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星守《ほしもり》  作者: YUQARI
第九章 最期の星
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堕ちる気持ち

 じいちゃんは亡くなった。



 全ては、流れるように進んで行った。


 人が死ぬと、こうも淡々と時は進んでいくのかと、ボクはぼんやりとその光景を見ていた。





 それからまた、ボクは昼夜逆転の生活を戻る。


 もう誰もボクに話し掛けて来ない。お互い、話し掛ける気力すらなかった。

 どんよりと空気が重く垂れ沈む……。



 結局その日は昼間に眠ってしまったから、夜に眠れなくなった。


 もちろん、学校も休んだ。



 はぁ……もう、勉強はついていけないかも。

 そんな風に諦めた。



 眠れない間は、星集めをした。

 じいちゃんから譲り受けた、星守の仕事。




 空高く雲の上に立つと、眼下に広がる景色は、泣きたくなるほど綺麗で、それでいて冷たかった。



 ……きっと、あのひとつひとつの光の中で、みんな笑っているんだろうなって思った。


 そしてその人たちは、ポッカリ空いたボクのこの気持ちの事なんて知りもしない。

 あったかくて、そして冷たい風景……。



 だけどそれは、嫌いじゃない。


 干渉しない優しさもあるんだって事を、ボクは知っている。


 人は悲しみに、静かに耐えることも大切だし、耐えきれないその時に、涙を流す勇気も必要だと思う。


 助けてって手を伸ばしたり、支え合ったり……。



 色んな想いがあっての、この景色。


 悲しくも愛しい、静かな風景。



「ボクは、やっぱり ズルい……」

 ぽつりと呟く。




 ボクは、ズルい──。




 母さんも父さんも、紗奈(さな)の死を(いた)んでいた。

 見せなかっただけで、苦しんでた。ボクだけじゃなかった。



 ……だけどボクは、紗奈(さな)に会う。


 星守の仕事をこなして、その報酬(ほうしゅう)として、ボクは紗奈(さな)に会える。



 それが、ズルいと思った。

 そう思うと、心が傷んだ。





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