表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星守《ほしもり》  作者: YUQARI
第十二章 謝罪と決心
39/49

しなくちゃいけない事

 声の主は、女の人の方だ。

 女の人は、ボクと目が合うと、嬉しそうに微笑んだ。


 ボクは目を見張る。



 え? 誰それ。



 ボクは紗奈(さな)に抱きついたまま固まった。

「……」


 いつの間にか傍には じいちゃんもいて、驚くボクたちを見ながら、じいちゃんが照れくさそうに口を開く。


「お前の……婆さんだよ……」

 そう言った。


 え……。



 ボクは驚く。

 (あらた)めて、ボクは女の人を見た。


 ボクのひいばあちゃんは、ボクのじいちゃんを産んですぐ亡くなった。

 だから目の前の人が、すごく若いわけを理解する。

「……」



 そうか。そうだよね。


 じいちゃんは歳をとったけど、死んでしまった人は歳をとらない。……それは、目の前にいる紗奈(さな)も例外じゃない。


「……」

 ボクは改めて、色んなことを考えた。



 ……やっぱり、自分が思っていた事は正しい事なんだって、改めて思った。


 でも……辛い。




 ばあちゃんは、めちゃくちゃ美人だった。

 じいちゃんが毎晩通ったはずだと、妙に納得して、ボクは小さく笑った。



 ……いや、その前に、何でここにいるの? 二人は、橋になったんじゃなかったの?


「……」

 ボクは無言で、じいちゃんを見た。


 じいちゃんは、バツが悪そうにボクを見る。



「……そんな目で見るな」


「いやいや。だって、何でここにいるの? 橋の修復は終わったんじゃないの?」

 ボクがそう言うと、ばあちゃんが笑った。


天津甕星(あまつ みかぼし)さまが、ご配慮してくださったのよ。もう少しだけ、家族と過ごせるようにって」


「……」

 ばあちゃんはボクを見て、目を細める。



「ふふ。変な気分。……まさか、自分のひ孫に、こんな形で会えるなんて……!」

 ばあちゃんは笑う。



「……」

 ボクの気持ちも複雑だ。




 ──『その方がいい』




 そう、ばあちゃんは言った。


 ばあちゃんは、ボクの考えを知っている?

 だとしたら、じいちゃんとは、考え方が違ったはずなんだけど……。


 それなのに、自分の魂の寿命を捨てて、じいちゃんと共に逝ってしまうのだろうか? それで、納得しているのだろうか?


 ボクは(うつむ)いた。



 ばあちゃんはそんなボクを気遣い、優しく笑った。

 花がほころぶような、そんな微笑みだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