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第18話 ターム

「こっちに隠れろ」


生贄の門(スケープゲート)』を潜ってすぐのことだった。ユウがなにが起こったのかわからず呆然としていると、握られていた手に轢かれてすぐさま導かれる。

 誘導された先に『生贄の門(スケープゲート)』を潜り前方を歩いていた黒装束の集団の中だった。アラインは慎重に歩くと、ユウを引き寄せながらなるべく集団の中心へと身を寄せる。


「アライン、なにを……」

「しっ」


 疑問を投げようとした直後、アラインから厳しい一言が返って来た。黙れと言うことらしい。その強い口調から緊張感を受け取ったユウは、言われた通りに沈黙する。


「おい、どこかに生き残ってる奴はいるか?」

「誰でもいい! 探し出せ! もしかしたらまだ来るかもしれないぞ⁉」


 ダースロウたちの中で身を屈めながら息をひそめていると、周囲から怒声にも似た声が響いて来た。どうやらアラインが静かにするように言った理由はここにあるらしい。

 すぐに周りからバタバタと激しい足音が聞こえてきた。その足音はダースロウを避けて後方へと向かっていく。もっと『生贄の門(スケープゲート)』に近づいて生存者がいないか、または来る気配はないか確認しているのだろう。


 それと同時になぜアラインがダースロウの集団に身を隠したのを理解した。ユウは息を呑みながらさらにフードを深く被ると、ギュッとアラインの手を強く握り直す。

 やがて後方で淡い輝きを放っていた『生贄の門(スケープゲート)』から光りが失われていく。すると各所から残念がる声が聞こえてきた。


「ちっ。今回も生存者はなしか」

「くそ。一人でも生き残ってる奴がいたら門の通り方を殴ってでも聞いたのに」

「無茶言うなよ。門を潜るだけで即死する奴もいるくらいなんだぜ。次回に期待しよう」


 口惜しそうなため息と一緒に、ぞろぞろとこちらに戻って来る足音が聞こえてくる。彼らの反応を見るに、上手く身を隠せたみたいだ。

 ユウはホッとして息を吐く。その油断がいけなかった。

 ユウは前を行くダースロウの黒装束を踏むと、コケそうになって態勢が揺らぐ。さらにその後ろを歩いていたダースロウにフードを踏まれると、今度こそ躓いてしまった。


「いっ……!」


 転んで、変な体制で倒れて、いくつもの足に踏まれて、ユウは痛みのあまり声を漏らしてしまう。その呻きは血気盛んな周囲の連中の耳に届いてしまった。


「おい、今の聞いたか⁉ 生存者がいるぞ!」

「ダースロウの集団の中だ! あそこに隠れてる、探して見つけだせ!」


 ついに隠れていたことがバレてしまうと、それまで静かだった大広間は途端に騒がしくなり、何人もの人々が二人の隠れているダースロウの集団目がけて突撃して来た。

 黒装束を掻き分け、押し退け、いると確信した生存者を探そうと乱暴に周囲を見回す。

 このままでは見つかるのも時間の問題だろう。だが彼らとて平気ではいられなかった。


「うぎゃああああああ!」


 すぐに近くから悲鳴が上がる。ユウはアラインの手を借りて急いで立ち上がりながらそちらの方に目をやると、丁度ダースロウが一人の住民に制裁を加えているところだった。

 叫びを上げた者は、ダースロウからあらゆる運気や因果を内蔵した何十本もの糸を絡め取られると、みるみる萎んで干からびていく。


 それから完全に醜い皮となると、そのまま後方へと放り投げられ、『生贄の門(スケープゲート)』の一部となって張り付いた。そんな光景が各地で広がり、大広間は悲鳴で満たされていく。

 だがそれでも未来への希望を失った人々は貪欲だった。例え仲間が目の前でダースロウに粛清されても、なお黒装束の集団を掻き分けてユウたちを探し出そうとしている。


「こっちだ!」


 埒が明かないと踏んだのだろう、アラインはユウの手をしっかり掴むと、ダースロウの集団から抜け出して一気に走り出した。


「見つけたぞ! あっちに逃げていった! 捕まえろ!」


 すぐに後方から野次馬たちの叫び声が聞こえてきた。それでもアラインは決して振り返ることなく、前方の人混みに紛れて直走る。

 一度人混みの中に入ってしまえばこちらのものだった。すれ違う人々はみな一様に迷惑そうにしながらも、駆け出していく二人を避けようと強引に道を作ってくれる。


 門の中に作られた集落を超え、そのまま出入口の方まで行くと外に出る。

アラインは迷いのない足取りで一気に道を曲がった。ユウは気を抜いたら振り解かれそうな手をしっかり握ると、なんとかアラインに続いて一緒に走る。

 そのときにはもはやフードも脱げてしまい、頭の後ろでバサバサ音を立てるだけでほとんど意味をなさなかった。なんにしても上手く追っ手を遣り過ごした。そのことにユウは歓喜する。しかしアラインはそうではなかった。ここからが長い道のりだと覚悟を決める。


