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【PHASE2-7】ミッドナイト・ドッジボール

さてさて皆様お待ちどう様でした!

ゲームチェイサー・ゲームバトルの時間がやって参りました!!


従いまして、私Mr.Fも張り切って実況モードにオンして白熱のゲームをお届け致します!!

トーキングエンジンモーター全開、行ってみよーー!!!

 ――漆黒の空に銀の月明かり。そこから見下ろす景色は大都会の闇に包まれた夜の帳なのか。


 ……いや、皆様には刹那に見えたでしょうか。深夜の東京の街に2()()()()が飛び交ったのを。


「―――ッッしゃあ、来い!!!」


 〘【バトルストリート・ドッジ】GAME START〙


 もし貴方にその炎が見えたのならば、ゲーム戦士の魂が見えた証拠。即ちこれから繰り広げる双空間ゲームの全貌をお目にかかる事が出来る事でありましょう!


 西新宿の1丁目が、地獄の1丁目になるのか或いは天国の4丁目と化して、狭山茶処情けは厚い聖地と化すのか、ってここは東村山じゃござんせん!! 失礼しました。

 電器店と様々なビルで交差する西新宿ストリートが、VRネオンの輝く戦場と化した!


 中央通り北サイドは焔陽唯斗ことヒート、対して南サイドは悪魔の翼のルシファーだ。彼らは戦闘開始の合図にPASの力で発現した赤い炎と黒い炎を互いに撃っての威嚇射撃、それを合図に疾走していく!

 ここからフィールドに散らばった『バトルボール』を獲得する為にまずは戦力補充、ゲームのライフラインを繋げる武器を確保するわけであります。


「……始まったな」

「真夜中でドッジボールなんざ良い趣味だと思うが、ちょいと今回は殺伐してるわな。まぁしゃーないけどな」

「えぇ……」


 二人の戦いを見守る唯一のギャラリー。ゲームチェイサーのメンバー、ハリアー・アリス・ツッチーも揃って観戦だ。コンビニでカップ一杯引っ掛けてほろ酔いオヤジも居るが、現実と仮想の区別も付かない分には野次馬にもならない。


 さぁ茶を濁している間にもゲームは進んでおります。ビルの隙間、電柱の裏にと至る所にバトルボールが置いてあります1丁目。


「……よし、ボールは十分」

 ヒートは既に両手1個ずつバトルボールを確保。ボールはVR空間が作り出したホログラフィである為、ゲームが終われば自然消滅という地球に優しい設定エコロジーであります。


 VRで創り出したネオンライトが光る中で、そこで逆光として現れる人の影。或いは足音と気配が敵の位置を知らせる頼りのセンサーだ。ヒートはネオン光る道路に佇み、接近する敵に備える待ち伏せ戦法に出た。


(……待てよ、1丁目ってそんなに規模広くねぇよな? ルシファーが黒炎打ってる時の音も、ゲーミングネーターの撃破音も全く聞こえない。()()だ)


 ゲーム内でヒートがDDギアのヘッドホンで聞こえる音は普段の聞こえる音となんら変わらない。深夜の閑静な街にネオンの演出はあれども、寿命寸前の電柱の途切れ途切れな灯りの音も良く聞こえる。

 故にルシファーが遠方で何かアクションを起こすような音は全く聞こえない事にヒートは疑問を抱いた。このまま待機するべきか、悩む彼にヘッドセットからハリアーからの無線音が。


『ヒート、何やってんだ!? 今ルシファーがヤバいことになってるぞ!』

「はぁ? ヤバいって何が!? そもそもアイツ何してたんだよ!」


『ルシファーが一人でゲーミングネーター全滅させたんだよ!!』

「………何ぃ!!?」


 この一言にヒート、何が何だかさっぱり分からず困惑しております! 音も無くこのゲームのサプライ要素である合計4体のゲーミングネーターの対面も無くルシファーによって全滅させられた事で、色々と整理が付かなくなっております。第一に感じたのは、


「あんにゃろ、俺がやる前にゲームの要素ぶち壊しやがって! 小説では常にエンタメ感を魅せるのが暗黙のルールだろうが!!」


 それは作者が信念に置いてる事じゃないですか。しかしこうとなったからにはヒートも動かずには要られません。何しろゲーミングネーターが撃破した暁には特殊なバトルボールが獲得出来る。それを全て撃破したルシファーは圧倒的有利に立っているに違いない。


 その前に彼の死角を突こうと交差点の角を何度も曲がって接近しようとしたヒートに一筋のオーラ。


「―――――殺気!!」


 ――――ビシュゥゥッッッ


 ヒートの頬に紙一重、黒炎の音無き閃光、サイレンサーでも付いているのかルシファーの炎!!

