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掛居きあらが勇気を出すまで  作者: 刀洞 やや
7/10

勇気




「綺麗だよ、漣」

 亮平が驚いたみたいに云う。立ち上がって、スリッパの履き心地をたしかめている漣は、うーん、と唸る。

「ばけもんになってねえ?」

「お姫さまに見える。充分」

「あんまり嬉しくねえなあ」

「それに、相手は巧だから、漣の身長でも大丈夫」

 漣は苦笑いする。男子が、漣可愛い、とこそこそ話しているのが聴こえた。弥生がメイク道具を軽く叩く。

「はい、次は小人達の化粧をしますよ」

「あ、そうだった。みんな、メイクをしてもらって、体育館へ急ごう」

「あと一時間もないですよ」

「おい!」

 康太だ。息を切らして走り込んできた。

「な、なんだい、康太……」

 おそるおそる訊いた亮平は、なにかいやなものを感じとっていたのだろう。

 康太は頭を振る。

「深月、病院行くって。巧もくっついてっちまって」

「ええ?!」


 白雪姫は代役だし、王子も消えてしまった。という訳で教室内の空気はまたも冷え、亮平が慌てている。

「どうしよう……どうしよう? 王子役のせりふ、覚えてるひと、居る?」

「亮平がやればいいんじゃ」

「だめだよ! 僕は照明やってるんだ。誰か、ライトのつかいかた、わかる? どこでどの音を出すか、わかる?」

 誰も返事をしない。「ほら」

「じゃあどうすんだよ」

「そうだ、雷太……は、部の手伝いか」

「俺、呼んでこようか」

 康太が廊下を示す。亮平は頭を抱えている。

「あの」

 きあらはおずおずと、片手をあげた。

「わたし、せりふ、覚えてると思う……」




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