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星守《ほしもり》  作者: YUQARI
第一章 紗奈の死因。
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寂しい葬式


 紗奈(さな)のお葬式は、そのあとすぐに行われた。


 ひどく簡単な式だった。




 学校に行けなかった紗奈(さな)に、友だちなんかいない。家族と親戚(しんせき)だけの、ささやかな葬式……。




「……」

 ボクはそこでも()やむ。



 ボクは紗奈(さな)に、友だちを紹介することも出来た。



 紗奈(さな)の病気は、伝染(うつ)るものではなかったし、この家は学校からも近い。


 だから学校帰りに、友だちに少し寄ってもらうとか、ボクが家に呼んだりすれば、友だちは来てくれた。


 紗奈(さな)にだって、友だちが出来たかも知れなかったんだ!




 でも──……

 ボクは、それをしなかった。




 紗奈(さな)を、(ひと)()めにしたかったから。




「……」

 ボクはなんて、ひどい兄ちゃんなんだ……っ。



 泣きたくても泣けなかった。


 自分の嫌なところばかりが浮き彫りにされて、《泣く》なんて権利、あるわけがないって思った。




 全ては、自分が悪いんだから──。






 ──ぽんぽん……。




「!」



 不意に肩を叩かれ、ボクは驚く。

 スリスリ……と優しく背を撫でられた。


「……」




 ……すごく、あったかい手──。


 ボクは(すが)り付くように、その手に意識を向ける。


 この手が紗奈(さな)の手だったら、どんなにいいか……。





「じぃちゃん……」



 ボクは初めて言葉を発する。

 ……その声は、ひどく(かす)れていた。




 じいちゃんはそんなボクに、ただ優しく笑いかけただけだった。







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