風火作戦!
ピッパちゃんは王都に向かい自分と自警団の皆さんは少し時間があるので住民の避難を手伝ったり腹ごしらえを済ませ、馬に跨り予定の草原に向かう。
ちなみに私、岩崎駿は男である。
男子が好むものはいくつかあるが、乗り物だったり、ギャンブルだったり、新しい電化製品だったり、前世では電気屋行くのが趣味だったりと様々だったが他にも好きなものがあった。それは歴史である。特に好きだったのは戦国時代。
豊臣さんやら徳川さんはエピソードも波乱万丈で魅力的だし好きだったが、特に好きだったのは武田さんである。風林火山の名のもとに馬で戦場を駆け巡る。誰がなんと言おうと戦国時代最強は武田さんだと思っている。織田っちが西洋からきた火縄銃とか言うチート武器を使わなかったら戦国最強は武田の騎馬隊だ!
馬に跨るという文化が無いこの世界で馬に跨り、これから戦場に赴く。自分達が最強なんだ!と言い聞かせる
初めての戦場ということで震えが止まらないが、ひょっとしたらこれは武者震いかも知れない。
と、過去の歴史に思いを馳せながら敵の到着を待つ
一方敵側は
「いやぁこれから行くパール街って確か小さい街で兵隊も100もいないんだろ、よゆーだわー」
「か、可愛い娘とかいねぇかなぁ。あー興奮してきたー」
「ヒッヒッヒ!金目もんあればいいが、もう恐れをなして逃げてんじゃねぇか。ヒヒヒっ」
はぁなんで俺がこんな奴らを引き連れて戦場に行かねばならんのだ
皇帝陛下のご命令とはいえ、これから虐殺の様な侵略には気が進まぬ。
ノーザン帝国の騎士、カンパニーは頭を悩ませていた。
「皇帝陛下のご命令です。気が乗らないのは分かりますが仕方ありません。早く終わらせてしまいましょう」
と部下のシーザリオに言われる
部下に悟られる程顔に出ていたか、情けない。だが自分も腐っても騎士だ。本当にこの戦に正義があるのか
と自問自答していると
「ななな、なんだ!馬がこっちに突っ込んできやがる!うわぁ!」
と自分の軍に馬と馬に跨った男達が突っ込んできた
「怯むな!馬などこちらを通り過ぎればまず戻って来ない。隊列を戻し進軍するぞ!」
と指示をだすが
「奴らがまた後ろから突っ込んできやがっ、ぎゃー!」
なんだ、何が起こっている!?馬に跨った男達が物凄い勢いで何度も何度も突っ込んでくるではないか!!
速さもさる事ながら、馬の物凄い足音に兵士は完全に混乱し隊列が完全に乱れる。
「よし!完全に敵は混乱してます!この調子です!」
「おう!」
と自警団のみんなが声をあげる。敵の進軍を完全に止める事に成功した!風作戦は完全に上手くいっている!
こちらは15人しかいないので敵の無力化は出来ないが、初めて馬を自由自在に操る集団に敵は混乱している。
しかし、時間がたつにつれて敵の兵士達も石を投げてきたり槍で攻撃するようになってきた。
「ててててめぇ!この野郎!ぶぶぶぶっ殺してやるー!」
「ザキオさん!足を止めては駄目です!あくまで足止めです!」
「はぁはぁ、チクショー!テメェの顔覚えたからなぁ!」
と自警団のみんなも疲弊し始めた。
競馬の勝利インタビューでレース後のジョッキーが息を切らせて受け答えしてる姿に
走っていたのは馬だろう。なにお前が息切らせてんねん
などと思った事もあったが乗ってみたら分かる。馬に乗る時は足でお腹を挟み続けて体幹も必要とする。いわば全身運動に近い。馬の反動でお尻や腰も痛くなってくる。乗馬というスポーツがオリンピックに採用されてるのも頷ける
みんなの疲弊した姿にもはやここまでか、一回引くしか無い。と退却を決めようとしたその時
「シュンさん!お待たせしました!」
と戦場に良く響く少女の声が届く
振り向くと
馬に跨ったピッパちゃんとジャンヌ。逆光のせいかも知れないが彼女のその勇ましい姿に完全に目を奪われる。そして彼女の後ろには馬に跨る屈強な騎士が綺麗に隊列していた。
てかピッパちゃん本当にこの短時間で200頭もの馬の馴致を終わらせたのか!優秀過ぎる・・・是非うちの牧場に就職してくれないだろうか。
と作者のメタ発言はさておき
「これより攻める事火の如しです!皆さん突撃します!」
その号令に怒号にも似た200もの騎馬隊が声をあげ真っ直ぐに突撃する!
「自分達も続きます!突撃ぃ!」
とみんなに言うとザキオさんたちも声をあげ突撃する。
悲鳴をあげ逃げ惑うノーザン帝国。無理もない。競馬場で10数頭走ってるだけで結構な足音が競馬場に鳴り響くのだ。それが200以上ともあれば、それは地震を通り越して大地の怒りである
一瞬にして勝敗は決した。
「皆さん勝どきを上げましょう!エイエイオー!」
と言うとピッパと屈強な騎士たちは続いて声をあげる。
「エイエイオー!」