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新たな人材!

話は25話の職場のオアシスに戻ります



最近はオフィスにサウナが併設されている会社もあると聞くし、サウナが出来た事により我がパール街の福利厚生は完璧と言えよう。

整った後に会議をすれば

「あーいいんじゃないですかー。ととのったー!」

「オッケー任せるー。ととのったー!」

と言う具合に全て円滑に回る。

これでいいのだ!

いや、駄目だろ。




過重労働のせいでどうやら思考さえもイカれてしまったようだ。


いくらサウナが出来ても仕事量が減る訳では無い。そもそもうちの会社は福利厚生がしっかりしてます!とか言い出す会社は大概ブラック。福利厚生を当たり前に充実させ、なおかつ他の部分で人材募集してない事にはいつまでたっても社員は増えない。そういう意味では我がパール街は今完全にブラック体制である。





新しい人材募集しないと本当に死んじゃうぞ?


過労死一歩手前の状態で必死に仕事をしていると、いつもの様にマイネル商会のブリッジさんが馬を引き連れて訪れた。


あぁ、馬車作らないと。

と馬と交換する為、庭に材料を集め馬車を作っているとブリッジさんが

「シュンはんに折り入ってご相談があるんやけどとも」

と言ってきた。


「やめて!これ以上仕事増やさないで下さい!」


「なんやそんなに忙しいんか?仕事の話違いますねん。ご相談ちゅうのはこいつの面倒見てもらいたいんやけど」


と言ってブリッジさんの後ろから見覚えのある少年が姿を表した


「君は確か、、、この前の大会で優勝したキッツ君?だったけ?」


「はじめまして。ビッグレッド商会のキッツです。父にシュン男爵のもとで勉強をしてこいと言われて来ました」


と、まだ背が伸び切っていないのか小柄でまだ年端もいかない少年が、相変わらずの無表情で挨拶してきた。


「はじめましてパール街の領主のシュンです。勉強って言われても、ここで?」


「はい、父はお前は頭は回るが人付き合いが下手すぎる。見知らぬ地で色々学んでこい。と」


でたー!ブラック企業あるあるー!

スキルアップとか吐かして、突然営業とかに回されるやつ〜。適材適所って言葉を知らんのかね?自分も経理部配属だったのに転勤&営業やらされて胃に穴あく思いをさせられた。てか、あいた。見たことない位吐血したのにその一週間後には仕事に出てこいって言われた時はどうしようかと思ったね。


「んーそれじゃあ、キッツ君は何が得意なのかな?」


「実家では経理の手伝い等はやっていましたが、さっきも言いましたが人と話すのが苦手です」


「なるほどー。分かった!それじゃあミルフィアさんと一緒に事務の仕事やってもらえるかな?」


「分かりました〜ではキッツ君こっちで私のお手伝いしてもらえますか〜」


とミルフィアさんが自分の机の横に座らせる。

ついでにブリッジさんも遠路はるばる来て貰ったので、お茶でも振る舞おうと用意していると



数10分後


「シュンさん。この子天才かもしれないです···」


とミルフィアさんがいつものふんわり口調は鳴りを潜めて自分に報告してくる。

えっ!?どういうこと?自分もミルフィアさんに褒めて欲しくてシュン120%で仕事終わらせた時も


「はいはい〜良く出来ました〜」


と子供をあやすように言ってたのに、そんなにすごいの!?


とキッツ君仕上げた資料を見ると自分が半日はかかる量の仕事をものの数分で仕上げてきた。

資料に間違いがないか見てみると


「な?完璧やろ?このガキ末恐ろしいねん。ビッグレッドの奴はこれ以上なに勉強されるつもりなんやろか?」


横から覗き見てきたブリッジさんがいう。


「キッツ君凄いです!」

「あらあらうふふ。今日は早く帰れそうですね~」


とピッパちゃんやミルフィアさんがキッツ君を絶讃した。

そして相変わらずの無表情で次から次へと仕事をこなしていくキッツ君。


凄い。そしてありがたいんだけど、なんだろう。この気持ち?ちょっとは嬉しそうにすればいいんじゃない?


と仕事では初めて味わった感情に戸惑いを覚える


これが、嫉妬?


「キッツ君、この資料も目を通して貰えますか?」


「分かりました」


「キッツ君〜これで合ってるかしら〜」


「大丈夫です。問題ありません」


2人がどんどんと仕事をキッツ君にお願いし、淡々とかつ完璧にこなしていく。


ぐぬぬぬぬ


「な、ムカつくやろ?うちはこういうガキは苦手やねん。」


分かってくれるのはブリッジさんだけだぁ。ブリッジさん大好きー!


「さーて!今日は仕事も一杯進んだし、この辺で終わりにしようか!」


というと


「シュン男爵の先程終わらせたこちらの資料に計算ミスがあります。もう一度見直して貰えますか?」


とキッツ君が言ってきた。




ブチッ!


「えー?そんなに間違ってた?計算には自信あるんだけどなぁー。どれどれ?あーここかぁ。これは間違いのうちに入らないじゃないかなぁ。キッツ君も計算には自信あるみたいだけど、試験としてちょっとこの計算一緒にやって貰えるかなぁ?」


勝負じゃ!


次回予告番長ー!番長算数ドリル!俺の歴史にまた1ページ


とミルフィアさんお手製のかなり難しい算数ドリルをキッツ君に渡す


「このドリル、どっちが先に出来るか勝負しない?」


「分かりました」


と無表情で受け取るキッツ君。

冷ややかな目線を送る女性陣と全力で応援してくれるブリッジさん。


ふふふっ。舐めて貰っては困ります。

ワタクシ、シュンの数少ない特技

それが馬券

馬券って聞くと、は?と思われる方もいるとは思うのですが、馬券で儲かるには配当と確率の問題なのです。


分かりやすく例えるなら


2頭勝ちそうな馬がいました。

片方は50%で勝ちそうで単勝2倍

片方が40%で勝ちそうで単勝5倍

だった場合、儲かるには常に40%で5倍の馬を買わなくては馬券に勝つことは出来ません。

あの短時間でそれを幾度となくこなした結果が回収率500%なんです!(第一話参照)


自信満々にページを捲ると中々に難しい問題が連なっていた。


「中々難しいじゃん。けどこれをキッツ君は解けるかなぁ」


と上から目線で言うと


「終わりました」


「「「「えっ!?」」」」

とその場にいた全員が驚く


「いや、え?まだ数秒だよ?しかも、終わったって言っても何も書いてないじゃん?」


「いえ、書く必要が無いので、上から215.7851.475.-568.15285.7/22です。」


「ぜ、全問正解です。」


と、ミルフィアさんもかなり驚いた表情で口にする



ま、負けた。そもそも馬券当たるのは馬の感情が理解出来るからであって、計算出来ていたら経理から営業に飛ばされたりしない。。。


「シュンさん。ちょっとかっこ悪いです···」


とピッパちゃんがトドメを刺してくる。


うぐぅ。


そんな俯いて涙を流す自分に


「な?ムカつくやろ?そもそもビッグレッドもこのガキが優秀過ぎて従業員が次々辞めてった言うし。親父はんもそれでここに追いやったんとちゃいますか?」


そういうのは早く言ってよー!


「ま、まぁ優秀な人材が入ったと思えばええんやない?」



そう!これでブラック体制とはオサラバだ!

と開き直る他なかった。


スロット打たない方、訳のわからんこと言ってすいません

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