寂しい葬式
紗奈のお葬式は、そのあとすぐに行われた。
ひどく簡単な式だった。
学校に行けなかった紗奈に、友だちなんかいない。家族と親戚だけの、ささやかな葬式……。
「……」
ボクはそこでも悔やむ。
ボクは紗奈に、友だちを紹介することも出来た。
紗奈の病気は、伝染るものではなかったし、この家は学校からも近い。
だから学校帰りに、友だちに少し寄ってもらうとか、ボクが家に呼んだりすれば、友だちは来てくれた。
紗奈にだって、友だちが出来たかも知れなかったんだ!
でも──……
ボクは、それをしなかった。
紗奈を、独り占めにしたかったから。
「……」
ボクはなんて、ひどい兄ちゃんなんだ……っ。
泣きたくても泣けなかった。
自分の嫌なところばかりが浮き彫りにされて、《泣く》なんて権利、あるわけがないって思った。
全ては、自分が悪いんだから──。
──ぽんぽん……。
「!」
不意に肩を叩かれ、ボクは驚く。
スリスリ……と優しく背を撫でられた。
「……」
……すごく、あったかい手──。
ボクは縋り付くように、その手に意識を向ける。
この手が紗奈の手だったら、どんなにいいか……。
「じぃちゃん……」
ボクは初めて言葉を発する。
……その声は、ひどく掠れていた。
じいちゃんはそんなボクに、ただ優しく笑いかけただけだった。