「少し遠回りをするぞ! 着いて来れるか⁉」

「えっ⁉」


 ここまで順調だった展開にいきなり釘を差されると、ユウはどういう意味がわからず頭にクエスチョンマークを浮かべた。しかしアラインの行動を見てすぐにその意味を察した。

 アラインは頻りに周囲に目配せをすると、走りながらあるものを探す。つられてユウもそのあとを追うと、丁度アラインの目が停まった瞬間に同じものを見つけた。

 視線の先、とある建物の上に風見鶏型の『因果歪曲計(ウェザー)』を発見する。


「何回か連続で道を曲がるぞ! まずは左だ!」


 アラインが合図するのと同時に、ユウは言われた通り左に曲がった。

 それから、右、右、直進、左と、なんともめちゃくちゃなルートでギリギリ道と言える場所をひたすら走っていく。


「見つけたぞ! あっちだ!」


 そうこうしている間に、外にまで探しに来た野次馬たちに見つかってしまった。それでもアラインはなんとか『因果歪曲計(ウェザー)』に従って走っていたが……余計な動きが多過ぎて、いよいよ何度か追手とすれ違うようになってしまい、セーフポイントが塞がれていく。


「くそ、あともう少しなのに……っ」


 次々と道を塞がれてアラインは苦虫を噛む。このままではいずれ囲まれて、八方塞になってしまうだろう。それだけはなんとしても避けたかった。

 そこでアラインの取った決断は――


「仕方ない。もうセーフポイントから外れて直行するぞ! 行くぞユウ!」


 運気の流れ的に安全な道を外れると聞かされると、状況が芳しくないことを悟っていたユウも覚悟を決めた。

 そして二人はついに『因果歪曲計(ウェザー)』を無視して一方向に突撃する。その先にあったのは駅だった。どうやらここからは列車に乗っての移動になるらしい。

 それからのアラインの行動は、『因果歪曲計(ウェザー)』に沿うものでは無く、追ってから身を隠すための行動へと変わった。わざと人通りの多いところを選び、隙あらば人込みに紛れて身を隠し、見事に追手を撹乱していく。


 しばらくして追手の数が減ってきたところで、ついにアラインは動き出した。今度はジグザグに動くことなく、駅目がけて一直線に走っていく。

 同時に列車が警笛を鳴らした。

 それは出発の合図だった。それでも構わずアラインは列車に向かって突っ込んでいく。まだ動き出したばかりの列車は鈍行だった。アラインはその中から貨物専用の車両を発見すると、そこに向かって走っていき、まずは一人で飛び乗る。

 それから後ろを振り返ると、まだ走っている途中のユウに向かって手を伸ばした。


「ユウ! 手を伸ばせ!」


 掴まりやすいようにアラインは空きっぱなしのドアから身を乗り出すと、グッと身を乗り出してユウを急かす。その間にも列車は加速し、どんどんユウとの距離が空き始めた。

 普段運動などしていなかったユウは、この段階ですでに息を上げており、すでに限界のようだった。それでもどうにかアラインに追いつこうと、列車と一緒に走る速度を増す。

 お互いの指先が何度も掠り、なんとももどかしい攻防が幾度か続く。

そして数十秒に渡る激闘のあと、ようやくユウはアラインの手を掴むと、強引に中に引きずり込まれる。

 こうして逃走劇の末、なんとか列車に飛び乗り、追手全員から逃げおおせた。


「はあ、はあ……よくやったぞユウ。これでもう安心だ」


 お嬢様で体力などないであろうユウは、今や心臓をバクバクさせながらアラインを見つめると、今にも破裂寸前の肺で一生懸命息を吸いながら、なんとか頷いた。

 その額には玉のような汗が流れており、酸欠状態で顔も真っ青だった。


       ◇


 列車に飛び乗ってからしばらくすると、先程まで喘息のようにヒューヒューしていたユウの呼吸もやっと整い、ようやく浅い息遣いに戻った。

 貨物車両の中は輸送用の木箱やワラのクッションで敷き詰められており、とても窮屈な空間だった。しかし二人の乗客には丁度いいフィット感で、贅沢さえ言わなければ十分寛げるくらいにはスペースがある。

