3人位いて変わる変わる進行していきます。自分如きが言うのも憚れますが上手い人はバイアーを上手いこと煽り、より良く馬を見せるように説明しどんどんと金額を上げていきます。

こういう形でも馬に関わるお仕事があるのです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