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星守《ほしもり》  作者: YUQARI
第六章 星の加護
23/49

星空

「さ、行くぞ! この歳だと、ちとキツいがな……っ」


 言ってじいちゃんは、ボクの手を取ると地面を蹴る……!







 ビュン──。






 耳のそばを、ものすごい量の風が通り過ぎる。


「うわ……っ!」




 ボクは驚いた。


 こんな跳躍力を、じいちゃんが持ってるなんて、夢にも思わなかった。


 じいちゃんは、そのひと蹴りで、空の上まで飛んだのだった。





「な、……な……っ!?」


「……お前は、『な』しか、言葉を知らんのか?」

 じいちゃんは呆れ顔でそう言って、近くに漂う雲に、ふわりと降りた。




 いや、……常識外れもいいとこなんだけど。



 ボクは恐ろしくなって、じいちゃんにしがみつく。

「おいおい。自分で立て。立てるから……重くてかなわん……」

 ブツブツと文句を言う。



 えぇ……立てるって、……ここ空中じゃん……。

 恐る恐る足を出す。




 ペタ。




 ……ん? 地面がある。




 ペタペタ……。




 足のつま先で、ペタペタと見えない地面を探った。


「ええぃ! 早く降りろ……!」


「うわっ! やばっ、危ないだろ……! 落ちたら……って……あれ? 落ち……ない……?」



 じいちゃんに放り投げられ、地上に真っ逆さまだ……! とボクは青くなったが、そんな事にはならなかった。


 ペタリ、とものすごい薄い雲の上に降り立つ。



 うわ……(こわ)

 ちょ、……ここ、ものすごく高いんだけど……。


 ゴクリ……と息を呑む。



 じいちゃんはそんなボクを見て、呆れたように溜め息をついた。



「よく見て覚えろ。ほら、《雲》があるだろ?」

「え? ……あ、あるけど……?」



「どんなに薄くても、《雲》があれば立てる。ついでに言うと、例え落ちても死なん。痛くもない。天津甕星(あまつみかぼし)さまの御加護があるからな」


 呆れたようにボクを見る。



天津甕星(あまつみかぼし)さまは、《神》だ。初詣やら神頼みしても、ちっともご利益がないからと言って、神さまに力がないわけじゃない。きちんと加護を受けていれば、何でもありだ。……ほら百聞は一見にしかず。試して来い……!」



「え? 試す……って? うわっ、何するの……! ぎぃやぁぁぁあああ……」



 じいちゃんは、事もあろうかボクを蹴落とした……!

 雲の上から!!




──ポン。




「ひ……っ!」


 ぎぃやぁぁぁあああ…………。






 ボクは叫びながら、地上に向かって落ちて行った。





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