デート開始!
さてどうしたものか。
謝肉祭でピッパちゃんが言った一言がたまらなく嬉しくて、感謝の気持ちを伝えたくて
そこまではいい。
なぜそれでデートに誘ったの?バカなの?
今までデート何てまともに行ったこともないし、どこに行ったら良いかなんて皆目検討もつかない。
そんな自分が感謝を気持ちを伝える為にデートなの?ホストだったら露知らず。非モテ王のシュンさんですよ?むしろ罰ゲームじゃね?ちなみにシュンさんと冬ソナのチュンさんって似てるよね?ヨーモニー♪
はい、一回落ち着こう。
別にピッパちゃんと自分は恋人でもないし、彼女が幸せになるまで見守るって宣言したわけだから要は保護者である。
保護者は子どもの喜びそうな所に連れて行けばいいのだ。そういえばこの前王都に行った時美味しそうにショートケーキ食べていたじゃないか。
前回はドタバタだったし、今回はゆっくり王都観光して美味しい物食べてくれば、それすなわちデート!シュンお父さん冴えてる〜!最低限の身だしなみは整えて行くとしますか!
一方
シュンさんがデートに誘ってくれた!えっ?えっ?どういうことっ!?
「ようやく私の気持ちに気づいてくれたのかな···」
「いえ、あの人はきっとキャンプファイヤーの火に当てられて衝動的に誘っただけです。きっと今頃パニックになりながら『俺は保護者だから適当に喜びそうな所連れていけばいいや!』とか考えてるはずです」
デート前日服を選ぶためにミルフィアさんの家にお泊りに来たのだが、いつものふんわり口調どこへいったか、真剣な雰囲気でそんな事を言った。
「やっぱりそうですよね···しょうがないか、年も離れてるし。いつもみたいに楽しんでこよっと」
「ピッパちゃんは本当にそれでいいの?最近のシュンさんは私から見ても魅力的ですし、人たらしに磨きがかかってます。カチューシャさんとかは完全に惚れてますよ。」
「うっ···」
「けど大丈夫!ピッパちゃんもちゃんと可愛いですし、私がもっと可愛くしてあげますから!だから頑張って!」
「分かりました!よーし!頑張るぞー!」
デート当日
ミルフィアさんから
「一緒に家を出ても〜雰囲気ないですから〜前日はピッパちゃん私の家にお泊りするので〜街の表門で待ち合わせです〜」
と言われ、えっ!?そこまでしなくても。。。と言ったら
「良〜い〜で〜す〜か〜?」
と凄い圧のかかった笑顔で返されたので従うしかなく、待ち合わせ時間通り表門でピッパちゃんを待っていた
「お待たせしましたっ!」
と手を振りながら、たったったっと駆け足でこちらに来るピッパちゃん
白いワンピースに麦わら帽子と実にシンプルな出で立ちではあるが、もともとの素材がいいので彼女の魅力がより一層際立って見える。
ドキッとしたがそれを悟られないように父親らしく
「じゃいこっか」
と言って馬車に乗るよう促すと笑顔で、はいっ!と返事をし馬車に乗り込んだ
一方ミルフィアさん
「あの童貞がぁ〜気の利いた言葉の1つも言わないでー。童貞殺し着せて見たら〜本当に死んでどうするんですか〜。」
物陰に隠れながら、自分が一生懸命コーディネートした服に何一つ感想も言わないシュンに苛立ちを覚え親指の爪をかじる
「主は王都に行かれるのですか?でしたら護衛の為私も同行しなければ!」
「わっ!びっくりした!カチューシャさんいつからいたんですか〜」
「我が主が行く場所には常に目を見張っていますが?で、王都に行かれるのですか?でしたら私も」
と言って馬車に乗り込もうとするのを袖を掴み必死に
「ザキオさん〜!カチューシャさんがお稽古つけて貰いたいみたいです〜」
「カカカカチューシャ!今日も稽古するのか?いいぜ、今すぐやややるか?」
「ザキオさんっ!?是非お願いします!」
と言ってザキオさんの方へ向っていった。
あ、危なかったわ。あんな剣オタクがついて行ったら雰囲気なんてありはしない。
「ミルフィアさん、こんな所で何をしてるんですか?」
「わっ!びっくりした!今度はキッツ君ですか〜びっくりさせないでください。」
「すいません。よく気配がないと言われます。それで今日はシュン男爵とピッパさんはデートと聞いていますが、ミルフィアさんは何をしているんですか?」
「え〜と、これはその〜」
「···尾行ですか?」
(ぎくりっ)
「···でしたらこれを使いましょう。」
と言って1枚の布を取り出す
「この布は少しでも魔力をこめると、この様に透明になります。これを使って尾行しましょう。」
また次から次へととんでもない物を作って。。。。早く国に申請しないといけないわ。また仕事が増えたじゃない。
というかそこじゃない。
「キッツ君も行くんですか〜?」
「僕はもっとシュン男爵の事が知りたいので」
と言って馬車にその布を被せると馬車は姿を消す。
「さ、行きますよ」
相変わらずの無表情だが、心なしかワクワクしている様に見える。
「分かりました〜二人にはナイショですよ~?」
「もちろんです」
と言って二人は馬車に乗り込んだ




