註五、袁紹のもとから脱出
註5.
英雄記曰:布自以有功於袁氏,輕傲紹下諸將,以為擅相署置,不足貴也。布求還洛,紹假布領司隷校尉。外言當遣,內欲殺布。明日當發,紹遣甲士三十人,辭以送布。布使止於帳側,偽使人於帳中鼓箏。紹兵卧,布無何出帳去,而兵不覺。夜半兵起,亂斫布牀被,謂為已死。明日,紹訊問,知布尚在,乃閉城門。布遂引去。
(訳)
英雄記にいう、
呂布は袁氏に功績があると自負して
袁紹配下の諸将を軽んじて驕傲し、
相勝手に役職に就けられたのだから
貴ぶに足らずと考えていた。
呂布が洛陽への帰還を求めると、
袁紹は呂布を司隷校尉に仮した。
外向きには洛陽に派遣すると言いつつ、
内心は呂布を殺したいと考えていた。
明日出発する日に当たって、
袁紹は武装した兵隊三十人に
呂布の辞去を見送らせた。
呂布は帳の外側に彼等を留めて
偽って人を使い、中で
太鼓や琴を鳴らさせた。
袁紹の兵が眠りに就くと
呂布は何事も無く帳から立ち去ったが
兵らは気付かなかった。
夜半に兵は起きて
呂布の寝床の布団を滅多斬りにし
すでに死んだと考えた。
明くる日、袁紹が問い質して
呂布がなお生きている事を知り
そこで、城門を閉じてしまった。
呂布はかくて引き去った。
(註釈)
138頁の後漢書で、呂布が楽器鳴らして
逃げる場面がありましたが、
ネタ元はここの描写っぽいですね。
乱斫=滅多やたらに切り刻む
だそうです。
呂布のふとんをランシャクって
響きだけ聞くとなんか笑っちゃいますが。
「布」って呂布のことなんですけど
ベッドのくだりでは、
布団のことを指してるのかと思いました。
「被」の方が掛け布団の意です。
袁紹が呂布を司隷校尉に任じるなんて
すごいなぁ、大抜擢やん!!
などと思っちゃいますが、
英雄記だと「仮」がついてるので
よりフェイク感が強まっています。
呂布を超要職に推薦する名目で
油断させて暗殺しちゃおう、
という袁紹の作戦なんですね。
袁紹が呂布のことを
かなり恐れてるのが興味深いです。
張燕との戦で身に染みたのでしょうね。