 ようやく一段落し、熱のこもった体に風が当たって心地よい。外では次々に景色が流れ、似通った風景を映していく。そんな様子を眺めながらアラインは現在地を確認した。


「今俺たちがいる吉凶の位置は、悪い方から良い方へ向かってる、丁度中間辺りだ」


 ショルダーバッグからペンと紙を取り出すとアラインは円形を描き、この世界をざっくりと書きながら、地図に現在地の印をつけてユウに説明する。


「で、俺たちは今列車に乗ってこの方向に向かってる。あとこの列車は『因果歪曲計(ウェザー)』に沿って走ってはいない。ほぼセーフポイントをガン無視して突き進んでる。これは俺がこっちまで『因果歪曲計(ウェザー)』を設置し切れてないことが原因なんだが……。とにかくセーフポイントから外れてる以上、この先どんな災難が待ち受けてるかわからないし、予測もできない。ユウの幸福体質もそのペンデュラムで封じてるから、当然お前の能力にも期待はできない。要するに出たとこ勝負の状態が続くわけだが……ここまでなにか質問はあるか?」

「なんとなく状況はわかった。けど……さっき門を出たとき、なんであんなに逃げる必要があったの? みんなも待ち伏せして追いかけてきたけど……」


 両手を床に着きながら地図を眺めていたユウは、不意に顔を上げるとアラインを見る。お嬢様が故の世間知らずな質問に、アラインは努めて詳説してやる。


「これまで『生贄の門(スケープゲート)』をまともに超えられた奴はいないからだ。超えられたとしても、対価を払った影響ですぐその場で息絶えることが関の山。そんな状況の中、俺たちみたいに五体満足で通過してきた奴が表れたらどうなると思う? 即刻捕まってどうやって超えたか根掘り葉掘り聞かれるのが落ちだ。けどそれはマズい。誰にでもあの『生贄の門(スケープゲート)』を超えるコツを教えてしまったら、まず大混乱が起こる。本来一人一人が持ち合わせてる吉凶や運気のパワーバランスがめちゃくちゃに崩れて、世界情勢に影響を与えるだろう。そうなったら、それこそこの世界が崩壊しかねない」

「ならみんなに、不用意に門を超えないようにお願いすればいいんじゃない? そうすればみんなもそれを理解して、不幸な人たちだけ幸福地帯に行けるんじゃ……」


 キョトンとした面持ちで告げられたユウの意見に、アラインは純粋な奴なんだなと慈しみの視線を向けると、そうできない理由を説明してやる。


「物分かりのいい善人だけの世界なら、それもできたかもな。でも残念ながらこの世界には悪人が沢山いる。不幸な人だけ門を通っていいなんて例外を作ったら、じゃあ自分もと出しゃばる奴が必ず出る。だいたい幸不幸なんて主観でしか判断できないから、その線引きも無理だ。それを決めてしまえば反感も買う。まあそもそもの話、運気の流れなんて目に見言えないものを信じる奴がいるかっていう話だけどな」

「でもアラインの仲間たちは……みんなは信じたじゃん」

「あれこそ例外だ。世間一般じゃそんなオカルトチックな話信じちゃくれない。安易にこんな話してみろ。頭のおかしい奴か、詐欺紛いのことだと思われるぞ」


 呆れるほど前向きなユウに、アラインはやめとけと首を振った。それでもユウは首をかしげていたので、アラインは一方的にこの話を切る。


「なんにしても、俺たちじゃどうしようもできない話だ。今の段階でどうこうしようなんて考えない方がいい。……さて、ここからしばらくは汽車に揺られるだけだ。俺は軽く寝ることにするから、ユウも休めるうちに休んでお……うっ?」


