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【PHASE4-4】ドミノ・ストリート

 ――ここは東京・原宿、通称『キャットストリート』と呼ばれているファッションの世界へと誘う遊歩道【旧渋谷川遊歩道路】。


 この細く果てしない道の両端には洒落た小規模のブティックや飲食店が立ち並び、北へ北へと道なりに進めば裏原系ブランドの登竜門・裏原宿が待っている。


 そして今日、我らがゲームチェイサー・アリスが裏原宿内の旧渋谷川遊歩道路にて出現するDDGに敢然と立ち向かう訳なのだが……皮肉にも彼女を目の敵にしている地底のモデル集団に、一点集中で睨まれているのだった……!


「あら、海颯(みはや)の小娘が来たんじゃなかったの? それとも身代わりになって来たのかしら?」

 黄金に輝く金の髪に脚線美を意識したブランド衣装で圧を掛けるは地上のトップモデル事務所『クレオパトラ』のリーダー格、門矢(かどや)マリエ(21)。彼女が集団を代表して嫌味をアリスにぶつけるならば、


「海颯はね、あたしにDDGを挑んで欲しいって必死で頼み込んで来たの。……アンタ達もあの【究極の美】の報酬目的で来たんでしょう?」

「当然ッ! 美は私達『クレオパトラ』の名の元に集うトップモデルこそ相応しい!! その願望を阻む者は誰であろうとも排除する。地を這って見栄を張るアンタ達地底空間の者なら尚更!」


「良く言うわ、つむじ曲がりの()()()()美人が……!」


 それは時が経てば元の素材も性根も()()()()()()というジョークなのでしょうか。それを呟くアリスの唇は白くなる程に苦虫を噛み潰していた。

 何しろ自分のみならず、後輩の海颯にも過剰にいびり倒しているマリエ率いるクレオパトラのモデル集団。悪意ある地底虐めはパパラッチをも閉口させる程に卑劣、かつ残忍な行為に手に余った。これでは天真爛漫なアリスとて怒りに震えない訳が無い。


「……まぁ良いわ。わざわざ憎み口叩きに原宿まで来るのも馬鹿馬鹿しいでしょうし。―――そろそろ時間ね」

「えぇ、続きはDDGで……!」


 マリエの高級時計を見るなり時間を把握する。時刻は間もなく午前の10時を回る所。

 各自DDGのデータから記憶したパスワードを入力してる間に、出現時刻の時間を測る暇もなく例のアナウンスが遊歩道の細い道から鳴り響く。



『――――旧渋谷川遊歩道路全域にて、【ドミノ・ストリート】が出現しました! 参加プレイヤーは4名、女性限定のゲームとなります。参加者集結後にゲームが開始します!!』


「「…………ドミノ??」」


 ありゃりゃ美女勢全員呆気に取られちゃってるよ。何しろデータ内では何のゲームが待っているのか全く知らない状態での“ドミノ”とくれば、何のこっちゃとも言いたくなる。まさか細く長い遊歩道使って地道にドミノ倒しでもやろうとか? とんでもない、ドミノとはかなり入り組んだ戦略ゲームですよ!!



 ――――――――PLAY GAME――――――――

 ☆D・D・G 《デュアルディメンションゲーム》④☆

【ドミノ・ストリート】

 ・ジャンル:

 ・プレイヤーレベル:35


 ルール

 ☆このゲームは【ドミノ牌】を使ってプレイする。

 ドミノ牌とは、2つの正方形をつなげた形をしており、各正方形の片側の面には模様(目)がサイコロのように描かれている。

 目が0~6のドミノ牌が入った一揃いを『ダブル・シックス』といい、28枚1組。0~6で可能な目の組合せ[例:(0,0),(3,6)]が全て一枚ずつ入っている。


 ★場に置かれている牌の列に対して、各競技者は時計回りに順に1枚ずつ手札をつなげていく。場に並んでいる牌の列の両端の目と同じ目を持つ牌が手札にある場合、その牌を場に出して、列に繋ぐことができる。

