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【PHASE3-8】アンバーVSノーム

 ――年の瀬に新年迫る、2021年・激動の現代。それよりも彼方の未来では退屈抜きのDDGが決着を付けようとしております!


 ハネツキサバイバー戦、生き残りプレイヤーは残り4名。ゲームチェイサーからハリアーとツッチー、そして今回のライバルである金子、村良が足場の狭い仙人渓谷、石柱の上にて羽根突きデスマッチが行われようとしております。


 更には金子の『アンバーストーン』、そして先程のツッチーによって解禁された四大精霊PAS『ノーム』の覚醒により二つの異能力交わるゲームが展開される事でしょう!


 〘◇Now Lording◇〙


 ゴゴゴゴゴゴ……!!


 先程からノームのPAS覚醒よりVRフィールドに唸る地響き。ツッチーの魂に宿るノームの小人爺さんの怒りなのか、苛立ちによる地殻からの貧乏揺すりなのか。ツッチーの能力の真髄が間もなく見られるだろう。


「あーらら、俺ァ知らねぇぞ〜? ツッチーの能力はかなり破天荒だからな」

 ハリアーも意地悪く煽り注ぐも金子も村良も動じない。


「相手にとって不足なし! 地震でもオヤジでも何でも掛かってこい!!」

「ノームとかいう妖精ジジイの魂に何が出来る? 金の足しにもならん能力なんざ欠伸(アクビ)が出るだけだ」


 この始末、どう落とし前を付けてやりましょうかツッチーさん?


「まぁまぁ慌てる事あらへんって。今に“大地の怒り”ってものを魅せたるから、はよ羽根落ちてこんかーい!」


 急かすツッチーのリクエストにお応えするように、次のラウンドを知らせる羽根が渓谷の空より降ってきた。座標は、村良の上!


「ならばその大地の怒りを見せてみよ! チャああああああ!!!」


 羽子板ジャストミート、良い音カツーンと当たれば直線突っ切りツッチーへと向かう羽根の軌道! その時ツッチーは羽子板構えず、石柱の地に右手を触れて精神統一。まさか、PASの能力の前触れか!?


「ノーム流・遊奥義、『ガイアウォール』!!」


 PASパワー詠唱一声で、ズズズッと盛り上がるは大地の城壁、石柱よりも(そび)え立って突っ切る羽根の弾道を遮断した!!


「なぬ!!?」

 そのまま羽根は石柱下へ真っ逆さま、判定としてはもう一度村良が取りに行かないとミスになってしまう。だが急転直下の羽根を取ることは―――


「お゛お゛お゛おおおおおおおッッッ!!!!」


 あらー!? 村良が石柱を真っ逆さまに降り、羽子板掲げて猛ダッシュで羽根を取ろうとしてるぅーーー!!?


  (………取ったどー!!)


 随分深い所でキャッチしたんですねー。しかし羽根はツッチー達の所に届いておりません。結局は村良のミスと見なされました。


(((分かったぞ、アイツ生粋の馬鹿だ)))

 クソ真面目と馬鹿は紙一重でしょうか? ……あ、墨汁の滝が時間差で落ちてきます。これで村良もリタイアです。


「あとは、お前だけや金子」

「2対1じゃ分が悪くないかい?」

 今回も有利な位置に立っておりますゲームチェイサー、ヒートとアリスがリタイアしたものの同胞であるハリアーとツッチーの2名が残っております。


 特にハリアーはG・C・T『ヴァルキュリアジェット』を装備、足場の悪い渓谷をジェットパック背にして空を飛ぶ。これならフィールド転換にも干渉致しません。

 しかし相手は琥珀のPASを使う金子、自在に操るアンバーストーンの力にどう立ち向かうか。


 ―――さぁ次の羽根が降下。それも金子の頭上に落ちてきた!


「アンバー流・遊奥義、『コーティングアンバー』!!」


 おおっとこれは何だ!? 羽子板の面が拡大、更に蜂蜜色に煌めいて特大かつ豪華な加工がPASの力で施された! まさに羽子板の飴細工工業だ!! ここまで面が拡大された羽子板ならイージーミスも無い、レシーブ一発ツッチーに飛んでいった羽根!


