【PHASE3-6】琥珀色の鋭牙
――TIPS――
【G・C・T 〘ゲームチェイスツール〙】
ジョーカーとツッチーの極秘開発によって完成したゲームチェイサー達のゲームのサポートに使われる万能アイテム。携帯プレイギアの専用アプリ及びメールから転送されるデータにアイテムのカプセルが送付される。
そのカプセルを転送し、軽く投げることでカプセルが割れてナンバーに沿ったアイテムが使える。
現在も誠意を込めて新ナンバー製作中!!
――初公開、ゲームチェイサーお助けアイテム【G・C・Tシステム】!
記念すべき第一号は、クリムゾンカラーの大双翼にジェットパックをセットしたアイテム『ヴァルキュリアジェット』。
これをマシンに長けたハリアーに装備。バックパック感覚で装着したジェットは、緑のジャケットとクリムゾンの翼がベストマッチに格好良さを表しております!
「格好良いだろうけど羽子板持ってたら様にならねぇだろ」
そこは気にしなくて良いのハリアーさん!
「装着した時に左腕からレバースティックが出とるやろ? スティックの赤いボタンを押せばジェットパックが起動して、レバーを倒せば移動もバックも出来るで」
ジェットパック経由で腹溝から左腕まで伸びているのがヴァルキュリアジェットを操縦するレバースティック。これをハリアーが片手で操り、もう片方で羽子板を使う事で空中羽子板を可能に出来ると言うが……果たしてどうなるか?
「……来たッ、羽根!」
「今やジェットを使え!!」
第3ラウンド、よくまぁGCT召喚からスタートまで時間が持てたと思いますが羽根投下! それと同時に叫ぶツッチーにハリアーは咄嗟に反応し、ヴァルキュリアジェットのスイッチを起動する!!
ゴォォォオオオオオオッッ
噴き出す蒼炎のジェット噴射! その出力からハリアーの華奢な身体が浮き上がり、約3メートルも上昇。自由落下する羽根を空中にて……
「うぉらぁッッ!!!」
カツーーン!
羽子板クリティカルヒット、スマッシュインパクト!! 自由飛行に呆気に取られていたプレイヤーの頭に直撃!! ミスとみなされスミの滝を浴びさせリタイアだ。
「マジかよとうとう飛びやがったよ」
「何でもアリなのは知ってるけど翼持ってくるとは……」
誰しも羽根突きゲームでジェットパックを用意してくる予想など到底不可能な区域にまで陥った今回のDDG。なのにちゃんとゲームのルールには則っているこの摩訶不思議。果たしてこれに加えて、ゲーム戦士の魂から宿る能力『PAS』が加わるとどうなるのか……?
「……………しゃらくせぇ」
金子がその能力を使うときが来た! ―――招来せよ、我が魂!!
◎――――――――――――――――――◎
・プレイヤー17・金子羽孔
PAS【アンバー・ストーン】確認。
◎――――――――――――――――――◎
「―――!」
金子が覚醒したPASの波動は、同じくPAS使いであるゲームチェイサー達にも伝わった。異能力使い同士はそのPASの形と色を察知する力を持つというが、その個性から出る技や能力は実際に出さないと分からない。
しかし、商いと共にゲームも競い合っていたツッチーは金子のPASの詳細を唯一人知る男。彼への警戒が更に強まった。
「………ヒート、ハリアー、アリス。気ぃ引き締めぇや、眼反らしたら琥珀の牙が襲ってくるで」
「あ? 羽根突きにそんな厨二な能力突き付けられても俺は――――」
――――ジャキンッッッ
「お前のどの口が……俺の琥珀を笑ったか?」
ヒートが浮かれ冗談をほざいていたその刹那、眼の一寸先に突き出したのは琥珀色の牙先。PASの能力によって見出した琥珀の塊による角で威嚇をしているのでしょうか。ミリ単位で寸止めしてヒートの減らず口を黙らせた金子。
「オイオイ……、お前出る作品間違えたんじゃねぇのか? ゲームに殺気は蛇足だぜ。馬鹿にしたのは謝るからその牙戻しな」
「………良いだろう」
ここはヒートの潔さに免じて琥珀を消滅した金子。音も無く生成される琥珀錬金術、それによってゲームを有利に進める力をどのように連想させていくのか。―――今まさに投下される羽根が、それを証明する!
「じゃコイツでも食らってみな!」
またしてもハリアーのジェット空中レシーブ炸裂! 今度は金子の頭上に突っ込んでいくが……!?
「―――甘いッッ! 『アンバー・リフレクター』!!」
降り注ぐ豪速の羽根の衝突を妨げる半透明の琥珀アンブレラ! 金属の硬い音をあげて再び空中のハリアーの元へ弾き返されていく!!
「マジかよ……っ、ヒート!」
やむなくここは羽子板で返す事に専念したハリアー。カツンと音立て羽根が落ちる先にはヒートが。
「オーライオーライ、良いトスだぜハリアー! オラぁお返しだ琥珀ちゃんよ!!」
羽子板大きく振りかぶって、全身全霊サラマンダースマッシュ! 反動摩擦によって燻る羽根が金子に迫る………が、しかし!!
「――――ナイスキャッチ」
「!!?」
再び金子のPASが牙を向いた! いや牙というよりもPASによって特大の琥珀の手が出現し、ヒートのスマッシュした羽根を下手にキャッチしていった! 前代未聞だ!!
「はぁ!? そんなやり方あるか!?」
「何を言っている。羽根が完全に地面に落ちるか素手で拾い上げるかしなければ、PASの力で拾い上げようが全然問題無い。今度はこっちの番だ……!」
羽根突きのルールの死角を突いた戦術、金子もPASを使いこなしている事も相まって相当に頭は切れるようだ。更に技術においても侮れない、PASの琥珀手によって拾い上げた羽根をトスしてぶつけるは渾身のサーブ!
「消えろ、地底人がァァァ!!!」
――――カァン、ピシュ………!!
(…………は、速い――――!!)
あーーっと!? どうした、油断か!? 音速の高斜度サービスエース。見事な迄に綺麗な斜線を描きながらヒートの左足隣、そこをピンポイントに狙って羽根とゲーム戦士とのすれ違い通信。全く動く事が出来ませんでしたヒート、ここでリタイアです!!
ボドドドドドドドド!!!
「…………最悪、口にまで墨入ったわ」
この滝の墨汁は、ヒートにとって不覚のブラックレインなのか。悔しさ噛み締め墨で舌も真っ黒に染めてVRフィールド外へ追放されてしまいました!
「嘘……ヒートが真っ先にやられた……!?」
「調子に乗り過ぎた、と言っちまえばそれまでだが。あのやられ方はかなり痛いぞ……」
ハリアーもアリスも唖然としてヒートの敗退の一部始終を見てしまったと同時に、金子羽孔の恐ろしさを肌で感じた事でしょう。そしてその時ツッチーはこの展開に何を思うのでしょうか……?
(金子も口は悪いがルールに従ってゲームを進めてやがる。んな奴が本当に盗難品を高額転売するんか? それとも真犯人が………?)
浅草にて騒がせている盗難事件、更にそれを転売ヤーに通じて高額転売を繰り返す犯行は本当に金子によるものなのか。ゲームと共に謎も深まる2つのラビリンス。
そんな数々の不安を背負いつつ、DDGに新たな動きが展開される――――!!
『―――ゲーム開始5分経過、フィールド変換します』
DDG・ハネツキサバイバー、プレイヤー人数残り16名。新たなフィールドが彼らを待つ。
〘◇To be continued...◇〙




