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【PHASE2-3】悪魔の翼のルシファー

 ――突如、ヒート達ゲームチェイサーの別荘に侵入した黒ずくめの男“悪魔の翼のルシファー”の猛攻によって仲間のアリスと栄光の太陽の欠片を奪われてしまった。


「……で? この後どうするよ」

「探すんだよ。アリスも悪魔野郎も」


 と、咄嗟に動いたのはヒート。仲間を拐われ、手に入れた欠片をも奪ったルシファーに倍返ししてやろうと追跡を企てる。


「でもさ、せっかくの飯そのままにしとくのか?」

「アイツが食事を粗末にしないだけ奇跡やで。丁度ワテ腹減っとんねん」


「……それじゃ、タッパーに詰めてテイクアウトだ」


 アヒージョやらワイン煮込みをタッパーに詰める主人公なんて聞いたことがありません。


 〘◇Now Lording◇〙


 地底空間には地底湖から繋がる帯水層、即ち湖から繋がる川や滝も存在している。

 ヒート達の別荘の辺りにある湖を『ドラゴンレイク』と呼ばれ、その湖から繋がった川を『ドラゴンロード』、そして登る谷と流れる滝を俗に『昇龍滝』と呼ばれていた。


 そんな『昇龍滝』に不運にも、ルシファーによって拉致されたアリスが滝の真ん中で宙に手首を縛られた状態で拷問にあっていた……!


「さぁ、吐け。俺の()()()()は何処へやった」


 ルシファーが言う“カプセル”とは何か、それをアリスが掠め盗ったのでしょうか。しかしここは強情な彼女、手に縛り縄をされても屈しない。


「……ねぇ貴方。あの“栄光の太陽”は貴方如きが狙える代物じゃないの。集めてても何の特にはならないけど?」

「…………吐け」


「貴方が()()()()()()()()()なら尚更。……そうでしょ?」


 グイッ―――!


「あっ………!!!」


 アリスの言動が癪に障ったのか、ルシファーはアリスを縛った縄を滝へ直撃。つまり流れ落ちる滝水を強引に打たせて意地でも吐かせようとする。序盤からメインヒロインがこんな酷い目に合わせて良いものなのでしょうか?



 〘◇Now Lording◇〙


 地底湖の土地はルシファーよりもヒート達の方が知っていた。移動距離や通路から見て滝の方へと向かったと睨んだ三人は急ぎ足でアリスを助けに追跡する。……タッパーの料理を食べ歩きながら。


「とは言っても、湖から滝まで3キロはあるからな。俺等にしてみりゃちょっとしたハイキングよ」

「……なぁこのアヒージョ、オリーブオイル多くないか?」

「うんにゃ? ワテは丁度えぇけど?」

「んな時に俺の飯にケチつけんなよ」


 その前に非常事態にタッパー飯喰らう方も度胸に問題があるのですがそれは。

 余程エネルギーに不足をしていたか、砂利道にあぐらをかきながら飯を食らうヒートは一瞬ぼーっと考え込んでいる事をハリアーは見逃さなかった。


「……どうしたヒート。何を考えてる?」

「―――ナンバーだ」

「ナンバー?」


「さっきハリアーが首筋に銃撃った時に見えたんだよ。確か、【GRD-001】だったかな。なーんかあの型番に見覚えがあると思ってな」


(GRD……、ワテも何か聞いたことあんな)


 ヒートのみならずツッチーも反応した“GRD”の型番。そこで彼はどんな時でも肌見離さず持ち歩いているノートパソコンをケースから取り出して検索しよう、と思いきや。


「……何やこの()()()()? こんなん持ってきた覚えあらへんぞ」


 それは長方形のカプセルに、USBコネクタが付属されたメモリーキーであった。



 ……さて、ヒロインの拷問プレイは一部の者を除いては想像に毒。ダイジェストにした所でルシファーはアリスを引き上げる。既に彼女は滝の圧力によって疲労困憊、頑なな口もそろそろ限界に来ていた頃だ。


「さぁくたばる前に言え。カプセルは何処だ?」


「………な、仲間の、ノートパソコン……、ツッチーの……、パソコンケースの中……!」



 〘◇Now Lording◇〙


 ルシファーが所持していたメモリーキーはアリスに盗られ、その隠し場所としてツッチーのパソコンケースに入れてあったのだ。

 そうとも知らずに彼らはそのカプセルをパソコンに接続。中身は一つのフォルダ、開けばそこには一見してみても不可解な画像があるだけであった。


「これに何か曰くがあるってのか?」

 ヒートやハリアーも眉をひそめてまじまじと画像を見つめるが、中々その意図が理解できない。


「画像の箇所毎に森とか建物の風景が見えた。おそらくこれは画像の絵を分割させて、それをゴチャゴチャに並び替えて分からなくさせたんだろう」

「要はピクチャーパズルみたいなもんやな」


 ハリアーとツッチーが仰る通り。これは画像の場所を他人に悟らせないようにさせたパズル型暗号。しかも128分割させる程細かいパズルで、さしものヒート達も直様解読には漕ぎ着けなかった。