「ノーム流・遊奥義、『クリスタルジェネレート』!!」


 ツッチーも対抗しているぅぅぅ!! 面拡大は二の次に、琥珀コーティングならこっちはクリスタルだ、高価値の意地か!? 何れにしても面が大きくなった羽子板同士、空振り気にせず交互にラリーを成立している!


「なに張り合ってんだよツッチー!?」


「何か琥珀で羽子板綺麗にしてるの腹立ったからつい」

「クリスタル加工に言われたかねーよ! 物価から考えたらこっちのが上じゃバーカ」

「加工次第じゃお客さんの目に惹かれるやろ見た目重視やがな」

「じゃリタイアした皆に聞いてみよーぜ!」

「もう単刀直入に言ってくれ、金か、見た目か?」

「じゃ最初1000円からァァァァァァ」



 ……すみません、これ何のゲームでしたっけ? 羽子板自慢? 最後羽子板でオークションやってませんでした?


「ちゃんと羽根突きやれや!! コラァ!!!」


 ハリアーボケ合戦にくたびれたのか、半ば憤りながらの羽根レシーブ。それを金子に向けて打つが、その時!!



『―――ゲーム開始10分経過、フィールド変換します』


「「「!!?」」」


 ハリアーのレシーブ途中でいきなりのフィールドチェンジだ!! タイミングとしては丁度金子が羽根を高く突き上げた所、そして肝心の舞台は何と………大海原!!!


「ヤベッ、足場が全く無い!!!」


 先程の渓谷よりもっと過酷なステージだ、何せ見渡す限りのブルーウェーブ、足の踏み場もヘッタクレも無い海原で着水したら即失格! これを逃れる方法は一つ!!


「アンバー流・遊奥義、『アンバーボード』!!」


 透き通る琥珀色の浮遊鉄板! PASの力で足場を作り出した金子。続いてツッチーも続く!


「ノーム流・遊奥義、『ストーンブロック』!!」


 鉄板に対してこっちは大型ブロック、しかも石柱から吸収した元素から生成したノームPASの能力だ。それを空中に無数に散らばさせての失格回避、決してマイク◯じゃ御座いません!! しかしハリアーは……


「ヴァルキュリアジェットがあるから良いけど……燃料とか大丈夫か!?」

「アカンでハリアー、連続飛行はバッテリーが上がるから最大10秒が限界や! ワテのブロックで羽休めさせとき!」

「サンキュー、ツッチー!」

 ここでジェット噴射を停止、自由落下でツッチーのストーンブロックに着地しようとするが。


「させるかッッ」

 またしても忍び寄るは金子の琥珀色の鋭牙、その矛先はハリアーのヴァルキュリアジェットの右翼にクリティカルヒット!


 ―――ザクッ!!

「うぁ!!?」


 右翼破壊によってバランスが崩れたハリアー、錐揉み状態で落下するが辛うじて左手にストーンブロックを掴んで九死に一生を得る。

 だが、羽根突きの方の羽根は金子の遥か頭上にある………!!


「地底人は大人しく地獄に墜ちてろ!!!」

 カーーンッッ

 奈落へ突き落とす金子の直下スマッシュ! ハリアーも羽子板に手を伸ばすが羽根に届かなかった!! 万事休す!!!


「………悪ぃツッチー、せっかくのG・C・T活かせなかった」

 ブロックを片手にぶら下がるハリアーに降り注ぐ墨汁。水も墨も滴ってもイイ男の彼に今は掛ける言葉もなく、そのまま強制転送・リタイアだ。


「―――さて、やっとお前と二人きりになれたなぁ。じゃ改めて教えて貰おうか、()()()()()()()()ってのを!」

「……その前に請求追加や。ワテの作ったG・C・Tの弁償代。非売品な喧嘩まで買わん方が身の為やでワレ」



 ―――ゲーム決着は2021年大晦日の夜。今年最後のゲームは2つのPASが交差する。



 〘◇To be continued...◇〙

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