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【PHASE1-4】地上転送・ゲームチェイサー初陣

 ――地底空間の同胞の涙を背中に担いで、未来ある四人の勇士が地上の最先端ゲーム【D・D・G】に挑もうとしていた。


 しかし、DDGは肉眼では見えない地上に隠れているVRフィールドによって構成されたゲーム。その枠に入り尚且フェアに相手に挑める体制でなければリベンジの機会すら与えられない。


「「「「う〜〜〜む……」」」」


 文字通り悩める若者達。そこで救いの手を差し伸べるのはヒート達を何度も助けてきた善人で恩人、丈一ことジョーカーであった。


「心配する事は無い。DDG参加に必要なアイテムをちゃんと四人分揃えてある。ちょっと私について来なさい」


 とジョーカーはカウンターの机の中に隠されたスイッチを押すと、後ろのカップやコーヒーの豆を置く棚がゴゴゴゴ……と横にスライドし、そこに出てきたのは()()()!! スパイ映画かと見まごうロマンチックなシステムにヒート達もあんぐり。


 隠し扉へ向かうヒート達四人は、薄暗い空間に明るく照らされた四つの光に導かれる。――炎の赤、風の緑、水の青に土の黄色。これらは皆ヒート達のサポートの為に造られた秘密のルームなのだ。


 そして、手前のテーブルには四つのヘッドセットが……!


「もしかしてこのヘッドセットが、DDGに必要な……」

「【DDギア】だ。これを装着する事でゲームに参加する事が出来る」

「DDギア、ね」


 DDG専用ツール『DDギア』。見た目はヘルメットのような形状だが、遮音性を誇るイヤホンと高い通信性のマイクロホン。そして額部分にはVRフィールドを察知するセンサー、目元にはクリアーなバイザーがVRを目視可能にする。ゲーミングヘッドセットはここまで進化したのだ。


「ゲームに集中する為にDDギアの中でも特上のタイプを仕入れてきた。システムマニュアルはプレイギアにQRコードを入れればダウンロード出来る」


 早速に四人はDDギアのマニュアルを確認し、仕組みを頭に叩き込んだ。するとジョーカーは続いてあるジャケットも用意し始めた。


「? おじちゃん、何だそのジャケット」

 ヒートはジャケットを大事そうに扱うジョーカーを不思議そうに見つめた。


「せっかくの晴れ舞台だ。控えめな装いよりも派手な姿で初陣飾るのが良いだろう? お前達のモチベーションを上げる特製ジャケット、私からの御守として是非来てくれ!」


 そのジャケットは、地底空間の暗さの真逆を行く“光”をイメージした白ベースのジャケット。胸には四色のダイヤモンドエンブレム、その背中には元素とそれを司る精霊の刺繍がしてある。


「……おおっ! 意外に似合ってんじゃん!」


 ヒートには赤カラー、後ろには炎の精霊『サラマンダー』の刺繍。ハリアーは緑に風の精霊『シルフ』、アリスは青で水の精霊『ウンディーネ』、ツッチーは黄色で土の精霊『ノーム』と。

 守護する精霊と元素の霊幻がジャケットに宿るのか、自然と勇気が気力が湧いてくる!


「君達のPAS、つまりゲーム戦士の魂が編み出すスキルはゲーム中は一度しか使えない。如何に四人が四大精霊の力を宿してるとはいえ、過信は自滅を生むぞ。――――理不尽の元を断ち、ゲームの真実を掴むまで……()()()は最後まで取っておけ」


「………分かってるよ、ジョーカーおじちゃん!」

 ヒートに浮かぶ不敵な笑みは、圧倒的な自信を示すものなのか。それとも……?


 〘◇Now Lording◇〙


 ――時刻は夕方6時を回った所。蛍原の様態も回復しつつある中、ゲームチェイサー四人は挑むべきDDGの詳細を検索しその攻略法、更に小金井が仕掛けるであろうチートツールの打破に時間を掛けていく。


「……じゃこのゲームは俺がやる。コイツならチート相手でもやり会える」

「ヒートがそーゆーなら俺らも安心だな」

「それじゃあたしは例の七変化で……」

「ワテもCPUからチートツールの正体暴いたるから、ヒートはんも思う存分暴れたってや!」


 ゲームに挑むのはヒート一人、しかし裏方にて策を立てようとする敵の妨害に他の三人が役を回る事となった。今回初陣を飾る事となるDDGは午後7時頃にVRフィールドが展開される。その際にまた小金井がカモを求めて手ぐすね引いている事だろう。

 間もなくVRフィールド開放時間が迫り、ゲームチェイサーの地上転送が始まる。


「……よし、そろそろ時間だ。皆、転送カプセルに入るんだ」

 ジョーカーの掛け声で一斉に隠し扉の奥にある赤・緑・青・黄色の柱で成る転送カプセルへ。


「なぁヒート、コンディションは大丈夫か?」

「心配ねぇよハリアー。ジョーカーのおじちゃんの珈琲はエナジードリンクよりも効くんだ」

「それじゃお手並み拝見だわね♪」


 と言う事はかなりカフェイン入ってるんじゃ……? ゲームとカフェインは腐れ縁な関係でもあるが、ヒートらにとってはおふくろの味にさも似たりな珈琲だ。


 筒の柱となっているカプセルにパカッと収納する扉を開き、ヒート達は入って立ったまま転送の時を待つ。

 カプセルの外ではジョーカー、天音ちゃんと琴音の響波姉妹が操作するコンピュータで転送する場所をロックオンし、転送に必要なエネルギーの蓄積準備に入る。


「オッケー! 転送スタンバイ完了よ。何時でも行けるわ!」

「場所は、東京の渋谷のハチ公前広場。ゲームは『エクストリーム・ラリーVX』です!」


 響波姉妹のサポートにより転送する座標がヒート達の耳元に伝えられた。


「―――では行くぞ、ゲームチェイサー・転送!!!」



 ―――キュォォォォオオオオオオオオオッッッ


 遂にジョーカーの出動命令が下り、自由の四勇士が転送態勢へ!!

 転送と共に甲高い音波振動と発光する四色の光が煌めき、光は柱となりて天高く地上目掛けて飛び立った!


 ゲームに破れた者の地から再び誇りを引っ提げて這い上がるように、いよいよ地底のゲーム戦士によるDDG・初陣を飾る時が来た。



 ―――初陣の舞台は東京・渋谷。上野英三郎博士の帰りを待ち続けた忠犬ハチ公の像が見守るハチ公前広場。


 夕刻の夜空の下で人々が帰路の道へと右往左往行き交う広場の見えない所で、()()()()()()()()()()()が展開されるDDGの準備が近づいているのだった……!!



 〘◇Go to NEXT PHASE...!◇〙

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