「はぁ〜?? なんだよこれサッパリ分かんねぇや!」



「―――その通りだ。貴様ら如きに()()()()()()を解けるものか」


 低音かつ凍てつくような声にビクッと反応するヒート達。そして彼らの前には黒い影、ルシファーがカプセルの出処を知って自ら接近してきたのだ。


「カプセルの事を知ったからには生かすつもりは無い。黒炎の火力を上げて貴様らを殺す」

 ルシファーもゲームチェイサー同様に情け御無用。己の目的を悟られない為なら殺害をも厭わない。


「殺せるもんならやってみろよ。お前の探してるカプセルも消し炭になって良いならな」

 ヒートはカプセルメモリを見せびらかし脅迫するが、


「構わん。そのメモリは全て記憶済だ、俺はカプセル諸共貴様らを焼却する」


 ……これは迂闊だった。駆け引きも失敗に終わったヒート達はルシファーに警戒しながら臨戦態勢に入る。



「――――走れッッ!!」


 拡散するようにルシファーから距離を取って逃走する三人。ルシファーは目線に入ったハリアーから仕留めようとするが、おっとここはハリアーの加速のが上だ。意外と脚が速いぞハリアー。

 次に狙うのはヒート、ここは距離があってそれに鍾乳洞の柱が行く手を阻みルシファーを翻弄させる。これは鬼ごっこの法則としては非常に上手い戦法だ。悪魔の翼を持つ鬼から逃れられるかゲームチェイサー!?


「ツッチー!!」


 ここでヒートがツッチーを呼びかけている。その合図に反応するか、静止しているツッチーに標的を変えて急接近だルシファーだ!


「来よったな、飛んで火に入る夏の虫……いや今の季節は冬の虫ってか!?」


 ツッチーは逃げようとしない! このまま餌食にされてしまうのか、と思った矢先。


 ―――カチッ


 ルシファーの駆ける足になにやらスイッチのような感触と、その刹那に光る閃光。


 ドカァァァァアアアアアアン!!!!!


「やったああああああああッッッ」


 ツッチーの目の前でルシファーが大爆散!! なんとツッチーお手製の()()()()()を踏んだ事でルシファーはふっ飛ばされて朽ち果てた。そこまでやるのかゲームチェイサー!?


 これは流石のルシファーも御陀仏か、と思いきや!?


 ――ガシッ!!


「げぇっ?!!!」


 爆破されてボロボロのルシファーが、近くのツッチーの御御足を掴んだかと思えば、更に常識外れな展開に。


「……やべー、ルシファーが()()()()()()()()


「え、えぇぇええぇ嘘おおおおお!!!??」


 逆さにツッチーの脚を掴んだかと思えば、背中に翼をあれどもそれを動かす様子もなく、ルシファーは地底の天井高く浮遊しているではないか!

 そのままツッチーを叩き落としたが、ヒートとハリアーが捨て身で下から彼をナイスキャッチ。そのまま間髪入れずにルシファーの黒炎が頭上から放射する。



「「「逃げろぉぉぉおおおおおおおおッッッ!!!!!!」」」



 敵わぬ相手に触るべからず、触らぬ悪魔に祟りなし。ヒート達三人は黒炎の追撃に逃れ、物凄い速さでルシファーの魔の手から逃げ切る事が出来た。というのも、ルシファー自身が口ほどにもない相手に興醒めして追う事を止めたからである。



 〘◇Now Lording◇〙


「―――あっ、アリス!!」

「無事やったんやな!」


 命からがら逃げ出したヒート達。気づけば丁度アリスが拷問されていた『昇龍滝』の上まで辿り着き、滝の側で拘束されているアリスを発見した。

 ヒートは気絶しているアリスをおんぶし、彼女を保護する為に設置されたワープゾーンの先にある喫茶店『パラケルスス』へと向かう事に決めた。ジョーカー達に改めて“栄光の太陽”の詳細とルシファーの事を聞くためであった。


「酷い目にあったな、アリスの奴」

「まぁ一応、タッパーの飯にアイツの分残してあるから」

「……もうちょっとマシなの食わせたらどうよ?」


 等とさっきまで死にそうな目にあった割には呑気な談話。改めてヒート達の胆力には恐れ入る。




(…………………可哀想なルシファー)



 そして心做しか、気絶している筈のアリスの眼から一粒の涙が。その涙は彼に対する同情なのか、それとも……?



 〘◇To be continued...◇〙

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