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淡々三国志  作者: ンバ
魏書第十一、邴原伝
516/603

一・註一、政と慈と度と時々文挙

1.

邴原字根矩,北海朱虛人也。少與管寧俱以操尚稱,州府辟命皆不就。黃巾起,原將家屬入海,住鬱洲山中。時孔融為北海相,舉原有道。原以黃巾方盛,遂至遼東,與同郡劉政俱有勇略雄氣。遼東太守公孫度畏惡欲殺之,盡收捕其家,政得脫。度告諸縣:「敢有藏政者與同罪。」政窘急,往投原,原匿之月餘,時東萊太史慈當歸,原因以政付之。旣而謂度曰:「將軍前日欲殺劉政,以其為己害。今政已去,君之害豈不除哉!」度曰:「然。」原曰:「君之畏政者,以其有智也。今政已免,智將用矣,尚奚拘政之家?不若赦之,無重怨。」度乃出之。原又資送政家,皆得歸故郡。原在遼東,一年中往歸原居者數百家,游學之士,教授之聲,不絕。

(訳)

邴原へいげんは字を根矩こんく、北海国朱虚県の人である。


少くして管寧かんねいと倶に

志操の高尚さで称えられ、

州府の辟命を受けたが

いずれも就任しなかった。


黄巾が決起すると、邴原は

家属を率いてそばへと入り

鬱洲山の中へと向かった。


時に孔融が北海の相となっており

邴原を有道に推挙した。


邴原は、黄巾がまさに

盛んとなろうとしている事から

遂には遼東へと至り、

同郡の劉政りゅうせいと倶に

雄略、勇気を有しているとされた。


遼東太守の公孫度こうそんたくは畏れにくんで

これを殺そうと考え、

その家族を盡くとらえたが、

劉政は免れる事ができた。


公孫度は諸県にこう告げた。

「敢えて劉政を秘蔵(秘匿)する

者があれば、同罪とする」


劉政は差し迫って

邴原のもとに向かい身を投じると、

邴原は彼を一月余り匿った。

時に東萊の太史慈たいしじが帰らんとしており、

邴原はそこで劉政をこれに付託した。

その後、公孫度にむかって謂った。


「将軍は前日に劉政を殺そうとなさったのは

彼を己が害と見なしたからでしょう。


今、劉政は已に去り、君の害が

どうして除かれていない

という事がございましょう」


公孫度は「然り(確かに)」と言った。


邴原は言った。


「君が劉政を畏れていたのは

彼に智力が有ると見なしたからでしょう。


今、劉政は已に免れ、

智力はまさに用いられようとしていますのに

なおもどうして劉政の家族を

拘留しているのですか。


彼らを赦すに越した事はありません、

重ねて怨まれる事はなくなります」


公孫度はかくてこれを放出(解放)した。


邴原は一方で劉政の家族に資財を送ったので

みな、もとの郡に帰る事ができた。


邴原が遼東に在って一年の間に

邴原に帰順してくる者が数百家おり、

遊学の士、教授の声は絶えなかった。


註1.

魏氏春秋曰:政投原曰:「窮鳥入懷。」原曰:「安知此懷之可入邪?」

(訳)

魏氏春秋にいう、

劉政は邴原に身を投じると、言った。

「窮鳥が懐に入った」


邴原は言った。

「どうしてこの懐に入れるとわかったのだ?」


(註釈)

邴原は青州北海の人。

北海という事で、

「またか」というか「やはり」というか

孔融から推挙されている。


王脩は孔融に推挙された時、

邴原に譲った…と「王脩伝」で

見てきたばっかり。


裴松之の引いてきた

「孔融集」では、地位を得るために

齷齪するような人物じゃない、

的な紹介のされ方をしている。


黄巾が盛んになると遼東へ避難。

ここで遼東太守の公孫度こうそんたくと絡んだ。

公孫度は涼茂りょうもを赴任地へ

行かさないようにしていたり、

ここでは劉政りゅうせいを殺そうとしていたり

あまり度量の広い人には見えない。


太史慈伝によると、

太史慈は21の時に上奏文ビリビリにして

遼東に逃げたって書いてあった。

その後、劉備が平原の相だった時代に

青州に戻ってきたっぽいんだけど、

細かい時期が不明瞭なのよね。


劉政はこの後一切出てこないんだけど

太史慈に見捨てられちゃったのかな。

太史慈はあっさり孔融こうゆう劉繇りゅうようを見限る人やし。


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