【PHASE4-8】女王に相応しきランウェイ
――旧渋谷川遊歩道路、通称『キャットストリート』と呼ばれる奥の細道松尾芭蕉、失礼しました。
キャットストリートにて繰り広げておりますDDG『ドミノ・ストリート』、前半のノーマルルール『セバストポリ』を表参道・東京メトロ千代田線の直線をクロスした地下路を超えた辺りでルールチェンジ。
ここからは怒涛の展開、出すドミノ牌によって得点は変わる分岐もする! ドミノのもう一つのルール【ファイブアップ】ルールが間もなく開始されようとしております! 皆さん、前回のルール説明でおさらい出来ましたか?
いよいよ本編ゲーム再開、待たせたなぁはコント赤信号。張り切って参りましょう〜!
〘◇Game Again◇〙
――さて、キャットストリートの最北地点からスタートしたドミノ・ストリート。『セバストポリ』から『ファイブアップ』へとルールを変えた訳ですが、スタートから3、4キロ程設置されたドミノ道一直線からのルール変更に至りまして、一つ疑問がありました。
(『ファイブアップ』は設置されたドミノの道の末端の数値を足して、それらが“5の倍数”になれば得点になるってルールだけど……、さっきまで置き連ねたドミノは継続されて得点に加算されるのかしら?)
その質問に答えるならば、“YES”であります。
前半戦のセバストポリで重ねたドミノ道は一直線、その最末端であり最初に重ねた杯の目は幸いにも〔0〕。
そこから現在に至るまでドミノの直線或いはカクッと曲がって屈折した道のりから末端らしき目は見当たらない……いやちょい待ち。
道の途中に牌が横向きに置かれてるのがチラホラ。両面が同じ目の“ダブル牌”による横に置かれたドミノが別れ道の端となって、ファイブアップの得点に加算される。 例として最初に置かれた〔5・5〕のダブル牌の場合は両端が5なので10点加算だ。
(あっちゃ〜……これあたしが置いた牌じゃない! それはともかく、他の三人が置いたダブル牌もそれなりにあるわね)
置いた御本人であるアリスが悔やんでも後の祭り。更に道を辿っていけば同じようにダブル牌が置かれて〔1・1〕やら〔3・3〕と出ている為、それらも得点になる。
――そして今、アリスやマリエ達が立ち並ぶドミノ道の最先端の目は〔4〕。それとこれまで辿ったドミノ道のダブル牌の目全てを合わせるならば……!
「……………【32】………!!」
「つまり、次の番で牌を置いて5の倍数になるように操作すれば得点がコチラ側から得られますわ。30点以上取られたら決着なんてあっという間!」
これにはアリスも冷や汗が流れる。それもその筈、中間結果はこのようになっているからだ。
◎――――――――――――――――――◎
・アリス 46点
・天々 17点
・朱雀 11点
・マリエ 21点
ターン順:朱雀→天々→マリエ→アリス
◎――――――――――――――――――◎
今の所アリスが20点以上リードしているが、ファイブアップルールによって蓄積されたマンハッタン……じゃない、末端の目のポイントが加われば瞬時に逆転されてしまいます。しかも次の番は……朱雀!
(不味いわ、あたしの番が4番手だなんて。あの三人の事だから、そろそろ何か仕掛けるに違いない)
朱雀、天々の二人はPASを覚醒していない為、『スキルチップ』を使う他奥の手は隠されていません。そんなクレオパトラ三人衆の要・マリエのみが覚醒しているゲーム戦士の魂スキル・PAS。ルールチェンジした今なら、仕掛けるのは時間の問題か……?
いよいよスタート、ファイブアップルール・ドミノ。互いに5枚の牌を手札にして先ずは朱雀のターンから。
「このゲームの特殊ルールで、セバストポリで置いたドミノからは分岐牌は置けないようになってる。だから朱雀が置けるのは最末端の〔4〕ね。―――朱雀、私に繋げる牌はあるかしら?」
「勿論ですわマリエ様。貴方に相応しいランウェイを導いて差し上げましょう」
何を今更高貴に気取ってるんですか! 性根の悪さは前半で知れ渡ってるでしょうに。
「うるさいですわね! ならばその高貴な一手で黙らせて上げますわ!!」
高貴、な割には普通のか細い手から放り投げた牌。最末端〔4〕から隣接する牌は〔4・2〕。と言う事は……?
