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星守《ほしもり》  作者: YUQARI
第四章 昔の話
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生きていた?

 あ、あれ? 死んでなかったってオチ?


 そこまで考えて、ボクは心の中で首を振った。

 いや、それはない。



 ボクは以前、聞いたことがある。


 父さんの父さん。つまり、ボクのじいちゃん(目の前にいる曾祖父じゃなくて祖父)は、母親を知らない。


 じいちゃん(祖父)が生まれてすぐ、母親(曾祖母)が亡くなったから、じいちゃん(祖父)は、じいちゃん(曾祖父)に育てられた。


 だから今、じいちゃん(曾祖父)の言ってたお嫁さんが、ボクのひいばあちゃんの事なら、謝れるはずもないし本当は生きていて再び会った……なんて言うドラマチックな状況も有り得ない。




 ボクは顔をしかめる。

「……」



 そんなボクの不信感に気づかず、じいちゃんはタバコの煙を吐き出しながら、口を開く。


「俺は死のうと思ったんだ。……ここで」

 ボクはゴクリと唾を飲み込む。



 そんな話は、初めて聞いた。


 恐らく、実の子であるじいちゃん(祖父)も、孫である父さんも知らないに違いない。


「こ……ここ、で……?」

 ボクは言葉を絞り出す。



 その時、本当に じいちゃんが死んでいたのなら、今の状況は少し変わっていたかも知れない。


 じいちゃん(曾祖父)は男手ひとつで、じいちゃん(祖父)を育てたって言うから、じいちゃん(曾祖父)がいなかったら、じいちゃん(祖父)は親戚をタライ回しに……って、ああ! じいちゃん じいちゃんって、頭の中が五月蝿(うるさ)いっっっ!!!



 ……わけの分からないところで、ボクは混乱する。



 つまりはじいちゃん……、今目の前にいるじいちゃんは、ばあちゃんに死なれて、自殺しようとした。


 そうここでだ! ……それだけ(おさ)えとこう。そこが重要だ。うん。



 混乱しているボクを尻目に、じいちゃんはタバコを吹かす。


「そしたらここに、()()()がいた」

「へ……()()()……?」

 じいちゃんは頷く。


 すると──。




 ヒュン──。




「!?」

 ()()が飛んできて、ボクの頬を(かす)めた!


「……え?」

 チリ……とほっぺが痛む。

 ボクは思わず頬に手を当てる。ほんの少し、鉄臭い。




 ズサっ!




「……っ、」

 重たいその音に、ボクは振り向いて青くなる。

 ちょ、今あれ、ボクに当たろうとしたんだけど……。



 それはキラキラ光る、でっかい金平糖みたいなやつで、地面に落ちると、ゴロゴロと転がった。


 白色とも銀色とも分からない、複雑な色で()()は美しく輝く。



 うわ、あっぶねぇー……。冷や汗をかく。


 それ、頭に落ちてたら、今頃とんでもない事に……。

 ボクはゴクリと唾を飲んだ。






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