 例えば、場に「3-4 4-1」のように牌が出ている場合手札に「1-6」があれば、「4-1」の隣に「1-6」を、2枚の牌の「1」同士が接するように場に置く。


 ※だれかが手札をすべて無くする(上がる)か、誰も牌を出せなくなったときにラウンド終了。このゲームは得点制で、先に100点を突破した者が勝者となる。


 プレイ報酬(1位獲得の場合)

 ・賞金20万円

 ・究極の美(確定)

 ―――――――――――――――――――――――――


「要するに、このサイコロみたいな牌の目を合わせるように繋げて持ち牌を無くせば良いのね」


 はいアリスさんその通りであります! そして得点の取り方はラウンド終了時に出していない相手の牌から換算するやり方など色々ありますが、詳しいルールはまたゲームスタート時に説明します。それよりも気になる事が一つ。


「四人対戦って事は、アンタ一人だけで私達と戦うって事になるわね」

「可哀想に! 海颯の小娘抜きであたし達とやるっての? 意地でも引っ張り出せば良かったのに!!」


 四人の対戦とはいえ、アリス一人だけの抵抗には多勢に無勢な状況。海颯はともかくも、他のゲームチェイサーの仲間も居ないとはこれ如何に!?


 〘◇Now Lording◇〙


 ヒート・ハリアー・ツッチーの三人に加えて、心配になって駆け付けた海颯の四人は既に地上に到達していた。

 裏原宿から若干離れた表参道の並木道の端にて、彼らはアリスとの遠隔通信を行っていた。


「……どうだアリス? 今回のゲームはいけそうか?」

 ヒートが赤いDDギアのインカムでアリスに応答を促すならば、返った言葉はこうだ。


『大丈夫、落ち着いていければいける。それよりも直ぐにでもアイツらの鼻をへし折りたい気分なの……!』

「その怒りはゲームまで抑えとけ。それとクレオパトラの連中でPASが使える奴は分かるか?」

『マリエ以外はからっきし。殆どがアイツの取り巻きに群がってるだけ。三人相手でもいけるわ』


 アリスのみならず、ヒート達らゲーム戦士の魂の能力・PASを持つ者は同じくPASを操る者の波動を察知する力がある。それによってクレオパトラの一味で異能力を使える者は門矢マリエ唯一人と見破ったのだ。


「男は参加出来ないってデータに書いてあったからどうなるかと思ったが、あの分じゃ大丈夫だな」

「一応彼女にも『G・C・T』を用意しといたが、使わずじまいになるかも知れへんな」


「ちょっと待ちな二人共、海颯の嬢ちゃんが妙にビビってるぜ」

 等とハリアーとツッチーは安心しきった様子で浮かれていたが、ヒートが指摘したところ、海颯が不安の顔がより増していった。


「……皆さんはまだ分かってません! 本当に恐ろしいのはそのマリエのPASなのです。ありささんだけで太刀打ち出来るかどうか……!!」


 執拗な虐めを受けた者にだけ分かる、加害者の恐ろしさ。つまり海颯が察するこの危険予知は高確率で不吉な予兆を意味するのです。


「でも、アリスも同じ虐めで受けた心の傷みを知っている。だからこそ海颯ちゃんを守る為に一人勇んでDDGに挑んだんだ。アリスが海颯ちゃんにとって親愛なる先輩だったら、遠くからでも信じてみなよ。彼女ならやってくれるって……!」


「…………………」


 果たして今回のDDG、戦いの核となる門矢マリエのPASが遊歩道のドミノゲームに波乱を巻き起こすのでしょうか? そしてそれに抗う術は持っているのかゲームチェイサー・アリス!


 万人に蔑まれようとも必死で這い上がり、土壇場にて魅せるは地底空間のゲーム戦士の底力。侮るなかれ、苦難を乗り越えていく者は逆境に強いのだ!!


 次回より本格的に【ドミノ・ストリート】ゲーム開始、水鏡のアリスに幸あれ!!!


 〘◇To be continued...◇〙

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