いただきます!
あ、知らない天井だ。
某アニメの主人公みたいな事を呟く。
無理もない、これが異世界に転生して最初の朝
昨日はギター作って少女の横で演奏して。。。
ぐぅと腹の虫が鳴る。
そういえば異世界に転生してから何も食べてないや
腹の虫を抑えながら宿屋のカウンターに向かう
「・・・おはようさん」
宿屋のおばちゃんが声をかけてくる。
「おはようございます」
なんかチラチラとこちらの様子を伺う仕草を見せる
僕なんかやったかな?
「昨日の夜、街のはずれで騒がしくしてたのあんたかい?」
「あ、すいません、うるさかったですか?」
「いやね、別にうるさかったとかじゃないんだけど、なんか変なもの鳴らして喋ってたからさ」
え?この世界に演奏や歌って文化ないの?
「あれはその楽器ってもので喋ってたんじゃなくて歌っていたというか・・・。迷惑おかけして申し訳ありません」
前の世界では音楽ってのは当たり前に存在するものでどう説明したらいいかしどろもどろしてたら
「いや、迷惑だったって訳じゃないんだけどさ、なんか凄い楽しそうにウタ?ってやつやってたからさ、気になって。。。私は好きだよ!そのウタってやつ」
「ありがとうございます!」
最初は感じ悪かったけど、こんな感じで喜んでくれて。。。前世から考えても自分のやったことで喜んでくれる。久しく味わって無かった感情に素直に感謝の言葉が出る
「私はエルラ、あんた名前は?」
「自己紹介遅れました、僕はシュンです。」
「シュンか、でさ、シュンあんたが良ければ今日お昼に食堂でそのウタってやつをやってくれないかい?あんた腹減ってるだろ、ご飯ご馳走するからさ、悪い話じゃないだろう?」
うわ!この空腹時にご飯の話をされたら断る選択肢はない!
「ぜひ!ありがとうございます!」
「あはは!よっぽど腹が減ってたんだね、良いよ前払いだ、今ご飯作ってやるからそこで座ってな!」
うわぁエルラさんめちゃくちゃいい人だ!
前世では自分のしたことで無機質な紙に数字が書いてあるだけで、人に何か頂いてるってそんな感覚じゃなかったからこういう好意は本当に胸に染みる。。。
出されたご飯はカチカチのパン?とお肉が少し入ったスープだったけど、ドーミーイン同様昔を思い出させてくれるとても温かい料理だった