 振り向きざまにヒートもようやくルシファーの気配に気付いた、通り魔のような決して鉢合わせたくない邂逅か!?


「気を付けろ!! そいつの持ってるボールは全部特殊バトルボールだッッ!!!」


 両手には兇器なるバトルボール、そして構えるルシファーの笑みは凶気! 如何にしてなぶり殺そうか脳内シミュレーションでもしているのか悪趣味、おおっと!?


「死ねッッ、ヒート!!!!」


 渾身投げる直前に、バトルボールに着火する黒炎!! これはルシファーのPASらしき能力から引火した恨みの焔なのでしょうか? 全力投球威力Z級ルシファーのシュート!!


 推定豪速159キロか!? 特殊バトルボール『ハイスピードボール』だ。速球に特化した物凄いストレートボールにヒートは辛くも回避に成功しますが、それでも海老反りに体制を崩してのエスケープ。

 しかし倒れ込んだ後の追撃が怖い、もう一球のアタックだ今度はアンダースローだ!!


 ギュイイイイイイッッ


「曲がった?!!」


 倒れ込んでいるヒートに回避が厄介なカーブボール、『ワンダーボール』に翻弄されましたが、ここは冷静沈着に判断を処理し横に転がるように玉の軌道から逸れたヒート、上手いぞ上手いぞ! 脳内ローディング0.05秒の解析だ!!


 ようやく立ち上がろうとするヒートですが、あーっとまたしてもルシファーの連続攻撃、特殊ボール今度は『ディバインボール』!!


「分裂、あぁぁクソッッ!!」


 三つに分裂したボールもヒットされずに避けきったヒートですが、絶え間ないルシファーの猛攻撃にクソォォっと一声、執拗な攻撃に苛立ちを見せているのかヒート。だがまだ特殊ボールはあと1個残っている!!


「最後のボールは何だ?」

「なんか……デカくね??」


 最後の特殊ボール、直径が通常の1.5倍のビッグボールの『ヘヴィーボール』だ。更にこのボールは質量が滅茶苦茶に重い! その重さはざっと7キロの破壊力抜群なボールをルシファーはいとも容易く持ち上げる、えげつない剛腕だ!!

 そしてようやくヒートも体制を立て直してのスタンダップ。最後のボールでもあってか、仁王立ちにして両手を構えるヒート、これは……キャッチの構えか!?


「嘘、ヒート正気!?」

「あっちは黒炎もボールに纏ってんだぞ!!」


 ハリアーにアリスもこのヒートの判断に待ったを掛けようとするが、それでも彼はこの剛球を取るつもりだ!!


「……俺ァよ、確かめてみたいんだよ。お前の放つその炎が、()()()()()()を」

「……何を世迷言した事を言う」


「ゲームしてて気付いたんだが、お前の放つ黒炎とやらが覇気が無いっつーか、本当にPASのものなのか気になってな。ゲームじゃないのに放てるとかチート設定じゃあるまいし、果たしていざゲームの聖地でそれを受けた時にそいつが俺の魂に響いてくるのか。――――その答えを俺に見せてくれ」


「…………どうやら本当に死にたいようだな」

「死ねるかどうかは……、俺の魂に眠るサラマンダーに聞いてくれ」


 ヒートの額に流れる焦燥からの汗、冗談を口にしているように見えてその覚悟は本気の様相であります。対してルシファーも攻撃力のあるボールにパワーを極振りするように、ヘヴィーボールが黒炎に包まれて真っ黒な球と化した!!


「ゲーム戦士の頂点に二人も必要ない!! そのまま地に墜ちるが良い、ヒートッッ!!!!」


 振り被った剛球ヘヴィーボールがストレートにヒートへと突っ込んでいく! そして彼も、ヒートもPASの赤い波動の勢いを増幅させての踏ん張りどころだ。炎の精霊の魂が、暗黒の炎を制圧できるか!!!?


 ―――――ドスッッッ、ギュィィィィイイイイイイイイ!!!!!


 ヒートの胸元、両手にヘヴィーボールを受け止めてのナイスミット。しかしながらその重量な球の重さと威力の衝撃で後退していくヒート! 倒意地でも倒れん、ボールを落とすまいと懸命にそのインパクトに耐えている!


 ああっと黒炎がヒートの身体に引火した!! これは苦しい、ボールの衝撃と熱気が彼を苦しめている! あともう少し、もうちょっとだ、もうちょっとだヒート!!



 ブラックフレアの衝撃に耐えてくれ、ヒートォォォオオオオオオオ!!!!!



 〘◇To be continued...◇〙

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