社畜から国畜にジョブチェンジ!
さて、参った。
突然男爵になりパール街を統治しろって言われても、自分に出来るの?せっかく前世から社畜を卒業したのに今度は国から使われるとか、国畜?意味わからん。まぁ前世でも国に税金納めていた訳だし昔から国畜である。やっぱり意味わからん。
そんなどうでも良い話はともかく、パール街はそれほど大きくは無いが人口は500人位はいる。貧しい訳では無いがサクシードさんが献上するものを悩む程これといったものもない、農業が主体のカントリー風の街。それを自分が?
要は平社員になに変哲のない支社の社長になれって言うんでしょ?倒産まっしぐら。ピッパちゃんと路頭に迷う日が続くのか・・・
などと途方に暮れていたら、お城の中庭が何やら騒がしい。
ちょっと様子を見てみると、ピッパちゃんが騎士団に乗馬の指導をしていた。
「だから何回言ったら分かるんですか!手綱を強く引きすぎです!あなたの口にハミ着けて引っ張られないと分かりませんか!?」
「ひぃ!すいません!」
「そこ!馬のお腹蹴って歩かせすぎ!自分が馬を動かしてると思ったら大間違いですよ!あくまで脚を入れるのはこちらの意思を伝える為にしてるです。強く蹴れば良いってものじゃありません!」
「はい!分かりました!」
と熱の籠もった指導をしていた。ピッパちゃんすごいなぁ。騎士団相手に臆さず徹底指導してる。
そんな光景を眺めているとピッパちゃんがこちらに気づきパタパタと手を振る。
「今日の指導はここまでです。お疲れ様でした。」
「ピッパの姉貴お疲れ様でした!」
「・・・お疲れ様は馬に言って下さい」
と指導を終えたピッパちゃんがこちらにタッタッと歩みよってくる。ほっと肩を撫で下ろす騎士団の人達。本当にお疲れ様でした。
「熱の籠もった指導してたね」
「その、私馬の事になると少し周りが見えなくなる所があって・・・」
と恥ずかしいそうに言う。うん、知ってた
「いや、けど指導員としては凄い様になってたよ。カッコ良かった」
と言うと
「ありがとうございます!」
と照れくさそうに微笑んだ
「で、シュンさん、ショウシャクの方はどうでした?」
「うん・・・なんかね王様と遊んだら男爵になってパール街の領主になった」
とあったこと伝えると
「えっ!?凄いじゃないですかっ!おめでとうございます!」
「めでたくないよー。自分なんかに勤まるとは到底・・・」
「大丈夫です!シュンさんなら出来ます!シュンさんが凄いの私知ってますから!私も全力でサポートしますから!」
と手放しに喜び褒めてくれた。
本当にめちゃくちゃ良い娘。嫁にしたい。ピッパちゃんがお嫁さんなら野球なら三冠王、将棋だったら8冠だってなれる気がする。村上君も藤井君も独身か。若いのにすごいね!
そんなピッパちゃんを見ていると頑張らなきゃと言う気持ちになってきた。
「うん。頑張ってみるよ。ありがとう」
と感謝の気持ちを伝えると、はいっ!と答えた。
統治すると言ってもまずは街のみんなの生活が最優先だ。せっかく取り戻した笑顔を絶やしてはいけない。生活するにはお金がいる。とにかくお金を生み出す産業をもっと盛り上げていきたい。となると真っ先に思いついたのが
「・・・馬か。」
「馬、ですか?」
「うん、馬。前の戦で分かったと思うけど、これから戦の中心は馬になると思う。戦に限らず移動するにも物を運ぶにも馬が中心の生活になると思うんだ」
なるほど。とピッパは頷く。
そう、ハミと鞍を作った以上遅かれ早かれみんな馬の便利さに気づくはず。
戦場では大勢の馬がぶつかり合い、街中馬車が行き交う時が来るだろう。その頃には馬の値段は何倍にも跳ね上がっているはず。馬産業が株だったらテンバガーも狙える。何せ国のプロジェクトになるのだから。
取りあえず自分の中で馬を買う事が決まったのだが、先立つもの、そうお金がない!
王様も男爵与えるのは良いけど、少しはお金くれても良かったんじゃない?ドラ◯エの王様でも宿屋数泊分のお金くれたよ?って、これから国を守る為に戦いに赴く人に数泊分って自分が勇者だったら勇気を出して王様の身ぐるみ剥いでたね。いやまじで。
う~んと頭を悩ませているとサクシードさんが声をかけてきた。
「おお、シュンまだこんな所にいたのか。ん?なんか悩んでいるようだが、どうした?」
「いや、今後の為に馬を買おうと思ってるんですがお金がなくて・・・」
「なるほど、では私も世話になってるマイネル商会を訪ねてみると良い。シュンが行くことは伝えておくから明日にでも行ってみたらどうだ?」
渡りに船!ありがとうございます!