てるてる坊主ーてる坊主ーあーした天気にしておくれー♪
サークル宰相と競馬開催への打ち合わせをしているとすっかり日も暮れていた。
数時間前はギロチンにかけられる事を思うとシャバの空気は美味い。
いや、国王の人柄を考えると本当にギロチンにかけられるとは思って無かったけどね。それなりに仲良いし。
国で一番偉い人と仲良しかぁ。前世じゃ考えられなかったなぁ。
そんな事を考えながら城を後にすると、城門の出口でジャンヌとピッパちゃんが待っていた
「シュンさんっ!」
「わっ!ピッパちゃん!どうしたのっ?」
「どうしたのって。。。シュンさん騎士団の人達に連れて行かれちゃって。。。ひょっとしたら極刑もあるかもって街の人達も言ってて。私、心配で。。。」
泣きそうな声で気持ちを口にするピッパちゃん
「ごめんなさい。けど大丈夫。無事釈放されたから。そもそも悪い事はしてないしね。それよりもピッパちゃん!競馬開催するよ!」
「それよりもって。。。それでケイバって何ですか?」
ちょっと不満そうに聞いてくる
「競馬はね、馬を走らせて競わせるんだ。これから打ち合わせやら準備があるからしばらく王都に在住するけどピッパちゃんにも色々協力してもらいたいんだけどいいかな?」
「また突拍子もない事を。。。別に構いませんけど、みんなにシュンさんの無事を伝えるついでに色々準備してきますね。」
と言ってジャンヌに跨りその場を後にするピッパちゃん
さてやることが山積みだ。競馬を行う為の走路の設営。セリ会場を押さえて、セリに出る馬の募集。後は馬券販売の従業員の確保。
忙しくなるけど、大好きだった競馬がこの世界で見れる。それだけでどんな困難にも頑張れそうな気がする。
連日お城で打ち合わせをしているとピッパちゃんがパール街から帰って来る。
「みんなシュンさんの無事を聞いてホッとしてましたけど、落ち着いたら帰ってこいって言ってましたよ。あとミルフィアさんから手紙預かってます」
ありがとうと言って手紙の中身を確認する。
『とりあえず無事で何よりです。街の事は私達に任せて必ず競馬とやらを成功させてください。ピッパちゃんはお預けしますが泣かせたらちょん切りますのであしからず。』
本当に優秀な部下を持ったなぁ。けど最後の一文がとても怖い。前にも思ったけどちょん切るってナニを?
そんな事を考えているとちょうどそのタイミングで街中に競馬の告知が張り出された。
内容はこうだ
1,一ヶ月後馬を走らせ競わせる。競馬を開催する。
2,レース名はアルマリンカップ。賞金は金貨10000!(10億相当)とシェリレーヌ元侯爵の領土の一部と勲章の授与
3,出走する馬は2週間後のセリに出たもの限定とする。
4,馬の所有者でセリに出したい者はこれから一週間の間に城門前の特設会場で登録手続きを行う事
5,セリで馬を購入出来るのは貴族限定とする。
6,セリが終わった一週間後に購入された全ての馬のお披露目会を開催。(前世のパドック周回)
7,それは全国民参加を許可し、そこで馬を吟味してもらい、一着になると思う馬の馬券を購入し、的中した場合、他の馬に投票した分を分け合う。銅貨1枚から投票可能
その張り出された告知に人だかりが出来る
「なんだ?競馬って?」
「賞金金貨10000!?一生遊んで暮らせるじゃねーか!」
「けど貴族限定だと。俺等には関係ねぇのか」
「いや、馬券ってのは俺等も買えるぞ?銅貨1枚からなら手軽だし、ちょっと楽しそうだな!」
「俺の所、馬飼ってるから登録してみようかな?生活の足しにはなるかな?」
みんな多種多様な反応を見せているが概ね好評で小さな手応えを感じていた。
「凄い賑わいですね。けど馬が見世物になるのはちょっと嫌です。。。」
悲しそうな顔でピッパちゃんが言う
まっまずい!このままだとちょん切られちゃう!
「それは、ほら!馬の新しい活躍の場が増えると思えば!ね?」
「それは、そうかも知れませんね」
と納得してくれた。ふぃー危ない危ない
ちなみにてるてる坊主の歌って知ってる?
てるてる坊主ーてる坊主ー。あーした天気にしておくれー♪もーしも曇って泣いたならーお前の首をちょんと切るぞー♪
ミルフィアさんはこの事を言いたかったのかな?
お前はてるてる坊主だ!と。
けど大丈夫!きっと競馬が始まればきっとピッパちゃんも夢中になってくれるはず!
そんな事を考えながら2週間が経ちセリの日を向かえた。
本日快晴!てるてるシュン坊主何とか首を切られず済みました!
ちなみにセリに登録してきた馬は15頭
もう少し多いかなと思っていたが自分がハミを作って以来馬は農作業だけでなく、移動や運搬、馬車馬や軍馬など多くの場所で必要とされ需要が多く圧倒的に供給が足りていない状況
そこに良く分からない競馬なんてものに馬を売る位なら商人に売った方が安定してお金になると思うのは当然と言えば当然である
しかし自分だけは絶対にこのセリは成功すると確信していた。
ピッパちゃんとジャンヌと共にセリ会場向う。
さぁ!歴史が動くセリの開幕である!




