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淡々三国志  作者: ンバ
蜀書第六、馬超伝
44/603

五、さらば馬超

5.

先主為漢中王,拜超為左將軍,假節。章武元年,遷驃騎將軍,領涼州牧,進封斄郷侯,策曰:「朕以不德,獲繼至尊,奉承宗廟。曹操父子,世載其罪,朕用慘怛,疢如疾首。海內怨憤,歸正反本,曁于氐、羌率服,獯粥慕義。以君信著北土,威武並昭,是以委任授君,抗颺虓虎,兼董萬里,求民之瘼。其明宣朝化,懷保遠邇,肅慎賞罰,以篤漢祐,以對于天下。」二年卒,時年四十七。臨沒上疏曰:「臣門宗二百餘口,為孟德所誅略盡,惟有從弟岱,當為微宗血食之繼,深託陛下,餘無復言。」追謚超曰威侯,子承嗣。岱位至平北將軍,進爵陳倉侯。超女配安平王理。


(訳)

先主が漢中王となると

馬超を拝して左将軍とし、節を仮した。


章武元年(221年)

驃騎将軍に昇進し、涼州牧を兼務し

斄郷りきょう侯に進封された。


策文にいわく

「朕は不徳を以て至尊の位を継ぎ

宗廟そうびょうを継承する事になった。

曹操父子は代々罪行を重ねており

朕はそのため心痛み、あたかも

頭痛を病んでいるかのようである。

四海の内は怨み憤って

正義に帰順し根本に立ち返らんとし

氐族・羌族も服従し、

獯粥くんいくまでも道義を慕っている。

君の信義は北方の地に明らかで、

威光と武勇はともに輝きわたっている。

だからこそ君に任務を委ね

吠え猛る虎の如き勇猛さをかかげて

万里の彼方まで正しく治め

民衆の苦しみを救わせるのである。

さあ、我が朝の教化を広め明らかにし

遠近の民を懐け安んじ

賞罰を慎重に執り行い

よって漢朝の王者たるべき幸運を固め

天下の人々の望みに答えよ」


二年、卒した。

時に四十七歳であった。


死に臨んで上疏して言った。


「私の門下宗族二百あまりは

曹孟徳に誅されてほぼ全滅し

ただ従弟の馬岱ばたいがあるだけです。

衰微した宗家の血統を継ぐ者として

深く陛下にお託し致します。

後は言い遺すことはありませぬ」


子の馬承ばしょうが後を継いだ。

馬岱は平北将軍まで昇進し

陳倉ちんそう侯まで爵位が登った。

馬超の娘は安平あんぺい劉理(りゅうり)の妻となった。


(註釈)

劉備の策文は筑摩訳の丸写しです(をい


井波律子女史の訳は厳かな雰囲気を

美しく日本語に落とし込んであって

「和訳ってこうじゃなくちゃな」と思います。


劉備の漢中王即位に際して

関羽・張飛・馬超は節を与えられています。


せつは皇帝に代わっての軍事統帥権、

斧鉞ふえつは刑罰を皇帝に代わって

執行する権利だと聞きました。


張飛伝における

「張飛が刑罰で人を殺しすぎる」という話も

刑罰の執行権が彼にあったから出てきたのです。


本文に「假節」と表記されている場合

この節と鉞を与えられたという事を指し

また、鉞の字は省かれてる事が多いとか。


節と鉞を与えられたのが

別々の時期の記述も稀にあって

このへんの事情は複雑です。


宿将で主力の関羽と張飛はともかく、

馬超は帰順してわずか5年で

節を与えられているあたり

他の将とは一枚格が違う感じがします。


馬超は222年に47歳で亡くなり、

遺言では、一族郎党はもはや

馬岱しか残っていないと嘆いています。


そもそも馬超が関中で

反乱を起こしてしまったが故に

鄴の馬騰たちは誅殺されてしまった

ことになるのですが……


ここでの馬超の遺言を聞くと、

実は馬騰達も馬超の決起に合わせて

内応する手筈だったのかもしれません。


また、三国志演義では

馬超の寿命が延びており

226年に没した事になっています。


演義における彼は

西涼のきん馬超の異名を取り、

長安で李傕・郭汜軍相手に勇戦する他、

許褚や張飛との一騎打ちが挿話され

猛将としての華々しい活躍が

ピックアップされています。


劉備の死後に司馬懿しばいが提案した

五路侵攻作戦のうち、一路は

羌族を利用して蜀にけしかけるという

内容だったのですが、

馬超が健在であることに羌族は尻込みし

攻め込んで来れなかったと語られます。

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