1.お昼に一眠り
私、矢川 里奈。
地方の小さな会社で働く普通のOL。
ちなみに独身。彼氏もいない。
かれこれもう何年も恋愛とかそういったのはご無沙汰で……なんかもう、自分でも色々と諦めている。
結婚しろしろうるさかった親だって、最近だともう何も言ってこなくなったし。
まぁ、それはさておき。
今は昼休憩、お昼ご飯を食べ終わって自分の机に戻ってきたところだ。
いつもなら時間ギリギリまで同僚とか先輩達と喋ってるんだけど、今日は朝から眠くて眠くて。
ごめん、寝てくる!って言って今日は一人で抜けてきた。
こういう時は昼寝に限る。
ちょっと目をつぶってるだけでも、午後からが全然違うし。
しっかし、ほんと眠いなぁ……
なんか頭ぼーっとしちゃって……ふわぁ〜あ。
ん〜!と大きく伸びをする。
窓からの風が涼しくて心地いい。なんとも昼寝日和だ。
伸ばした体をそのまま前に倒し、机に突っ伏して目を閉じる。
一人きり、静かな部屋。
うつ伏せのまま、ふあぁ……とまた大きなあくびが溢れる。
しばらくして、バタバタと何人かの足音と共に騒がしく椅子が鳴った。
昭和感の溢れるデスクチェア……病院の患者さんの椅子みたいな軽くてちゃっちいやつだ。
座るとギギギギ……っていうやつ。
一応申し訳程度の背もたれがついてるから、病院のよりは座りやすいけど。
そして同時に、眠たそうなあくびの声も聞こえてきて。
『昼寝組』が次々参戦してくる。
しかし、そんな周りの物音も徐々に遠のいていき……私はふわふわと眠りに落ちていった。