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宴会

無事にノーザン帝国を追い払い街に凱旋するとみんなが大歓声で迎えてくれた。

みんなのこの笑顔を守れたと思うと本当に誇らしい。


その後は街の全員と援軍に来てくれた人達が集まり祝賀会が行われた。ちなみに席は左がサクシードさん、右がピッパちゃん。最初は少し離れた場所にいたのだが

「勝利の立役者がそんな離れた場所にいてどうする?」

とサクシードさんに言われて連れてこられた


ちょっと恐縮しながらピッパちゃんと座っていると


ギターをプレゼントした人達が


「自分と一緒に弾いてもらってもいいですか?」


誘われて一緒に歌い鳴り響かせる


するとエルラさんがこっちに近づいてきて


「さっきから歌ってる時にオドル?やオドレ?とか言ってるけどオドルってなんだい?」


と聞いてきたので


「踊るっていうのは音楽に合わせて全身をこうやって動かすんです」


と弾いていたギターを置き演奏を他の人に任せて踊ってみせた。


「なんだい、それは?楽しそうだねぇ。こうかい?」


と言ってエルラさんが踊りだす。それを見たザキオさんが


「ええええエルラ違ぇよ!こうだよ!こう!」


と言って踊りだす。するとサクシードさんが


「何か楽しそうな事をしているな。こうか?」


と言って踊りだす。それを皮切りに街のみんなが笑顔で音楽に合わせて踊りだす。



あぁなんて楽しいんだろう。

前世の飲み会は本当に苦痛でしょうがなかった。みんなも上司の顔色を伺いながら自慢話や説教を頷きなが聞く。ノリノリで話してる時に別の方を向いてると

「おい!お前の事言ってるんだぞ!」とかいい出す始末。そして次の日お礼を言わなかった日には

「はぁおまえは感謝することもできないのか」とか言われる。金払うから貴様のつまらん話を聞いてやった自分らに感謝しろと言いたい。ブラック企業滅ぶべし。


そんな前世のどうでもいいことを思い出していると体格の良い人が自分の方に来て話しかけてきた


「あなたがハミと鞍を作ったシュンでよろしいか?申し遅れた、私はアルマリン王国の近衛騎士団副団長ホエールと申す。いやぁあのハミと鞍は素晴らしい。本当に馬を自在に操れるとは思わなかった!」


と大きな声で言ってきた


「いや、自分はそれを作っただけで本当に凄いのはピッパちゃんですよ」


と言うと、ホエールさん少し興奮ぎみに


「そう!彼女は一体何者なんだ。馬に跨り現れて突然!『国王陛下に謁見をしたく存じ上げます!』と言って手紙を渡して来てな、私なんかは馬を自在操ってるだけでも幻を見てるかのようだったのに、彼女は馬に跨ったまま謁見の間まで来て馬から降りて跪き国王陛下に馬と騎士団を200づつお貸しください!ときたもんだ。大臣なんかは狐に抓まれた様な顔をしていたぞ!」


とワッハッハ笑いながら言う


「あわわ、や、やめてください・・・」


とピッパちゃんが恥ずかしそうに言うと


「何を恥ずかしがる事がある!あの勇ましい姿はまるで物語の主人公の様だったぞ!しかもそこからが面白い!集められた部下達は最初は女かと見下す様な態度を取っていたのだが、馬にハミと鞍をつけ始じめ、何をしているのかと見ていると「なにぼーっとしてるんですか!手伝って下さい!」と私の部下を叱責してな、そこからはもうみんな彼女の言うがままだ、乗馬を指導している時なんかは泣き出す奴もいたほどだ!」


するとピッパちゃんは下を向き顔を真っ赤にして何も言わなくなってしまう。

ピッパちゃんまたやっちゃったのか・・・


「いやぁ彼女は本当に素晴らしい!是非うちの騎士団に迎え入れたいのだが・・・」


「いえいえ、私なんかが騎士になるとか絶対に無理です」

と断る。ホエールさんは諦めきれず執拗に彼女を雇用しようとするのでサクシードさんと自分がやんわりと止めに入る。するとホエールもさすが諦めたのか


「すまん、こんな楽しい席に無理ばかり言ってしまい・・・だが彼女さえ、よければ乗馬の指導だけでも来てくれないだろうか?」


「それなら是非!」

とピッパちゃんもようやく首を立てに振る


すると彼の部下達はガタガタと震えだし、なんかブツブツ言い出す人もいた。

本当にピッパちゃん何したの?



宴も酣、そろそろ終わりを迎えると


「この度は本当に楽しい席に参加させていただき感謝する。我々はそろそろお暇する。」


とホエールさんが言うと彼の部下が綺麗に整列し


「ピッパの姉貴、お疲れ様でしたっ!」


と頭を下げる。だから本当にピッパちゃん何したの?




自分もそろそろ帰るかーと席を立とうとするとエルラさんが近づいて来て


「ところでシュン、あんたこれからどうするだい。ちょっと言いづらいだけどさ、最近人の出入りも多くなってきてさすがにずっと部屋いられると・・・」

と申し訳なさそうに言ってきた。


そうだよなぁ。演奏してるとはいえ後半は銀貨もほぼ底をつき、エルラさんの計らいでタダで住まわせてもらってたもんなぁ

「そうですよねー。んじゃ旅支度整えたらそろそろ次の街にでもいこうかなぁ。」


と呟くと、ピッパちゃんが俯いたまま自分の袖をキュッと掴む


「おやおや。あ、そうだ!だったらピッパの家に行けばいいよ!あんたの家、お父さんの部屋空いてただろう!そこに住まわせて貰えばいいさね」


とエルラさんが言うと、ピッパちゃんが破顔一笑、満面の笑みでこちらを見る


「ななななんだ!シュンはピッパの家に住むのか!じゃあ今夜はしょしょしょ初夜だなっ!」


とザキオがセクハラかましてくる。エルラとピッパは今までに見たことない冷たい目でザキオを睨む。

ザキオが失礼しましたー!と逃げていくと途中の馬に思い切り蹴られる


「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて当然さね」


とエルラが言う。


そんな漫才みたいな光景を他人事のように眺めているとピッパちゃんが

「・・・シュンさん。うち、来ます?」


袖を掴みながら上目遣いで聞いてくる。


うん、どうしよう。断る理由はないんだけどね、うん。どうしよう。頭が真っ白になりながら

「はい、でもホントウニイインデスカ?」

と聞くと

「はい!喜んで!」

と満面の笑みで答えるのだった

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