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註四、我、益州を得たり
註4.
典略曰:備聞超至,喜曰:「我得益州矣。」乃使人止超,而潛以兵資之。超到,令引軍屯城北,超至未一旬而成都潰。
(訳)
典略にいう。
劉備は馬超が至ったと聞き、喜んで言った。
「我は益州を手に入れたぞ」
そこで人を遣わして馬超を留め
密かに彼に兵を与えた。
馬超が(成都に)至ると
軍を統率させ、城の北へ駐屯させた。
馬超の到着から
十日に至らずして成都は陥落した。
(註釈)
これは劉備が上手いですね。
馬超がいかにも大勢を引き連れて
到着したよう劉璋に見せかけることで
成都の動揺は更に大きくなったでしょう。
劉璋伝によると、この時
まだ城内には三万の精兵と
一年分の糧秣があったようですが
劉璋が
「恩徳も施していないのに
これ以上皆を戦禍に晒せない」
と言って降伏に至ったといいます。
「後漢紀」を著した張璠の弁では、
劉璋は愚かで脆弱ではあったけれども
無道な君主と言うほどではない
と評されています。




