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星守《ほしもり》  作者: YUQARI
第六章 星の加護
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夜景

 びゅうびゅうと、耳の横を空気が過ぎ去って行く。

 ものすごい速度と気圧に、息を奪われた。




 ──死ぬ……!




 そう思った時に、力が抜けた。



 《死ぬ?》




「……」

 ……それもいいかも知れない。

 と、ボクは思う。



 死んだら、紗奈(さな)に会えるじゃないか……。


 そう、思った。

 そう思ったら、何も怖くなくなった。



「……」

 死んだらすぐに、紗奈(さな)に会いに行こう。


 そして、一緒に転生すればいい。

 何を恐れることがある……?



 ボクは気圧で涙目になった目を、ゆっくりと開ける。






 ──うわぁ……。すごい。




 目の前一面、光の海だった。



 白色の光が多い。

 赤も結構見える。きっと、車のテールランプだろう。一列に並んでいる。


 後は黄色や青。それから緑やピンクもある。お店のネオンだろうか?


「すご。……キレイ」

 ボクは思わず呟いた。


 あぁ、紗奈(さな)にも見せたかった。

 こんな綺麗な風景を見せたら、紗奈(さな)はなんて言うだろう?


 呑気にもボクは、そんな事を思う。



 落ちる速度は、けして遅くはない。

 あっという間に、地面は見えて来る。



 ……。

 死を覚悟したボクには、気持ち的に余裕があった。


 プールの飛び込みを思い出し、腹打ちだけはすまい。と心に決める。


 かと言って、プールじゃあるまいし、頭から突っ込むとかもないよな?


「……」

 ボクは体に力を入れ、足を体の下に持ってくる。




 クルッ、……ガッ──!




「!」

 足の裏に、地面が触れた感覚があった。


「……っ、」

 痛くはなかったし、潰れる感覚もない。

 けれど程よい圧迫感。



 そうか、これが《加護》……?


「だったら……っ!」

 ボクは力いっぱい地面を蹴った!


 さっき、じいちゃんがしたように。




 ヒュン──……。





「う、わぁー……!」


 あっという間に、蹴った地面が遠のいた。


 びゅうびゅうという風の音を聞きながら、ボクはじいちゃんの所まで飛び上がる。

 まるで鳥にでもなったみたい……!



 ボクが戻ってくると、じいちゃんは鼻で笑った。

「ふん。なかなか筋がいいな……」

 つまらない……と言ったように、じいちゃんが呟く。



 ……いや、説明しろよ。突き落とす前に!



 ギロッと睨んだが、そんなのに怯むじいちゃんじゃない事は、十分に理解してる。


「で、その次どうするの」

 ボクはムスッとして尋ねる。



「お。やる気が出たか。良い良い」

 うんうんと頷くじいちゃん。


 それからボクは、じいちゃんの説明を聞いた。



挿絵(By みてみん)





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