表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
掛居きあらが勇気を出すまで  作者: 刀洞 やや
9/10

祭りのあと




「ほんとにごめんなさい……」

「いいって」

 驚いてとびおきた白雪姫に、王子が棺を破壊しながらタックルをかます、というむちゃくちゃな結末で大爆笑をさらったきあら達は、体育館から撤退していた。きあらは王子の衣装のまま、椅子に座って項垂れている。

 漣は、隣の椅子で、弥生に化粧を落としてもらっていた。コールドクリームで丁寧にドーランを落とし、つけまつげを取り去っている。

「まあ、緊張したら、人間おかしなこともしちまうよな。気にすんなよ」

「でも……」

「俺は気にしてないから」

 きあらは更に項垂れる。気にしてないの?

 許可もとらずにキスしてきた、と嫌われるのもつらいが、まったく気にしてもらえないのも哀しい。きあらは膝を抱える。

「弥生、これ悪いな、踏んじまって」

「いいですよ。ゴムを変えればまたつかえます。古くなってたから、変えようと思ってましたし」

「みんな、ごめん!」

 巧がとびこんできた。顔色があまりよくない。亮平がにこやかに云う。

「巧、大丈夫だよ。それよりも、深月は?」

「ああ、入院だって」

「え?!」

 亮平が叫び、きあらはぱっと顔を上げる。巧は頭を掻いている。

「熱中症みたいって。ご家族が来たから、任せて帰ってきたんだ」

「そうか……大丈夫なのかな、橋村さん。心配だね」

「本当だよ。深月、つらいなら僕にいってくれればいいのに。でも、すぐによくなるって」

 巧はまるで深月の家族みたいなことをいい、とりあえずは舞台が終わった安心感と、深月が無事らしいと云うほっとした気持ちでいっぱいの生徒達は、それにくすくす笑った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