 いい感じに話を終わらせて、一休み入れようとしたときだった。

 先日呪印を切除した方の腕の傷跡が疼き、嫌な痛みが走る。そのあまりにも不快な感覚にアラインは腕を確認すると、絶望に瞳を染めた。

 きつく巻いた包帯から呪印がはみ出し、無事だった肌へと広がっていた。

 タームを超えた影響か。それともセーフポイントを大幅に逸れたことが原因か……。

 だが今は、そんなことどうでもよかった。体の内側から蛆に食われているような不快感が全身を走り、今すぐにでも呪印を除去したい衝動に駆られる。

 確かショルダーバッグに折り畳みナイフがあったはず。それで肉ごと削ぎ落して――


「どうしたのそれ⁉」


 どの位置から呪印を削ぎ落そうかと思考していたときだった。すぐ隣にいたユウがアラインの異変に気づき、驚きの表情で声をかける。瞬時にしまったと思った。

 これまでの人生で誰にも見せたことのない痴態を初めて晒してしまうと、アラインは動揺で呪印を隠すのを忘れてしまう。

 ようやく隠すと言う動作を思い出したときには遅かった。アラインは一拍遅れて腕をフードの中に隠すが、それでもユウは心配げに問うてくる。


「その腕、火傷したの⁉ それとも打撲? 包帯するほど酷いの?」

「う……うるさい! プライベートには首を突っ込むなって言ったらだろッ」


 動揺のあまり乱暴な口調でユウを突っぱねるアライン。しかしユウは引かなかった。


「でも私もう従業員じゃないからその約束は無効だよ」

「屁理屈を……」

「今度は私の番だよ」


 語気さえ荒くはなかったが、その主張には一歩も譲らないという強い意志があった。

 小さくガタンと貨物車両の荷物が音を立てる。車輪がレールの上を走る音だけが静寂な場に響き、タタンタタンとリズミカルな振動と外からの風だけが感じられた。


「私のことを教えたんだから、今度はアラインのこと教えてよ」

「なんだよ、俺のことって……」


 ユウの静かな迫力と、呪印を見られたことによるショックがまだ引きずっていることも重なって、アラインは陳腐な語録でしか言い返せなかった。

 それをいいことに、ユウはてんこ盛りで聞きたいことを言ってくる。


「その変な痕のことはもちろん、ダースロウってなんなのかとか、フロードとの関係とか、どうしてお店をしてるのかとか、これまでの生い立ち全部!」


 アラインが弱気になっているのをいいことに、ユウは一気に捲し立てる。そして要するに半生を教えろということらしいと、アラインはようやく理解した。

 呪印のこと以外は、一部の仲間たちにも話してきたから別にいい。

 だが呪印のことだけはどうしても話したくなかった。もし話したら軽蔑されるのではないかと、それこそ化物扱いされるのではないかとアラインの中で不安が渦巻いたからだ。

 しかし、だからといって黙っておくことも最早手遅れであった。

 ここで教えるのを拒絶してしまったら、それこそユウの中でいろいろな憶測が飛び交い、変な勘違いをして、誤った方向へと解釈をしかねない。


(もう話すしかないのか? これまで誰にも秘密にしてきた、この呪印のことを……!)


 こうなったのはセーフポイントを外れたことが原因であり、早速その影響が出始めたのかもしれないと、アラインは内心で考えた。

 それと同時に、これが自分にとって幸と不幸のどちらであるかの判断に迷う。

 これまで誰にも話さず内密にしていたことがついにバレてしまったと、そう思い残念がることが正解なのか。それとも、もう隠しておく必要はないと、ようやく肩の荷を下ろせるときが来たのだと喜ぶべきところなのか……。


 今はとにかく、ショックが大き過ぎて自分でどう考えるべきかわからなかった。だがその一方でハッキリしていることはある。これ以上の隠匿はもう無理だと。

 今自分の身を守れる最善の方法は、包み隠さずすべてを話すこと。

 その答えに行き着いたとき、ようやくアラインは観念することができた。


「……わかったよ。わかったから……もうそれ以上は見ないでくれ。頼む……っ」


 もう降参だと言わんばかりに、情けなくその場で腕を隠すように身を丸める。


「あ……ごめん」


 アラインの弱々しい懇願に、ようやくユウは相手を追い詰めていることを察した。珍しく衰微した様子に思わずたじろぐ。謝ったが伝わったかどうかはわからない。

 そんなユウの心配を尻目に、アラインは呪印の浮かぶ腕を隠しつつも、ゆっくりと身を起こす。それから伏せたままの顔から虚ろな目を覗かせ、真っ直ぐに呪印を見た。


「話す前にやっておきたいことがある。少し待っててくれるか?」

「う、うん……」


 ユウが承諾してくれると、アラインはようやく動くことができた。それから迷いのない手つきで包帯を剥がすと、すでに傷跡の薄くなった傷口が丸見えになる。

 どこからどう見ても肉が抉れている傷口に、ユウは顔を青くした。

それを尻目にアラインはショルダーバッグから折り畳みナイフを取り出す。


「見てない方がいいぞ」

「え?」


 一言だけ断わりを入れると、ユウは困ったように眉をハの字にして当惑する。

 一方でアラインは折り畳みナイフの刃を出すと、勢いよく腕の呪印に向かって薙いだ。

 刃が肌に触れたところから、チーズでもカットするように滑らかに、一瞬で呪印ごと肉が削がれる。小さな肉塊はユウの目前を飛ぶと、ベタッと生々しい音を立てて落ちた。


「なにしてるのアライン⁉」


 アラインの奇行に、ユウは絶句しながら名前を叫んだ。しかしアラインはその呼び声を無視して肉塊の前に手を出すと、埃でも払うかのようにザッと車両の外に払った。

 呪印は即座に流れて行く景色の中に消える。そんなアラインの信じられない行動の数々にユウは言葉を失う。他方でアラインはいつもの作業を終えると包帯を拾い、慣れた手つきで口と片手を使って器用に傷口に巻きつける。


「え……なに。どうして……? 腕を――」


 相棒の行動が何一つ理解できず、完全に凍りつくユウ。その首元ではペンデュラムが揺れており、アラインは吸い込まれるようにそれに視線を吸い寄せられた。

 すると自然と、とある記憶が想起された。そう、確かあれは幼いとき。

アラインの母も、ユウと同じように、ペンダントを首から下げていた――

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