「今ここに末端の総点数が“30”に変わりましたわ! よって5の倍数の式に従って、私に30点追加!!」
開始早々の一手により、一気に30点を獲得した朱雀は41点獲得。だが悪夢はまだ終わらない。
「今度は天々だよぉ〜☆ 置けるのは〔2〕だから……これだぁ!」
故意的にあざとく牌を置いて新たに変化した末端の目は〔2・2〕! ダブル牌が横向きにセットされて総得点は32点!
「分岐……!!」
これによりファイブアップルールに従い、ダブル牌から隣接する牌は左・右・直線の三つの路線に別れて展開される。どっちに置くか置かれるか、置かれるか置くかの選択でゲームが変わる。10万・7万・5万、運命の分かれ道!! ……………あれ、ゲームウォーリアーでもこのネタやりましたっけ??
「良くやったわ天々。ダブル牌が置かれたことで末端部分が増えて加算する目も増えたわ。これで得点がプッシュされる……!!」
そして繰り出したマリエの一手、出した目は〔2・3〕、セットした方向は一直線!
「セットした時点で末端ポイントは【35】!! 全て私の得点となりなさい!!!」
高飛車なトップモデルはまるでオーディションで落札したかのような勝ち誇りをアリスに見せしめる。だが当の彼女はガン無視で自分のゲームに集中していた。
(明らかにマリエの接待プレイに徹してるわね他の二人は。でもスキルチップを使おうとする仕草が全く無いし、何よりマリエがPASを使わないってどういう事……?)
クレオパトラ三人衆で唯一PASを覚醒しているマリエ。満を持して発動するタイミングを図っているのか、不穏な空気が続く。
「私の番ね―――――」
と、アリスも牌をセットしようとしたその時!!
「させないわよ! ―――PAS発動ッッ!!」
―――招来せよ、我が魂!! 古代エジプト最後の女帝にしてファラオの御加護に美を守り給うた可憐なる姫君の魂・クレオパトラ!!!
◎――――――――――――――――――◎
・プレイヤー1 門矢マリエ
PAS【クレオパトラ】確認。
◎――――――――――――――――――◎
太陽に包まれた黄金のピラミッドの如し黄金色のPASが、ゲームフィールドはおろか外部の者にもそのカリスマか美貌のオーラがひしひしと伝わっていく。そのオーラを利用してマリエはとんでもない能力を繰り出した!
「私のかわいいクレオパトラ所属のモデル達! ドミノ道を私に相応しいランウェイに仕立て上げなさい!!」
「「「はっ!!」」」
何と、マリエ達を陰ながら応援していたクレオパトラ所属モデル集団がそのオーラに誘われて急にDDGのVRフィールドに入り込んでいるではないか!! すいませ~ん、ここ関係者以外立ち入り禁止ですよーー!!
「え、え?? 何で部外者が入ってきてるの!? ――――って、何でドミノの位置直してるの!!??」
これは何という暴挙か!? モデル集団が束になってドミノの列に連なったダブル牌の位置を横から縦に変えて、ゲームを変化させているではないか!! これは進行妨害で通報させますよーと言いたいのですが、何を考えてるのか管理側の警告すらも鳴らない!
「何を言っても無駄よ! 私が引き連れたモデル集団はね、PASの力で従わせてゲームを変える能力を持ってるの!」
「何ですって!? それじゃこれって催眠……!!?」
マリエのPAS【クレオパトラ】の美貌オーラによる集団催眠によって、DDGの特殊フィールドの垣根を超えて侵入し、ドミノ道を改変させてしまうというトンデモ能力! これには流石のアリスも開いた口が塞がらない。更に酷いのは、一直線になったドミノ牌にダブル牌による分岐が無くなり、追加点が無効になった事!
「残っているのは最末端の〔2〕だけね! 惨めですわね〜〜〜☆☆」
(この、高飛車女〜〜〜〜ッッッ!!!!)
アリス、傍若無人なる女帝PASに翻弄されてしまうのか? 彼女の怒りは爆発寸前、水の精霊・ウンディーネのPASが放たれるのは何時か!?
〘◇To be continued...◇〙




