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星守《ほしもり》  作者: YUQARI
第六章 星の加護
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石橋直し

「よし! じゃあ、直してもらおうか、石橋を……!」



 ……。


 だから、なんで石橋なの。星守じゃないの? 星守。

 どうやって星を集めるのか教えてくれなくちゃ……。




 ボクは余程、変な顔をしたんだと思う。

 じいちゃんは、そんなボクを見るなり笑った。


「だから、言っただろうが? この《流星橋》は、流れ星を集めて作ったんだと……」


 ……そう、だった。

 確かにじいちゃんは、そんな事も言っていた。



 ボクは居心地が悪い。


「う……。でも、どうやって? てか、この橋ってそんな()()で出来てたの? 堕ちた星って……要は死体だろ? ちょっと怖いんだけど……」


 地に堕ちたら、負の感情を吸って悪いモノとなる……それを拾って集めて固めて《橋》にする……?


 それって、やっちゃってもいいの……?



「ははぁ。さては信じとらんな? この場所はな、あの世とこの世を繋ぐ場所なんだよ」

 じいちゃんが言う。


「え。なにそれ、ここってそんな場所なの?」

 街中のど真ん中に、あの世に繋がる橋とか、ちょっとゾッとする。



「そのままだと、良くないモノのたまり場になるけどな。こうして橋を造り、循環(じゅんかん)させれば、なんの問題もない。それに《星》は死体じゃない。人の《想い》の塊なのだよ。あの世とこの世を人の想いで繋ぐ……と思えば、いい感じだろう?」



「……」

 じいちゃんはそう言ったけど、ボクはちょっと解せない。


「《橋》……じゃなく、鎮魂(ちんこん)()とか、そんなのがいいんじゃ……?」


 橋だと、魑魅魍魎(ちみもうりょう)がザワザワやって来そうな感じがする。



 ボクがそう言うと、じいちゃんは目ん玉が飛び出るほど目をひん()いて、叫んだ。

「お前は、バカか……!?」


 ……いや、バカって。



「石碑なぞここに置いたら、あの世との道を(ふさ)ぐ事になる! そんなことしてみろ! あの世の亡者どもが逆に怒って、暴れはじめるぞ……!」

 言って身を震わせる。


「絶対、絶対に、この石橋を崩してはならん……!」


 鼻息荒く話すじいちゃんが、少し怖い。ここは素直に従った方が身のためだ。


「わ、……分かった……」

 ボクは後ずさる。


「いいや、分かっとらん! 俺が死んだら、この橋を崩そうとか、そう思ってるのを知っとるぞ!」

 じいちゃんは唸る。


 ……あぁ、あれだ。父さんと母さんが話してたヤツ。



「だがな、俺は天津甕星(あまつみかぼし)さまに出会ったその頃よりずっと、この橋を守って来たんだぞ! 俺の目の黒いうちは、まだまだ現役だ……!! お前たちの好きにはさせん……!」

 いや、どこのジジィだよ。


 ボクは半ば呆れながら、うんうんと首を縦に振る。


「分かった。……分かったってば……!」

 ボクは唸る。



 ……もういい加減にしてくれ。


 そもそも目の黒いうちって……じいちゃん、もう結構、目の色白濁(はくだく)してきてるじゃんか……。


 医者に注意されても不摂生(ふせっせい)するから……。



 ボクは顔を歪めた。





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